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46.オールスターゲーム⑤〜サプライズマッチ〜

◼️前回までのあらすじ◼️

オールスターゲームを観戦してるよ。

名人 vs 闘聖(女王・SaeKa)の頂上対決はSaeKaが勝利した。

「きゃー、きゃー、すごい! 女王(クイーン)が名人を(たお)しちゃったよ!」


 隣で朱音ちゃんが大喜びしている。


 会場も大歓声だ。割れんばかりの歓声に続いてSaeKaコールが巻き起こる。


「す、すごいね……」


 隣の朱音ちゃんに言葉を伝えようどするが、すごい歓声で私の声が届かない。


 舞台ではちょうどタイトルホルダーのプロプレイヤーが全員出揃ったので、まだインタビューをしていなかった残りの3選手の紹介と、この後にインタビューをするための準備が進められていた。



『ヘイヘイヘーイ! またしても登場の「えるあーる。」だぜーい!


 すんごい試合だったな。会場にいるみんなはもしかしたらとんでもない瞬間に立ち会ったのかもしれねーぜ』



 まず舞台に現れたのは、司会進行も行なっているお笑い芸人の片割れ。



『ああ。まさかまさか、名人vs女王の頂上対決がまさかここで見れるなんて思わなかった』


 続いてもう一人の司会進行も現れる。


 二人とも興奮しているみたいで、煽り文句も熱が入る。

 まず呼び込まれたのは『王座』のドランと、『闘将』のキッド。

 会場は盛り上がるが、それでもそれはただの前座の様な印象となる。


『そして最後に、先程のバトルで名人を斃す大金星を上げた今や人気絶頂、次世代の最強プレイヤーと言って良いでしょう。

 古流剣術『紫電一刀流』を扱う期待の新生――『闘聖』――Sa・e・Ka〜〜!!!!』


 呼び込みの声と共に、地響きがなる様な大歓声が上がる。


 プシューという炭酸ガスの煙と共に、袴に羽織姿の少女が登場する。


カエデ:うわぁ…… 冴華、機嫌悪そうだな……


 チャットに楓先輩の言葉が表示された。


 にこやかに手を振ってる姿からはそうは感じられない。


ルナ:あの衣装って、アニメ「紫電の刃」の主人公・鞘華の格好だね


レッド:すごい歓声だな。アニメからブレバトファンになったオタク達が狂喜乱舞してる……


 次々とチャットに文字が踊る。


カエデ:こういうの冴華は嫌がるから、見た目に反して相当機嫌悪いぞ


セツナ:全くそれを面に出さないのはすごいな……


 楓先輩のコメントに、部長の言葉が重なる。


『さてさて、闘聖のSaeKa選手。頂上対決を制してた感想をお聞かせ願えますか?』


 二人のプロ選手へのインタビューが終わり、遂にみんなが待ち望んだSaeKaへのインタビューとなった。


『まさか名人に勝てるなんて夢にも思ってませんでした。

 非公式の試合なので勝敗は参考記録ですし、もし公式の試合で調整も万全であったならば、勝利できていたかは分かりません』


 SaeKaは謙虚にインタビューの受け答えをする。


 その言葉に「そんなことないぞー。公式戦でも絶対SaeKaが勝つよ!」と場内から声が飛ぶ。その声にSaeKaは「応援、ありがとうございます」と会場に向けて手を振って応える。


カエデ:良い子を演じてるな。アタシから見れば「勝って当然です。もし公式戦でも負ける気はしない」って言ってる様なものだな


 チャットに文字が踊る。


アカネ:むっ、なんかカエデ先輩はクイーンに対して辛口評価じゃないですか?


 大ファンの選手を貶されたと思ったのか、朱音ちゃんがチャットで反論する。


カエデ:そうか、アカネは知らなかったんだな。アタシと冴華は幼馴染なんだ。なので冴華に対しては歯に絹着せぬ物言いになっちまってるが、悪意はないよ


 その言葉に朱音ちゃんが驚いていた。


『若干17歳。高校三年生のプレイヤーが、なんと国内ランク1位の名人を破る快挙。実に素晴らしい闘いでした』


 司会の片割れが絶賛する。


『SaeKa闘聖、俺っちからも一つ質問させてもらうぜい。


 兄貴が言った様に闘聖は現在高校生、今年行われる全国高校生ブレバトグランプリには参加するのかな?


