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73.ブレバト紹介ブース

◼️前回までのあらすじ◼️

七夕イベント。とりあえずと言う事で、楓と冴華と交流した真雪達は、ブレバトを紹介しているブレバト紹介ブースへと向かったのだった。

『このように自分がイメージした通りにアバターとよばれるキャラクターを動かすことが出来るのです』


 ステージの中央でドレスを着た美女がゲームの説明をしていた。

 緩くウェーブした栗色の髪と知的そうなアーモンド型の瞳、七夕のイベントに合わせて織姫様を意識したような衣装を纏っているその姿に目を奪われる。

 実際、会場にいる観客の何割かは説明などそっちのけで、内側から衣装を押し上げている蠱惑的な胸元や、スカートの隙間から垣間見える艶やかな足元に目を奪われ、鼻の下を伸ばしていた。


「セシルさんも大変やねぇ。

 私もアニメのイベントでコスプレ紛いの格好で参加させられるのを経験してるからすごく分かるわぁ……」


 横で冴華さんが感想を漏らす。


「あの美人さんってもしかして……」


「『叡王』のタイトルホルダーのセシルさんやね。トッププロの中で唯一、セガワ・コーポレーション所属だから駆り出されたみたいやね。まぁ見ての通り芸能人顔負けなルックスとスタイルだから、こういうイベントの集客アップの客寄せパンダとして、スポンサーに使われちゃうんやね。本当人気選手は大変そうやわぁ」


 私の言葉に、冴華さんが答える。私の予想通りオールスターバトルで見たプロプレイヤーの一人だった。


「まったくどの口が言ってるんだか。アンタだって大概な客寄せパンダだろう」


 やれやれと肩をすくめる楓先輩に、「フーちゃんは冷たいなぁ」と口を尖らせる。



『はーい、さてさてさてブレバトの基本説明はわかったかなぁ? 今の説明を聞いてブレバトを始めたくなった方は是非是非インストールしちゃってくれよ。

 まだ端末を持ってないちびっ子は、そろそろお父さんが夏のボーナス時期だから、おねだりしたら買ってもらえるかもよ〜』


『お父さん方が微妙な顔してるだろ。余計なこと言うな。

 さて、次のコーナーは、本日の0時に実装されたばかりの新コスチュームと新スキルの紹介だ』


 舞台での説明が一区切りしたようで、二人組の司会が壇上に上がりイベントを進行する。

 あの二人組もオールスターバトルの時に見たことがある、たしか何とかっていうお笑い芸人だったはずだ。


『まずは新コスチューム、はい。ドン』


 司会の一人が言うと、背面の大型モニターに幾つかの衣装が表示される。


『まず目玉となるのは「織姫衣装ver.20XX」と「彦星ver20XX」

 去年からマイナーチェンジして、露出が多くなった分、特殊効果の【状態異常耐性(小)】が付与されています。これは現状況で流行っている雷属性の麻痺(スタン)効果の対抗策になるかもですね』


『そうですね。雷帝とも呼ばれる「闘聖」SaeKaの影響で雷属性が増えましたからね』


 舞台でのやり取りに、チラリと冴華さんを見るが表情は変わらない。


「ふふふ、気にしなくてもええよ。あんなものぐらいじゃ私の戦術に影響ないし、無駄に属性が偏るくらいならあれくらいしてもらってゲームバランスを保つのは正しい判断と思うんよ」


 他のみんなも私と同じく冴華さんを見たようで、にこりと笑いながら答える。


『さらにさらに、これからは夏!

 満を持して実装されたのがこちら「ビキニアーマー」と「水着プロテクター」だ。

 今までも水着装備はありましたが、ついに防御力を持った防備が登場だ。見た目のエロさに、実用性? も兼ね揃えた装備だ。これさえ装備していれば注目が集まること間違いなし!

 その他、幾つかのアニメとコラボした衣装が続々。魔法少女に忍者、さらには巫女に看護婦(ナース)と魅力的な衣装が目白押し。是非とも衣装ガチャを試してくれい』


 司会の煽り文句と共に、大型スクリーンに次々と衣装が映し出される。


『さらに新たな武器にも注目だ。剣としては新たに七枝刀と兜割。鈍器としては大型レンチ。投擲武器としては手裏剣に注射器などが実装されたぞ。

 私が注目している武器は「注射器」だ。状態異常の効果を付与して投擲可能で、同系統の投擲武器の「爆弾」とも異なった戦略の幅が広がる武器になること間違いなしだな』


 もう一人の司会も新しいアイテムを紹介する。状態異常を起こす投擲武器はなるほど厄介だな、と思った。そんな武器が実装されたことを知れただけでも、この会場に来た甲斐があったというものだ。


『では、続いてはプロプレイヤーの皆さんによる新スキルの紹介です』


 司会の二人が舞台の端に捌けると、立体映像(ホログラム)にてブレバトのアバターが舞台に映し出された。

 出てきたのはセガワ・コーポレーション所属のプロプレイヤーが数名。さすがに新スキルのデモンストレーションにはセシルさんは登場しなかった。


『では、まずは「剣士」の新スキル――』


 こうして、実際に舞台にてプロプレイヤーがスキルを披露する。実際にスキルを使用した時の動きが確認できるのは有り難かった。

 気付くと私達は舞台に目が釘付けになっていた。



「このスキルは厄介だな……」

「ああ……」


「なるほど、このスキルは意外性があるな。初見では対処できない可能性があるな」


「いやいや、これは冗談でしょ。隙が大き過ぎる」


 披露されるスキルを見ながら私達はそれぞれ意見を交わし合った。


『さーてさて、どうだったかな?

