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309/312

私達は楽しいんです9

 取り敢えず、アララに話を聞かないと。


「アララッ! 召喚」


 慌ててアララを呼び出す私の目の前に現れる一枚の紙切れ。


 拾い上げると、“ただいま、アラナラムルは留守にしております” と書かれていたわ。


 紙を握りつぶし、拳を震わせる。


「何処の留守録よッ! 絶体に私の前に引きずり出してやるんだから!」


 大声でそう叫ぶと、部屋の外から軽く扉が叩かれる。


“トン、トン”


「おい、カミル。起きたみたいだが、大丈夫か?」とシュビナの声がドア越しに室内へと響いたの。


「あ、シュビナ……騒いでごめんなさい。アララを呼び出そうとしたら、失敗しちゃって……入っていいわよ」


 ゆっくりと扉が開かれる。


「カミル、入るぞ。あと、さっきの話だが? アララなら普通に船内の食堂で飯を食べているが?」


 シュビナの言葉に直ぐに動き出すと食堂へと向かう。


 船の中間の層に位置する食堂で満面の笑みを浮かべながら、四人掛けのテーブル席に座り、一人ベーコンのステーキを頬張(ほうば)るアララを発見したわ。


 気配を消しさり、ゆっくりと確実にアララの背後まで移動すると一気に威圧感を放出する。


 後ろから震えているのが理解出来る程の威圧感を感じながらもゆっくりと振り向こうとするアララ。


「そのままでいいわよ……動かないで」


「ひっ! か、カミル?」


 私の声に全身を“ビクッ!”と震わせた。


「はい、質問タイム。何故、アララさんを召喚した際に紙切れが現れたのでしょうか?」


 冷たく、そう尋ねるとアララが泣きそうな顔で私を見つめる。


「お、お肉を注文していたので、身代わりのメモが召喚されるようにしました……ひぐ、まさか召喚されるなんて考えてなかったんです」


 そこからは、アララに質問攻めと言う形になり、ある程度の会話が終わる頃にはテーブルのベーコンステーキは硬くなっていたわ。


 アララの正面に腰掛け、ベーコンステーキを引き寄せる。


 厨房に向けて大きく声をあげる。


「ごめんなさい。ベーコンス(これ)テーキと同じモノを熱々で二つお願い」


 私は引き寄せた食べ掛けのベーコンステーキをナイフで切り、口に運ぶ。


「やっぱり美味しいわね、だからって身代わりが紙切れとか、赦されないわよ?」


 怒りが吹き飛ぶ程、美味しそうな香りを放ち焼かれるベーコンを待ちながら本題に入る。


「実を言うとね。マルルに神になれと言われたのよね……」


 チラッとアララの顔色を窺えば、凄まじく動揺しているのが直ぐに理解できたわ。


「ねぇ、素直に腹を割って話しましょう? 私はアララの知ってる事を知りたいのよね……」


 私の言葉にアララは素直に語り出してくれたわ。


 アララはクレレが原因で私を誤って異世界に復活させる事になった際に地球からの転生者とマルルにバレないように神に選ばれた者として転生させる事になったと言われたわ。


 神に選ばれた転生者は神に成る資格を得ており、本来なら神の加護を与えても上位冒険者程度の活動であり、目立ち過ぎなければバレない筈だったとも言われたわ。


「ですが、カミルは私の常識を遥かに超える事をやってのけてしまったのです……」


 私がやってしまった神々の王、マルサ=チヨルを動かす程の事件……それは、女神であるアラナラムルを使い魔にすると言う前代未聞の事態を引き起こしてしまった事にあったわ。


 アララの言葉に自分の行いを改めて思い出すと苦笑いが浮かぶ。


「つまり、私自身が招いた事だと……」


「はい、まさにその通りなんです!」

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