45.オールスターゲーム④〜頂上決戦〜
◼️前回までのあらすじ◼️
トッププロが集まる祭典、ブレバトオールスターゲームを観戦に来たよ。
おおおおおおおお!!!!
バトルが決着し歓声とどよめきが上がる。
アカネ:えっと、最後は何が起きたのかわかる人、解説お願いします。
チャットに朱音ちゃんのメッセージが流れる。
「最後はスキル【蜃気楼】で認識を錯覚させて見えなくしたブーメランがドランの襟首に決まって致命の一撃で決着だったね。
ドランの大技を食らって後退するように見せかけて、ブーメランの戻ってくる射線に誘導したキッドの動きが上手かった……」
私は今起きた事の解説と意見を小声で呟くと、アプリがその音声を拾ってチャットに文字として表示する。
部員のみんなが驚いた顔で私の方を向く。
えっ、私、なんか変なこと言ったかな……
みんなの反応に不安になるが、その後に会場の解説が私とほぼ同じ説明と感想を述べていたので、間違ってなくて良かった、とほっと息を吐いた。
因みに解説として説明しているのは『叡王』のセシルさんである。1対1バトルは専門外のため、このエキシビションマッチには参加せずに実況に回ったようだ。
ルナ:真雪ちゃん、今の見えてたの?
チャットに文字が踊る。
ん? どういうことだろ。見えてたか、って。あ、そうか――
「部長にいつか再戦するときのために【蜃気楼】の効果については研究してたから、スキルが発動した後のモーションから見えない武器の予測は出来る様になったんだ」
実際に見えていたわけではないよ、と説明するが、みんなの驚いた表情は変わらなかった。なんだろう。話が噛み合ってない感じがする……
レッド:そこまで研究されてるとはな。次に闘ったら、セツナが負けるかもな。
副部長が部長を横目に見ながら呟いた言葉が文字として表示される。
いやいやいや、そんなことは――
否定の言葉を紡ごうとしたのだが、それを割れんばかりの歓声が掻き消す。
うおおおおおおおお!!!
凄まじい歓声。
メインモニターには次の対戦カードが表示されていた。
闘聖・SaeKa vs 名人・フェルギナス
『おおっと、ここでとんでもない対戦カードが決定したぁぁぁ!
満を辞しての登場となる人気No.1、『闘聖』SaeKaの対戦相手はなんとなんと現在の国内ブレバトランキング1位。最強プレイヤーの『名人』フェルギナスだぁぁぁっ!!!
オールスターの対戦カードはランダムですが、まさかまさかの頂上対戦がここに実現だぁぁぁぁ!!!』
熱のこもった実況。とんでもない対戦カードに会場内のボルテージが一気に最高潮に達する。
アカネ:うそ……これって日本最強の二人の対戦じゃない……
カエデ:冴華……
みんな言葉を失っている。口数の少ない楓先輩ですら、驚愕のあまり言葉が漏れて、それがチャットに表示された。
セツナ:これは注目だな
レッド:ああ。みんなこの試合については、チャットへの書き込み設定はオフでいいぞ
先輩方のメッセージにみんな頷いて、設定を変更して舞台に注目する。
★
「やれやれ、まさか儂がお主の相手になるとはのう……」
鷹の目の様な鋭い眼光の拳闘士が舞台に現れるとそうボヤきながら、筋を伸ばして準備運動をする。
「『名人』のタイトル戦以外出場しないフェルギナス殿と対戦できるなんて光栄です。胸を借りるつもりで、挑ませて頂きます」
目を閉じて集中していた女侍が、フェルギナスの言葉を受けて小さく頭を下げる。
「言葉に反して、その眼は勝つ気満々じゃな。これだから京女は怖いんじゃ」
準備運動を終えたフェルギナスが、ゆっくりと拳を構える。
「こちらの心情を読み取る洞察力、流石ですね。
この闘いは戦績に含まれないものですが、本気で行きます」
SaeKaは刀の鍔を押し上げ、腰だめに構える。
『さあさあ、最高峰の闘いのカウントダウンが始まります。Ready――』
Fight!!
会場の観客も開始の合図と共に声を上げる。
パリリッ……
スパークを残してSaeKaの姿が搔き消える。
早い!
先手はSaeKa。目にも止まらない足捌きで距離を詰め居合い一閃。横薙ぎの一撃がフェルギナスを襲うが空を斬る。
フェルギナスは相手の攻撃を先読みしていた様で、開始と同時にバックステップで距離を取るべく動いていた。
パリッ
しかし、すぐさまSaeKaはもう一歩踏み込んで追撃を行う。
「スキル【気功弾】!!」
それも読んでいたフェルギナスは【二段跳躍】で更に距離を取りながら、スキルによる中距離攻撃を繰り出す。
SaeKaはその攻撃を防御するが、防御で一瞬動きが止まったところへ、フェルギナスの攻撃の嵐が襲う。
着地と同時に得意の連打とスキル【気功弾】のコンボを発動させたのだ。
まるで速射砲の様なエネルギー弾の連撃。しかし素早い刀捌きでそれを防御。
「スキル発動【落雷】」
防御しながらスキルを発動させる。
一筋の閃光が天と地を繋ぐ。
ズガガガン!!!
