44.オールスターゲーム③〜閑話〜
◼️前回までのあらすじ◼️
eスポーツ部のみんなとブレバトオールスターゲームを見にきたよ。
会場では先程ドラゴンを倒したプロ選手のインタビューが始まったのだが、朱音ちゃんから合図があり、私は端末のバイザーを展開してチャット画面を開いた。
セツナ:この時間を使って少し話をしよう。
画面に文字が踊る。
セツナ:みんなは今の闘いを見てどう思ったかな?
早速、部長さんから質問が届いた。
レッド:当たり前のように1パーティーで勝っていたけど、信じられん。やはりプロは技量が違う……
カエデ:同じ拳闘士として、名人の動きはとても参考になった。相手の動きを先読みして全ての攻撃を完全回避する技量は流石の一言だ。
ルナ:パイルバンカー。あるのは知っていたけど、使いこなしているところを初めて見ました。すごくかっこよかったです!
アカネ:ははは。ルナは浪漫武器大好きだもんね。えっと、私としてはファイヤブレスを切ったあの技が気になりました。スキル表示されなかったので独自の技だと思うのですが、もしスキルで実装されたならば取得したいなと思いました。
次々とみんなの意見がチャットに流れる。
セツナ:Snowはどうだ?
チャットの流れを読むので精一杯だった私に話題が振られる。
「初めて討伐クエストを見たので、すごく参考になりました。
やはり、討伐クエストでは支援職の働きが重要ですね」
小声で回答する。するとチャットアプリが私の声を拾い上げて、文字としてチャットに表示する。その内容が正しいことを確認して送信ボタンを押す。
その内容を見て、部長さんはうんうんと頷く。
セツナ:Snowはいつも対人バトルのみ行っているのかい?
さらに質問が届いたので、私は入力を省略するため「はい」に該当するスタンプを返す。
セツナ:討伐クエストをやっていないと、武具などが増えないだろう。やってみたいと思わないかい?>Snow
矢継ぎ早に私宛のメッセージが表示される。
カエデ:部長。強引に勧誘するのは「なし」って約束ですよ
私が返信する前に、楓先輩のコメントが表示された。
セツナ:ごめん、ごめん。そんなつもりじゃなかったんだ。
レッド:まったく。これだから脳筋女は…… 今回は柊木さんにはまずはブレバトに興味を持ってもらうのが目的だからな。なので、柊木さんは気になることがあればどんどん質問してくれ。俺たちで説明出来ることはしようと思うからな。
すかさず、副部長のコメントが表示された。
う〜ん、私はそんなに嫌がってるわけじゃないんだけどな、と思いながら、先輩達の言葉に甘えて質問をする。
Snow:プロの選手についてあまり知らないので、どんな選手がいるのか教えて欲しいです。
そうチャットに発言すると、eスポーツ部のみんなが詳しく教えてくれた。
まずは『名人』位の『フェルギナス』さん。
アバター名が覚え辛いので、みんなは本名の『タカハシ名人』って呼んでいるとのことだった。
ちなみにだけど『フェルギナス』とは鷹の種類のことらしい。eスポーツではあまり本名では呼ばないのだけど、有名なプロ選手は例外だと副部長が解説してくれた。
アバターは青年の姿なのだが、本人は70を越えるご老人である。
多くの武芸を極めた格闘家で遥か昔に引退して隠居していた人物である。けれども、VRゲームという新たなプラットフォームが登場したことにより再度脚光を浴びた達人だ。
ゲーム内のスキル『連拳撃』『連蹴撃』はタカハシ名人が提供したスキルである。その事から分かる様に連続攻撃を得意とする選手らしい。ちなみにスキルは1秒間に10発の攻撃を繰り出すのに対し、タカハシ名人は最大16発の攻撃が可能らしい。
VRゲームは年齢や性別の枠を超えて活躍できるのだが、タカハシ名人は「高齢でも活躍できる」事を示した人物とのことだ。まさに年配の星だ。
続いて『武仙』位の『ケンヤ』について。
