88.榎崎 朱音①〜大会メンバー争奪戦〜
◼️前回までのあらすじ◼️
夏に行われる高校生最大の大会である全高ブレバトグランプリに向け、登録メンバーが発表されることとなる。
※ここから、しばらく朱音視点のお話となります。
□補足□
全高ブレバトグランプリについて
3名1組の団体戦1・2と、1対1で闘う個人戦1・2・3を行う合計5戦にて争う。先に3勝した方が勝ちとなる。
メンバーについては6名で、最大2戦まで出場出来る。
サブメンバーとして4名登録でき入れ替え流ことができる。
その日、来月から始まる全高ブレバトグランプリの登録メンバーが発表になった。
部長のセツナ先輩
副部長のレッドリーフ先輩
中距離アタッカーだけどどんな相手にも器用に対応できるクルミ先輩
遠距離支援のスペシャリストのマリー先輩
二年生では群を抜いた強さのカエデ先輩
そして、一年で唯一の選出となるSnow
サブのメンバーとしてマリー先輩とはタイプの違う回避型の後方支援を行うリョーマ先輩の名前が挙げられた。
「今の時点で決定しているのは以上の7名ね」
顧問の老月先生がそう告げると、選ばれた7名は喜びの声を上げた。
「や、やった。私、レギュラーに入れたよ。でも私で大丈夫かな……」
その中でも控えめに喜んでいたのが、Snowことクラスメイトの真雪だった。
「何言ってんの。凄いじゃん、大抜擢だよ!」
そんな真雪に抱きついて私ともう一人のクラスメイトの美月が一緒になって喜ぶ。
「ごほん! お前たち、まだ先生の話は終わってないぞ」
部長であるセツナ先輩の咳払いがザワついていた雰囲気を静かにさせる。
「えっと、ここからは残りのメンバーについての話ね。
残りのサブメンバー3枠については、候補メンバーによる総当たり対決の結果によって決めようかなと思うの。
部長の久遠寺さんとも話をしたのだけれども、候補メンバーについては甲乙付け難くてね。今までの部活の成績で判断しても良かったんだけど、ここ数日で一気に強くなった子もいるから、今の実力で決めたいと思っているの。それなら恨みっこ無いわよね?」
保健指導医らしい柔和な笑みを浮かべて老月先生が語る。部員達はその言葉に不満がない様で、不満の意見は出なかった。
「それじゃあ、メンバー候補を発表するわね。
まずは芦田くんのアバターのプロテイン」
「おう! がはは、他の候補には負けねーぜ!」
三年生の先輩が豪快に笑って応える。
「続いては、柴田くんのアバター・シヴァ」
「はい。っし、候補に残った」
ツンツン頭の二年の先輩が小さくガッツポーズをみせる。
「太刀川くんのアバター・タッチー」
「うむ。このメンバー入りの機会をモノにして見せようぞ」
長身の先輩が独特の口調で頷く。
「そして一年生からは榎崎さんのアバター・アカネ」
名前を呼ばれたのだが、あまり実感が湧かなく「えっ」と言葉をこぼすのみだった。
「やった。やったねアカネちゃん!」
横で我が事の様に喜ぶSnowを見てやっと実感が湧き、遅れて「やった。やったよ!」と喜びの言葉が漏れた。
「そして、最後の一人は――」
老月先生はそこで一拍おく。残り一人という事だ。まだ選ばれていない一年生が指を絡まして呼ばれることを祈る。私も一緒に団体戦でメンバー入りを目指したルナが呼ばれることを祈る。
七夕の時に約束したのだ。3人でレギュラーになって全国に行くんだって。レギュラーは取れなかったけど3人でメンバー入りするのだ、と願う。
しかし、呼ばれた名前は
「幹谷くんのアバター・ミキオ。以上の5名がメンバー候補です。この5名でのこり3つのメンバー枠を争って貰います」
一年生で団体を組んでいるグループのリーダーをしているミキオであった。
「うー、残念。やっぱりまだ私は実力不足だったね……」
ルナはガックリと肩を落とす。Snowも我が事の様に悔しそうに唇を噛んでいた。
「候補から外れちゃった3人は残念だけど、大会では応援とメンバーの手助けをお願いするわね。
それと候補に残った5人は今日から総当たりで対戦をしてもらいます。そこで勝率の良かった上位3人がサブメンバーとして大会メンバーとして入ってもらう事になるから、頑張ってちょうだいね」
「という事で、今日からは部活としてはメンバー争奪戦を主として回すこととする。
他の部員は争奪戦バトルの観戦で、感想戦にて助言をすることを心掛けてくれ。観察眼や洞察力も必要となってくるので、争奪戦期間は対象メンバー以外はそちらを鍛えるんだ」
老月先生の発言を引き継いで、セツナ部長が部員にこれからの部活方針を告げる。
これからはメンバー争奪戦がメインとなる。部員みんなに注目されてでのバトルになるので少し緊張する。プレッシャーのかかる舞台については慣れているつもりだったけど、いざ自分の運命が決まるバトルとなると手が震える。
「アカネちゃん」
小学校からずっと一緒だったルナが声をかけてくる。自分も落選して悔しいはずなのに、それを表に出さずに私を心配してくれる。
「アカネちゃんなら絶対にメンバーに入れるから、私、がんばって応援するから!」
Snowも私を元気付ける様に声をかけてくれる。
いい友達を持ったな、としみじみ思う。だから――
「あったり前じゃない。全勝でメンバー入りを果たしてみせるよ!」
と、陽気にサムズアップで応えてみせる。
女王が一般の大会に出るのはこれが最後なのだ。まだまだ私の実力じゃ女王ともう一度対戦するなんて夢は叶わないかもしれないけど、少しでも可能性があるならばそのチャンスを逃したくない。なので、是が非でもメンバー入りしたい。
「いつも頼ってばかりだけど、Snow、何かアドバイスがあったら遠慮しないでどんどん言ってね」
「うん。分かった」
私の言葉にSnowが頷く。
「では、今日の対戦カードだ。ランダム抽選でマッチングした結果
ミキオ vs アカネ
を今日の1戦目とする。
10分後にバトルを開始するので、二人は準備に入れ」
セツナ部長の言葉に私とミキオは「はい!」と言葉を返した。
いきなりの対戦だ。ミキオとの対戦成績はほぼ五分。なんとか初戦で勝利して勢いをつけたい。
頑張って、のルナとSnowの言葉を聞いて頷きながら、私は初戦に向けての準備を始めるのであった。
ミキオ戦まで書こうと思ったのですが、文字数が嵩んでしまったのでここで区切りました。
次話のミキオ戦については8割方描き終えているので、次話は明日(2021/12/26)の12:00に投稿予定です。




