祭りは順調です。
二日目の日が登り、寝不足を絵にかいたような私が其処にはいたわ。
大量の“炭酸レモン”と“炭酸グレープ”の瓶詰めが夜通し続き、パルムが追加の炭酸水を用意してくれたお陰で更に大量の炭酸飲料が用意できたの。
皆の驚きと笑顔を期待しながら自身の身を犠牲にするなんて、中々いい子ちゃんな性格は治らないらしいわ。
用意が出来た炭酸飲料を空間魔法の中にしまい、徹夜で作業を手伝ってくれた皆は気づけば寝てしまっていたわ。起こさないようにタオルケットを掛けてから私はパンの祭り二日目に向かう。
二日目は太陽が輝き、真夏日を連想させるように風すら熱風だったわ。
当然、御客さん達は食欲がなくなってパンを食べれるような状況じゃなくなっていたわね。
私は冷やした炭酸飲料(炭酸レモン、炭酸グレープ)を取り出すと飲み方を説明してから無償で配り始めたの。
最初は噎せる人も居たけど、ゆっくりと飲んで貰うように再度説明をしていったわ。
炎天下の炭酸はまるでゲームの回復薬のような素晴らしい働きをしてくれたわ。
炭酸が喉を潤し、胃を刺激すれば食欲の回復に繋がるわよね。そうなればパンを食べて貰うしかないわね。
一日目はシンプルなパンが多かったの、二日目のエリアは蜂蜜を練り込んだり、塗って焼いたりと工夫がされた物が多かったわ。
レモンジャムと蜂蜜の入ったパンは凄くサッパリでありながら、凄く香りが良くて高得点ね。
他にも蜂蜜を凍らせてから包んで焼いたパンやデンプンと混ぜて蜂蜜にトロミを増させたパンなんかもあってパン職人さんの努力は相当ね。
他にはサンドイッチスタイルね、サラダと蜂蜜の組み合わせや、ホットドックのように果物やイチジクを挟んで蜂蜜を上から掛けた物もあったわ。
炭酸飲料があるから、パンも飲み込みやすくなったみたいで、本当に良かったわ。
問題は炭酸だから、皆の満腹感が増しちゃった事ね。少し反省だわ。
回る内に夕陽が傾き二日目の祭りが終わりを告げる。
二日目は大満足の結果で終わったわ。
三日目は炭酸水の都合で配れなかったのよね、でもレモネードを大量に用意してライパンの祭り会場に数ヵ所無料で配れるスペースを用意したの。
ペンネ、サトウ、アララの他にタウリとナッツが手伝いに来てくれたのが大きかったわ。
「祭り見物にきた“お兄ちゃん”を捕まえて、無料で飲み物を配らせるとか、我が妹ながら、無茶苦茶だ……そう思わないかナッツ?」
「まぁまぁ、騎士を目指すタウリが国民の為に頑張るなんて素敵じゃないか、それにカミルちゃんは何時も無茶苦茶だけど、誰かの為に頑張ってるんだし、これも人助けだよ」
「はぁ、仕方ない。愛する妹の為に頑張るか」
タウリとナッツの会話が聞こえる……私が居ないと思ってタウリったら言いたい放題ね?
私は無理を言って手伝ってくれた二人の為に用意した差し入れの炭酸レモンの1つ(タウリの分)を確りと凍らせてあげたわ。
「二人とも、ありがとう。此れは私からの気持ちよ」
手渡した炭酸レモン、ナッツの分は普通の冷たさよ。
「ありがとう。カミルちゃん。頂きます」
ナッツが美味しそうに飲み進める中、凍り付いて瓶から出てこない炭酸レモンを必死に飲もうとしているタウリ。
「カミル! 出てこないぞ? あれか、お兄ちゃんが好き過ぎて冷やし過ぎたってやつなのか?」
どんだけポジティブな発想なのよ……タウリ、ある意味尊敬するわ。
「あら、“御兄様”、言いましたよね? 私の気持ちです。なんせ、私は無茶苦茶だそうなので、気持ちも冷めすぎて凍り付いてるみたいだわ?」
私の発言に全てを悟り、慌てて弁解をするタウリ、少しやり過ぎたかしら?
そんな私達の後ろから近づく人影。
「相変わらずだな? まぁ、喧嘩するほど仲がいいって事だな。安心安心」
この声は、私はすごい勢いで後ろを振り向いたの。




