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ダンジョン15話

作者はタバコを吸わないんですが、タバコの国産率ってどのくらいなんだろう?

私が動画を見たりして時間を潰し始めてから随分と時間が経ってから雄兄から電話がかかってきて

「今銭湯の前にいると連絡がきた」


「あれ?雄兄自分の車は?」

北海道の東の方では車無しで街中を移動するのは大変である、なお余談になるが、私の地元ではタクシーは電話して、自宅まで呼ぶものである、札幌に行った時に止まっている場所で乗るものだと聞いて驚いた記憶がある。

「ああ、俺は今日飲むからな、安心しろ、帰りは部下に迎えに来てもらうから」

「いやいや、私は飲めないのに横で一人だけ飲むとか、どうなの?」


私は雄兄を車の助手席に乗せると、横の雄兄はタバコを口にくわえたまま、火をつけずに上下させていた、私がタバコを吸わないことを思い出して火をつけなかったようだ。


「別に火をつけてもいいですよ?」

私がそう言うと

「持ち主が使ってないタバコの吸い殻入れに灰を入れるのは申し訳ないからな」

と言って、諦めてタバコを箱にしまった。


「タバコなんてよく手に入りますね、今高いんじゃないですか?」

詳しく調べていないが、輸入品を積んだの飛行機や船が日本に来ない以上タバコの数も足りなくなっているイメージがあったのだが、意外に国産タバコは多いのだろうか?と私が首を傾げていると。


「たけーよ、まぁ国産品のおかげでまだましだが、それでも前みたいに一日何本ものめるもんじゃないな」

と雄兄が嫌そうな顔をする。

「まぁ、レベルが上がったおかげか、喫煙中毒が出る訳じゃないんだがな、なんとなくタバコをのむのが癖だったから未だに抜けねえんだよ」

と続ける。


「そんなもんですか」

という私の問に

「そんなもんだ、あ、そこ左な」

と店までの道をナビゲートしてもらい、私は目的の店まで運転するのだった。



雄兄が案内してくれたのはチェーンの居酒屋ではなく、個人経営の居酒屋だった。

店の入り口をくぐった雄兄は店長さんらしき老人に一言挨拶をすると、「奥、使うぞ」と言って案内を待たずに歩き出すので、慌てて私も雄兄についていく。


雄兄について歩く、少し奥まった所に座敷があり、そこに上がると、私を手招きして呼ぶので、私は雄兄が適当に脱ぎ散らかした靴を揃えてから上がる。

すぐにメニューを持ってきてくれた女の人に

「とりあえず生1で、太郎は何にする?」

と聞かれたのでウーロン茶を頼み、メニューを眺める雄兄に

「それでここではどこまでなら話せるの?」

と確認を取る。


雄兄がわざわざこんな奥まった席に座ったのは恐らく私に色々と愚痴を言いたいのだろ、そしてその中には一般人は知らない方がいい情報もあるはずだ、私としてもあまり聞きたくない話だが、私との合流が遅れたのは、その辺の事情をどこまで話していいか態々上司に聞いてきたからだろうし、ここの代金分くらいは愚痴を聞き流すのもやぶさかではない。


「女将も大将も自衛隊と関係のある人間だから、たいていの事は話せるぞ、何が聞きたい?」

と雄兄が言うので、私は牽制がてらに

「それじゃあ、日本の銃火器は後どのくらい使えるの?」

と質問すると

「10年ぐらいじゃね?」

とあっさりと返ってきた。


輸入が行われていないせいで銃に使う火薬なども数に限りがあるのだ。


飛行機による、輸出入が行われないのはレベルが上がった人間が簡単に飛行機を撃墜するからだ。

レベルという物がなかった時は飛行機を落とすのは大変な作業だった、だが今は違う、森の中から弓一本で撃ち落とせるし、魔術師であればさらに簡単に飛行機を撃墜できるのだ。


もちろん落とすのだからその衝撃で中の荷物が壊れたり、無くなったりするものもあるが、魔術を使える者ならば撃ち落とした飛行機を空中で受け止めてゆっくりと地面に下ろすこともできるだろう。


そうなった時にその飛行機を落としたのが誰なのか見つけるのは難しい、国が行ったことなのか、民間人が小遣い稼ぎにやったことなのかもわからず、誰も弁償してくれない。

なので、現在外国からの飛行機は飛んでいないのだ、そして海に囲まれている日本が外国から物資を得るためには飛行機か、飛行機よりも遅い船かになる、しかし船も海賊の恐れがある為に、長距離の航行は難しい。


そんなこんなで日本は現在世界から孤立しており、輸入も輸出も難しく、国内だけで全ての需要を見立つ必要があり、物不足である。

「魔石がエネルギー資源になって本当に良かったよねぇ、あれがなかったら大変なことになったろうに」


現在日本で使われているエネルギー資源はほとんどが魔石によるものだ、自衛隊のダンジョンアタックチームが質のいい魔石を集めてくるおかげでエネルギー問題は解決している。

「鉄や銅に関しても魔石から産んでいるんだがな」

そう言って雄兄はジョッキに入ったビールを一息に飲み干し、ぷはーっと満足そうに息を吐く。


「はい?」

私がビールを美味しそうに飲んでいる雄兄を見ていると雄兄が爆弾発言をしてくる。

「だから魔石から鉄や銅、金や銀を取っているんだよ、と言ってもすっげえ効率悪いけどな」

と雄兄は空になったビールのジョッキを振りながら私に酒臭い息で続きを話す。


「スキルの一つである、魔工学ってスキルがあるだろ、あれ魔石の加工に関する知識を得るスキルじゃなくて、魔石から何かを生み出すスキルなんだよ。と言っても作れるのは魔石を利用して動く機械なんだけどな」


ビールを一口飲んで口を湿らせると、話を続ける。


「例えば魔石チェッカーだとか、魔石からエネルギーを生み出してる、魔石発電機とか、あれ、魔石が直接機械に変換されてるんだわ、そして、その機械を分解して中で使われてる鉄やら銅やらを取り出して企業に回してるわけだ、とはいえ、魔石から作られる機械は精々てのひらサイズだからそこから取れる金属も少ないってわけだな」


お通しを食べながらなんでもない事の様に、爆弾発言だと思われることを言ってくる。

「え、それって私が知ってもいい情報なの?」

私がネット等で調べた中にはなかった情報だが、この情報を知ったから消されるとかないだろうな。

「安心しろ、この程度の情報知ったからって消されたりしねえよ」

そう言って雄兄は手をひらひらと振ると、おかみさんにビールのお替りを頼んでいた。

私は運ばれてきた唐揚げを食べながら、これから雄兄の口から出てくる爆弾発言を想像し、とりあえず、1万円分は飲み食いしようとメニューの高い方から眺めるのだった。



他の作品の作者さんは輸出入をどう扱ってるのかちょっと聞いてみたいな、っていうお話でした

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