 様々なスキルが追加されて、益々面白くなるブレバトの世界。是非ともみんな楽しんでいってくれ』


『ここで会場のみんなに意見を聞いてみようかな?

 もし興味があるようだったら、こちらで仮アバターを用意しているので、舞台で少し体験してもらうことも出来るぞ。

 じゃあ、誰に意見を聞こうかなぁ〜……』


 司会が辺りを見回し、小さい男の子を指名する。小型のドローン搭載のマイクとカメラが子供に近づいていき意見を聞く。大型スクリーンに子供の顔が映り、嬉しそうに意見を述べていた。


 それを見つつ、私は先程見た新スキルの事を思い返して、小さく拳を振るう。拳闘士の新スキルはコンボ系のものが多く、よく考えられたものが多かった。右の拳を入れた後、時間差で死角となる位置から左の拳を打ち込む。なるほどこんな動きかぁ、と現実ではひょろひょろのパンチを出しながら考えていると、シュィィィンという羽虫が飛ぶ様な低い音が近づいてきた。


 何だろうと顔を上げると、小さなドローンが私の目の前まで飛んできた。


『次に意見を聞くのは、そこで健気にスキルの練習をしている女の子』


『「ほえっ!?」』


 驚いた私の顔と声が大型スクリーンに映し出される。


『驚かせちゃったかな。ごめんねー。

 えっと、お名前聞かせてもらえるかな?』


 司会の人が此方に視線を向けて質問をしている。


「わ、私ですか?」


『そう。私ですよー』


 状況を把握できずに独り言のように疑問を漏らすと、司会の人から答えが返ってきた。

 見回すとみんな私の方を見ている。朱音ちゃん達は楽しそうにニコニコしている。


「私の名前は真雪です」


『真雪ちゃんだね。高校生かな?』


「はい。高校一年生です」


『一生懸命スキルの真似をしていたけど、真雪ちゃんはブレバトに興味はあるかな?』


「うん。私、ブレバトを始めて2ヶ月の初心者なので、さっきのスキルのデモンストレーションは凄く為になりました」


 矢継ぎ早での質問にどんどん答えていく。なんだか隣で「初心者、ねぇ……」と朱音ちゃん達が微妙な笑みを浮かべていた。


『なるほど。始めたばかりなんだね。

 それじゃあ真雪ちゃん。新コスチュームや新スキルを試したくはないかな?

 もし興味があるようだったらこちらで用意したデモ用のアバターを用いて舞台上で体験してみないかな?』


 司会が私に問いかけてくる。先程の子供はまだ年齢が低すぎたのでデモのお誘いはなかったが、ブレバトをプレイした事がある私にはお声がかかったみたいだ。


「えっと、どうしよう……」


 チラリと仲間達の様子を確認する。


「えー、真雪。スゴイじゃん。いーなー、羨ましい。私も体験してみたいなー」


 急に明るい調子で冴華さんが声をかけてくる。その言葉に朱音ちゃん達が驚いて目を丸くするが、それより先にその声をマイク越しに拾った司会が新たに提案してくる。


『おや、お友達も興味あるのかな?

 ならば是非二人で体験してみるというのはどうだろう。二人だったら対戦形式でスキルを掛け合うこともできるしね。もちろん仮アバターでの対戦だから痛みのフィードバックはないし、勝敗も本アバターには影響はないから安心してね。

 さて、真雪ちゃん。帽子の子と一緒でいいので体験してみないかな?』


 えっ、冴華さんと一緒に⁈ えっと、大丈夫なのかな……


「やったー。是非是非、体験してみたいです。よろしくお願いしますー」


 どうしたらいいか分からずに戸惑っていると、冴華さんがマイクに向かって答えてしまう。


『分かりました。ではお二人はそのまま舞台の方までお越しください。

 では、次の人にも感想を聞こうと思います――』


 司会の言葉と共にドローンマイクが私の前から飛び去った。


「ちょっ、サエ。アンタ、大丈夫なのか?」


 楓先輩が慌てて冴華さんに訊く。


「仮アバターを使う言うてたし問題ないんちゃうかな?

 実際に私も新スキルは気になってたしな」


 あっけらかんと冴華さんが答える。


「まぁ、バレないように上手くやるよ。

 ほな、真雪ちゃん。一緒に舞台へ行こう」


 冴華さんが私に手を差し伸べる。


「うー、真雪。いいなぁー、冴華さんと一緒に舞台に上がれるなんて」


 朱音ちゃんが羨ましそうに私を見ている。


「あっ、そうそう。真雪ちゃん、舞台では私の事『サエ』っ呼んでね。流石に冴華って名前言われたらバレちゃうと思うからね」


 冴華さんはにししと悪戯っ子のような笑みを浮かべると、私の手を取って嬉しそうに舞台へと向かうのであった。

 さてさて、冴華の独断で舞台に上がることとなってしまった真雪。

 このまま何事も起こらなければいいのですが、そんなワケにはいかなそうですね。


投稿ペースを少しずつ上げていこうと思いますので、次回もご期待いただければと思います。

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