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52.入部

◼️前回までのあらすじ◼️

eスポーツ部の友達たちとブレバトオールスターゲームを見に行った真雪。

そこで部活に誘われた真雪は、ついに部活に入部することを決意するのであった。

「ということで、今日から一人、部員が増えることになった。

 前に一度、見学に来てくれたから、覚えてる人も多いと思うが、念の為自己紹介してくれ」


 オールスターゲームが終わった翌週の月曜日。私は朱音ちゃん達に連れられて、eスポーツ部の部室にもなっているダイブルームにやってきた。

 私は刹那部長に促されて、みんなに挨拶する。


「1年E組の柊木 真雪です。

 あの、身体が弱くてみんなの足を引っ張ってしまうかもしれませんが、精一杯頑張りますので、よろしくお願いします」


 そう言って、頭を下げると、部員のみんなから「よろしく」との言葉と小さく拍手で迎え入れられた。

 こうしてみると、部活の輪に入るのを怖がっていたのが杞憂だったと気づく。部員のみんなの目は概ね好意的であった。


「うむ。今、自己紹介でもあったように、柊木は最近まで病気を患っていて身体が弱いので、無理はさせないようにな。

 榎崎、同じクラスのお前が面倒を見てやってくれ」


 刹那部長がそう言うと、朱音ちゃんは「はい」と返事を返した。


「さて、部活を始める前に一つみんなに連絡する事がある。

 遂に来月からブレバトグランプリの県予選が始まる。

 それに向けてうちのも代表メンバーを決めなくてはならない。その代表選考も兼ねて、今日からは実践バトルについては結果を記録していくこととする。

 なので気を抜かずに部活に励んでくれ!」


 刹那部長がそう宣言すると、部員達は気合の入った返事を返した。


 みんなやっぱりブレバトグランプリに出たいんだな。


 そういえば、オールスターゲームが終わった翌日に『SaeKa、プロ専念宣言を撤回。一転、全国高校ブレバトグランプリに出場を検討』とニュースになっていた。


 女王(クイーン)がブレバトグランプリに出場することとなれば、オールスターゲームにてSaeKaと対戦できなかった高校生選手も俄然闘志に火がついたようだった。


「朱音ちゃん。これに代表に選ばれれば一度女王(クイーン)と闘える可能性が出てきたね」


 朱音ちゃんに小声で言うと、一瞬複雑な表情を浮かべたが「そうだね。そのためには強くならなくちゃ。女王(クイーン)に声が届くくらいに」と拳を握りしめた。


 こうして私は正式にeスポーツ部に参加することとなった。



「折角一年が6人になったんだしさ。団体戦、やろうぜ」


 そう声をかけてきたのは、同じ一年生の男子生徒だった。跳ねた眉毛と笑顔が特徴的な男子生徒。


「俺は1年2組の幹谷(みきたに) (いわお)。アバター名は『ミキオ』だ。よろしくな」


 キョトンとしていた私に、眉毛の男子生徒――幹谷くんが右手を差し出す。

 握手、ってことかな?


「あー、ミッキー、どさくさに紛れて女子と触れ合おうとしてる!」


 恐る恐る幹谷くんの手を握ろうとした手が、その声でびっくりして止まる。


「なっ、お前、変なこと言うなよ。それにミッキー言うな。俺は鼠の国の王様か!」


 幹谷くんがその声の主に文句を言う。声の主は茶髪に髪を染めた男子生徒だった。


「あっ、俺はミッキーと同じ1年2組の根岸(ねぎし) 央磨(おうま)。よろしくぅ〜」


 軽薄そうな笑みを浮かべて手を差し伸べる。なんだか嫌な感じがして、手を出すのを躊躇っていると、スビシっと根岸くんの差し出した手に手刀が落ちる。


「汚い手で真雪に触ろうとしてんじゃないの!」


 (まなじり)を吊り上げて朱音ちゃんが抗議して、美月ちゃんが私を庇うように優しく包む。


「榎崎も大鍬も俺に対する態度、厳しくないっすかー?」


 口を尖らせて根岸くんが抗議する。


「はぁー、当たり前でしょ。あんたに触られたらチャラ男菌で真雪が穢れるわ」


「なんだよ、チャラ男菌って」


 根岸くんの講義が続くが、朱音ちゃんが「しゃー」と猫のように威嚇している。ちょっとその姿が微笑ましかった。


「あの…… 団体戦……」


 根岸くんの後ろから、女子生徒が声をかけてきた。


「のわっ! 葉山。いつもながら急に背後から声かけられると、ビビるわ」


「一緒に……来たのに……」


「葉山さんの言う通りだ。俺ら3人で団体戦しようって声掛けに来たんだろ。急に後ろに立ったわけじゃない」


「お、おう。すまん、存在感がないからつい一緒に来たの忘れちゃってて……」


 ははは、と笑って返す。

 そんな根岸くんの言葉を受け流して、前髪が長くて目の上半分が隠れている女子生徒がこちらに視線を向けて言葉を発する。


「……しのぶ……」


 その言葉の意味が分からずにキョトンとしていると、幹谷くんがすかさずにフォローをいれる。


「こいつは俺らと同じく一年の『葉山 しのぶ』だ。たしか、1年A組だったかな。言葉足らずなとこがあるけど、よろしくってさ」


 幹谷くんが葉山さんの背中を軽く押すと、一歩前に歩み出て私の前に近づく。

 近くで見ると、髪の毛で顔が隠れているが、かなりの美人さんなのが分かった。


「あの、よろ…しく……」


 おずおずと差し出された手。その手を私は「よろしくね」と答えて握り返した。

◼️登場人物紹介◼️


〈eスポーツ部(1年生)〉

幹谷みきたに いわお

 特徴的な跳ねた眉毛が特徴的な男子生徒。

 一年生男子の中心的人物で無口なしのぶの言葉を理解できる数少ない人物


根岸ねぎし 央磨おうま

 茶髪のチャラ男。軟派な性格のお調子者。


葉山はやま しのぶ

 無口な女子生徒。アニメオタク。

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