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Somebody  作者: 星野☆明美
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Jade

「時間だけはみんなに平等に訪れる」って口癖の先生がいた。

僕はその言葉に反感を覚えた。

本当に平等に訪れるんだったら、みんな同じような体験をして、同じくらいの寿命で死んでいくだろう?

でも現実は個々人にそれぞれの全くオリジナルの人生を与える。

日付変更線をまたいで飛行すれば、時差が生まれ、宇宙開発にたずさわれば、地上とズレが生まれる。

発展途上国の情報はほとんど僕の元に届かないし、海外青年隊の意義もよくわからない。

欲しい服を着て、財布に見あった生活をしていたら、自覚してないだけの王女や王子で溢れ帰ってる。

僕は今、浪人生で、三流の塾に通っていたが、「将来の夢」を発表するときに「宇宙飛行士になりたい」と至極真面目に言ったところ、笑い飛ばされるのがおちだった。

「みんな、笑っちゃダメよ」

自分も半分笑いながら、国語の塾教師が言った。

彼女はよくいる普通の女性で、紺のスーツ着て長い髪は束ねて黒縁の眼鏡をかけていた。

右手の薬指に翡翠の緑色の石を嵌めた銀細工の指輪をしていたっけ。

「翡翠ヒスイーJade」

英語の意味を調べたら、がっかりしてもたげかけた興味がなくなってしまった。


浪人生活を続けていたら、体感時間が実際の時間とずれることが多くなった。

右手に腕時計をはめちゃいるが、いつもはっと気づいた時には遅すぎて諦めなくちゃならなかったり、早すぎて時間をもて余した。

「数学はいいんだよ数学は。決められた法則さえ理解すれば数字は必ず答えを導く。でも、物理は・・・」

僕の灰色の脳細胞は物理を拒否した。

ふてくされて地学の教材から星の映像を拾って眺める。

SFでも読もうか?

深淵の星空に思いを馳せて、溜め息をつく。

そうだよ、僕はまだお子様なんだよ。ほっといてくれ・・・

いつのまにか睡魔が襲ってきた。

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