本名は宝殿 剣哉。多くの武具を操る『神羅無弦流』の使い手らしく、どんな武器でも操れる天才とのことだ。二つ名として『ウェポンマスター』とも呼ばれておりナイフから大剣、扱いの難しい大鎌や遠距離攻撃可能な大弓など様々な武器を使用して繰り出される多彩な攻撃が特徴だということだ。さらに、武器の性能を最大限に引き出し放たれる技も超一級で、討伐クエストで繰り出した『海割』もその技の一つだということだった。
次に紹介されたのは討伐クエストに参加していたもう一人、『叡王』位の『セシル』だ。元々は大型MMOゲームのトッププレイヤーだった女性らしい。
本名は氷室 聖知。元MMOプレイヤーだったこともあり、1対1バトルより団体戦や討伐クエストなどの戦略系にて活躍してタイトル位を取得した異色のプレイヤーだ。
魔法系スキルの研究に余念が無く、様々な組み合わせで魔法を繰り出すその戦闘スタイルから『魔法の錬金術師』の二つ名でも呼ばれているらしい。
残りはまだ登場していない3人のプロだ。
その中で最初に紹介されたのは『王座』のタイトルホルダーの『ドラン』こと金城 龍人は金城財閥の御曹司らしい。
実力のある選手なんだけど、装備にとんでもなく課金しているためタイトルホルダーの中で一番人気がないみたい。
装備については大きな恩恵はないものの、やはりそれでも上位クラスの闘いになるその少しの差が重要になるわけで、高い勝率を維持しているようだ。
課金アイテムだけでなく、レアな装備が手に入るイベントや、期間限定クエストに必ず参加して装備を手に入れていることから『希少武具収集家』の二つ名でも呼ばれているらしい。
もう一人は総合格闘技でと活躍する格闘の天才『闘将』のタイトルホルダー『キッド』こと天海 才人。
現実では圧倒的強さを誇っていた格闘家の岩隈とはタイプが異なるトリッキーな戦術を得意とする格闘家で、デビュー当初は異端児と呼ばれていたが、次に何をするか予測不能な闘い方にジワジワとファンを増やしている今や人気格闘家だということらしい。
ブレバトの職業は意外にも投擲士で、変幻自在の格闘技術と投擲武器を使用した中距離攻撃を併せた戦闘スタイルで『トリックスター』の異名も持っている。
そして最後の一人が、若干17歳でプロデビューを果たし、なんとデビューから12連勝を記録して最年少で『闘聖』のタイトルを取得した今や人気No.1の侍、『SaeKa』こと姫野宮 冴華だ。
ブレバトデビューから公式戦無敗で、高校生ブレバトグランプリでは京都の祇園女子を日本一に導き、プロになってもケンヤ武仙に土をつけられるまで破竹の勢いで勝ち続けた剣の天才だ。
あまりの人気に、『SaeKa』をモデルにしたアニメも作成され、そのアニメも大人気となり、CMやイベントに引っ張りだこなのだという。二つ名は『雷帝』もしくは『女王』である。
SaeKaの事については、朱音ちゃんが大ファンでオールスターを見に来る前から色々教えてくれたので知っていた。
チャットでプロのタイトルホルダーのメンバーについて聞いているうちに、討伐クエストを闘ったプロ選手のインタビューが終わり、オールスターゲームのメインイベントである1対1のエキシビションマッチが始まる。
照明が落ち、派手な音楽と共に幾筋ものスポットライトが会場を駆け巡り、メインモニターを照らす。
『さて、オールスタードリームマッチ! 最初の対戦はこの二人だ!』
実況のアナウンスとともに、メインモニターに対戦カードが表示される。
王座・ドラン vs 闘将・キッド
「あー、やっぱり女王の出番は最後かぁ〜」
隣に座る朱音ちゃんの声が微かに聞こえた。その声がチャットに表示されると、続けて副部長から『折角なのでこのままチャットを繋げたまま観戦しよう』と提案があった。
バイザー越しに試合も観れ、大歓声で掻き消されるみんなの言葉が文章として表示されて便利なので、私はOKのスタンプを返すと、それとほぼ同時のタイミングでみんなの賛同の意味を示すスタンプが表示された。
こうして、部活のみんなの意見を確認できる状況で、オールスターゲームのメインイベントを観戦することとなったのだった。
後書きで紹介していたキャラクターですが、さすがに追いつけなくなったので1話丸々使って、キャラ紹介をしました。
次回はついにクイーン登場です。