衝撃。スキルによる落雷で地面に小さなクレーターが出来る(と、いっても立体映像による再現だが……)
【落雷】
【落雷】
【落雷】
間髪入れずスキルを連続発動する。
「ちぃっ!」
息つく暇もない攻撃にフェルギナスは舌打ちをして必死に回避する。
そんなフェルギナスに対してSaeKaは距離を詰めて近距離戦に持ち込もうとするも、先読みされて距離を取られる。
『おおっと、名人、これは防戦一方だ。
距離を詰めようとする闘聖と、なんとか中距離での闘いを続けようとする名人。
この状況、どう思いますか?』
実況が解説に話題を振る。
『そうですね。俊敏ではSaeKaの方が上のため、名人は上手く距離を取って闘う戦法に徹している様ですわね。
SaeKaも【落雷】という中距離攻撃手段を持っていますが、魔法系スキルのため体力を消費します。名人の方は体力消費のない【気功弾】のため、ジワジワと差が出るのですが、このまま最後までこの戦法で行くとは思えないですね。
このジリ貧の状況にSaeKaが焦れて無理に動いた時に一気に攻勢にでる算段だと思われますわ』
セシル叡王が的確な解説を入れる。
「ほっほっほ。参ったな。外野の声が聞こえるってのは、セシルの的確な分析も聞こえちゃうってことじゃな」
スキルを撃ち出しながらフェルギナスが苦笑する。
「教えられてもこちらが仕掛けるしか打開策はない老獪な策ですね。
いいでしょう。敢えてその策に乗って、正面から打ち破って見せます」
SaeKaは刀を納刀し、腰ダメに構える。
画面に発動したスキル【俊敏向上】の文字が踊る。
速度の上限を解放するステータス向上スキルだ。
「紫電一刀流・奥義『雷鳴閃』!」
技名を発すると同時にSaeKaが超高速で駆ける。スパークを残して駆ける軌跡は正に雷光。ジグザグに走る稲光の軌跡を残して一気に距離を詰める。
ステータス向上で最大にした速度と、侍の固有スキル【初撃加速】の恩恵を上乗せした抜刀術のコンボ。ゲームの理論上最速の技が繰り出される。
「ほっほっほ。最高速度を出すということは此方の攻撃もお主には最速になるじゃろう。ならば儂は攻撃を置いておくだけで済む。
スキル発動【真空刃竜巻】!」
フェルギナスとSaeKaの間に巨大な竜巻が発生する。
パキン……
それと同時にフェルギナスの胸元で何が砕ける。
『あれは「魔導師の宝石」!
一度だけ魔法系スキルの詠唱エフェクトを不可視化するレアアイテムです。名人は中距離戦闘を行いながら大魔法の詠唱を行なっていて、相手に気づかれない様にそのエフェクトを見えなくしていたのですわ!』
すかさずセシル叡王の解説が入る。
最高速度で距離を詰めようとしていたSaeKaは目の前に現れた巨大な竜巻を回避することができない。
その竜巻に思いっきり突っ込むこととなり、カウンターで全身を切り刻まれることとなる。
「ほっほっほ。儂の作戦勝ちじゃ――っ!!」
勝利を確信したフェルギナスの言葉は中断され、火花が散る。
「くっ、こんな奥の手を隠し持ってたとはの」
必死にSaeKaの斬撃を防御しながらフェルギナスが呟く。
「あまり見せたくは無かったのですがね」
SaeKaが不敵に笑いながら、斬撃の速度を上げていく。
未だに猛威を振るう竜巻の中には発動したスキル【空蝉】の文字と、身代わりになり無惨に切り刻まれた丸太が踊っていた。
「しかし、接近戦に持ち込まれたとしても、『連撃の神様』と呼ばれた儂じゃ。打ち合いでは負けんぞ!」
最高速度で迫る斬撃を防御しながら、フェルギナスも高速連打を繰り出す。
大魔法の詠唱のために距離を保っていたのだが、魔法を発動してしまった今、距離を取る必要は無くなったのだ。
先程までの闘いとは一転し、近距離戦闘が繰り広げられる。
互いに防御しきれない攻撃があるようで、体力が徐々に減っていく。
「このままじゃ、大魔法を使用して体力を消費している儂がジリ貧じゃの。ここはもう一つの奥の手じゃ!」
フェルギナスは奥の手スキルを発動させる。発動したスキルは【知覚鋭敏】。限界値突破のステータス向上スキルの中でもなかなか使用されないスキルだ。
知覚を向上させて名人が繰り出した技は――
真剣白刃取り
なんと高速で繰り出された日本刀の攻撃を、両の掌で挟み込み様に受け止めたのだ!
「お主対策に習得したのじゃ。これで終いじゃ!」
そのまま武器破壊をしようとしたフェルギナスの身体が小さく震える。
【電撃】
SaeKaが発動させたスキル名が画面に表示された。
「しまっ……た……」
途切れ途切れのフェルギナスの声。スキルによって刀身に電流が走り僅かな時間だが、名人が行動不能してしまったのだ。
「良い試合でした」
SaeKaにとってみればその一瞬があれば十分であった。
「紫電一刀流・奥義『嵐雷暴風刃』!」
SaeKaの繰り出した必殺技が、最強と呼ばれた名人・フェルギナスを斬り刻み、勝利を決めたのであった。
サラッと終わらせようと思った女王vs名人戦。
書き始めたら止まらなくなって、それなりのボリュームに……
熱かった!
やっぱバトルはいいよね!
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