隔離病棟に無縁な女
午後六時私は横浜病院にいた。黒崎の付き添いだ。病棟へ続く階段の前で立ち往生していると背後から肩を叩かれた。背後には宮本さんがいる。
「宮本さん。何でここにいるのですか」
「熊田君から電話があったので来ました。何でも大将が重傷を負ったそうですね」
チームメイトとしてこういう連絡は当たり前だろう。それを怠った私は顔を赤くする。私は思い出すように話す。
「安全地帯を高校からこの病院に変更できますか」
宮本は首を横に振った。
「不可能です。一度設定した安全地帯は変更できません」
彼女の言葉が意味すること。それは残りの入院中の黒崎が狙われれば今夜私たちのチームが敗北する。
そんな中宮本さんが疑問を指摘する。
「ところでなぜ黒崎さんはあの隔離病棟に入院しているのでしょう。セキュリティ対策ですか」
彼女は確信に触れた。隔離病棟はエスパー等の特殊能力者専用の病棟である。普通の高校生には無縁のエリアだ。そんな場所に普通の高校生を入院させたことに疑問を抱かない人はまずいないだろう。
隠す必要はないと思い私は腹を括る。
「黒崎は普通の高校生ではありません。アンドロイドだ」




