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私達は楽しいんです4

 サンデアは、“ぐっ”と涙を押さえ込むように顔を引き締め、口を震わせながらゆっくりと声を出したの。


「わ、私は……ソルト、貴方の……」


 再度、泣き出しそうなサンデアの表情がソルトに向けられた瞬間、会場の緊迫感を叩き崩すような大声が響き渡る。


「待った待った、まったく、近頃の若い子達は気持ちを全部まとめて押し殺すんだから? ヤッホ、カミルちゃん。アフロディアス御姉さんだよ」


 私すら目を疑ってしまう光景が突如目の前で起こったの。


 アフロディアスの声が響いた途端、会場に異世界トンネルが繋がり、アフロディアスとバルキュリアが姿を現し、更にその後ろから、大勢の正装をした男女が会場に現れたの。


「な、アフロディアスにバルキュリアッ! それにその人達は誰なのよ? てか、何でこんな大勢の人達が異世界トンネルを通れるのよ!」


 あまりの出来事に私は質問を口にした後、開いた口が塞がらない状態になっていたわ。


「質問が多いわね? カミルちゃんって意外と知りたがり屋さん?」


 そんなアフロディアスに対してバルキュリアが肩を軽く数回叩き、首を横に振る。


「すみません、カミルさん。実は……偶然、マルサ爺から、連絡がありまして、アフロディアス御姉様が、今宵の宴を知ることとなりまして……」


 バルキュリアが教えてくれた内容はこうよ。


 レナクル王国の復興を支援してくれた国や人々に感謝を示すパーティーならば、復興を支援したアフロディアスと異世界の国にも参加の資格がある。


 そこから、アフロディアスがごりごりに、マルルを説得して異世界トンネルを開かせたらしいの、本当に常識の外側から自分を推し進めてきた感じね……


 そして、アフロディアスはサンデアの前に立つと両手を組み、自信満々の表情で喋り出したの。


「はいはい、そんなことよりさ? 女神の前で嘘はいけないわよ、サンデアちゃん。アフロディアス御姉さんは、なんでもお見通しなんだからね!」


 女神であるバルキュリアとアフロディアスを前にサンデアは黙ったままうつむいたの。


「女神アフロディアスが命ずる……嘘偽りなき心の言葉を話しなさい。人は心を失ってはいけない……と、言う訳で、真実を強制的に語って貰うとするかしら」


 アフロディアスが悪魔のような笑みを浮かべるとサンデアの全身が光に包まれる。


「さあ、すべて吐き出しなさい!」


 その言葉にサンデアが突然、赤面する。


「わ、私はソルトが好き、大好きなのよ! 女王である私は素直になれなかったの……さっきも嘘を口にしようとしたの……ソルト、私は……私は……!」


 サンデアが全てをカタル前にソルトが立ちあがり、両手を伸ばす。


 伸ばされた腕がサンデアを包み込むと優しくも力強く抱きしめたの。


 アフロディアスはその光景に満足したかのようにうなずくと外から巨大な“ヒュゥ──バーン”と爆発音と共に花火が打ち上がる。


「プロポーズ成功ね。幸せになりなさいよ! 迷える者を導くのも女神の宿命ね。うんうん」


 自画自賛(じがじさん)するアフロディアス、ただ、迷える子羊(女王サンデア)は更に人生を迷うことになりそうなんだけど……


 取り敢えず、大波乱のパーティーはまさかの、レナクル王国の新国王を皆に知らしめる場になったわけね。


 明日から大変そうだけど、サンデアとソルトならなんとか出来るわね。


 パーティーが終わりを迎えるとシュビナ達と共に港に停泊している船に戻る。

 日の出と共にバトラング王国に戻る予定であり、パーティーの疲れが溜まったままの船旅は良くないとシュビナが口にしたためね。


 そんな私達の船に女王サンデアの侍女であるシャムスが女王から預かった手紙を手に姿を現したの。


 私に直接渡したいと見張りのバイキングに告げたらしく、急ぎシャムスと話す事にしたの。


「夜遅くすまない。サンデア女王陛下より、手紙を預かり、届けにきたのです。必ず中を確認して欲しいとのことです」


「わかったわ。取り敢えず中身を読ませて貰うわね」


 船に戻り、用意された部屋で手紙をひらく。


 内容は明日、もう一度落ち着いた状態で話がしたいと言うものだったわ。


「はぁ、仕方ないわね」


 溜め息を交えながら、シュビナの元へと向かい、内容を説明する。


 シュビナは「1日くらいかまわない」と言ってくれたわ。


 取り敢えず、レナクル王国でもう1日過ごす事になるわね。

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