 プロの規定では正式な大会以外は参加不可となっているけど、一応ブレバトグランプリは正式大会の扱いなのでプロ連盟に申請すれば参加は可能みたいなんだけど、どうなんかなーって思ったワケで。


 けど、参加するとなると、時期が重なる『闘将』戦への参加が難しくなるんよね。


 高校にて三連覇を果たすか、上位のタイトルへチャレンジするか、どちらも俺っちは見たいところなんだぜい』


 もう一人の司会が質問を投げかける。


 それは度々誌面でも話題に上がっている内容であったのだが、未だに正式な回答が無い内容であった。

 会場の皆がSeeKaの回答に耳を傾ける。


『そうですね。それについては色々思うところがあります。

 高校生活の中でずっと無敗での三連覇を目標に掲げてやってきましたので、全高ブレバトグランプリには参加したかったのですが、今回は見送ろうと思っています』


 SaeKaの回答に会場がどよめく。


『そ、そうなんですか。もし差し支えなければ、そう判断した理由をお聞かせ願えますか?』


 会場の皆の疑問を代弁するかのように、司会者が質問を投げかける。


『そうですね。


 これは一部の雑誌でも指摘されていたのですが、私が高校生の大会に出ればゲームバランスが崩れ、若い芽を積んでしまう結果に繋がるという意見がありました。


 その記事を見たときに、私はその通りかもと思いまして。

 ですので、今年はプロの活動に専念し、高校大会は出場を見送り、1ファンとして新しい才能が頭角してくるのを見届けようと思ったのです』


 SaeKaの言葉に会場が静まり返る。


アカネ:うそ…… クイーンがブレバトグランプリに出ないなんて……


 朱音ちゃんの呟きが、チャットに文字として表示される。

 女王(クイーン)を目指して努力してきた朱音ちゃんにとって、憧れの相手と闘う唯一の場だと思っていた大会に不参加を表明したのだ。そのショックは相当なものみたいだ。


 朱音ちゃん……


『しかし、急に私がブレバトグランプリに不参加と言って戸惑う方々もいるでしょう。

 ブレバトの強豪校など私の在籍する祇園女子高校打倒を目標に掲げているところもあり、また去年のブレバトグランプリでは今年での再戦を約束した選手もいます。

 ですので、このオールスターゲーム主催のプロ連盟に特別イベントを申請し認可頂きました。


 この後のエキシビションマッチの後に、サプライズマッチを行いたいと思っています。


 今回、私の方で幾つかの高校へこのイベントへの招待状を送りました。

 私が送った招待状にて観覧している方々、その中で各高校代表一名までをサプライズマッチへ参加可能とします。

 サプライズマッチはバトルロイヤル形式。1対1ではなく、急な提案のため調整が足りていない等あると思いますが、私とバトルできる良い機会ですので、是非とも参加頂ければと思います』


 SaeKaの口から思いも寄らない提案がなされた。


 しかしこれは大会運営側は了承済みの様で、大型モニターにサプライズマッチについてのルール説明が表示された。


カエデ:これはとんだ茶番だな。冴華の心ではこう思っているだろうよ。『もう高校生レベルの試合には出ない。まとめて相手してやるからかかって来い』ってことだろうな。


 チャットに楓先輩の言葉が文字として表示される。


アカネ:ちょっと待って。クイーンから招待された高校って、もしかしてうちも入るんじゃない? モニターに表示された高校一覧にうちの学校が載ってる!


レッド:どういうことだ。うちはここ数年、県予選すら勝ち上がれてないというのに


ルナ:あれ、なんかクイーンがこっち見てない?


 舞台に視線を向けると、SaeKaがこちらに笑いかけた後に舞台を指さした。なんとなく「出て来い」と言っている様だ。


カエデ:ったく、あいつは


セツナ:どういうことだ?


カエデ:多分、冴華は高校での試合はこれで最後にしようとしてるんです。なので遺恨を残さない様に強豪校のプレイヤーを纏めて相手するのと同時に、幼馴染のアタシとも闘いたいっていう私闘も混ぜ込んできたんだと思います。まったく、要領がいいというか、したたかだというか……


 楓先輩を見るとやれやれとため息をついている。


 舞台ではサプライズマッチについて司会の二人が盛り上げており、客席からも強豪校の生徒から「倒してやるからな!」と声が飛んだりしていた。


 こうして、オールスターゲームのプログラムに、サプライズマッチとして闘聖・SaeKa vs 高校生選抜(10校10名)の特別バトルが組み込まれたのであった。


なかなか物語が進まなくてすみません…

プロ同士の闘いはサラッと1〜2話で終わらせる予定だったのに5話も使ってしまった…


SaeKaが提案したサプライズマッチにて、招待された高校生にも参加権が!


次の話から物語が大きく動いていく予定です。

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