表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
過労死転生した最強悪役令嬢、追放されチートで聖獣とスローライフしてたら冷徹公爵に溺愛された件  作者: 限界まで足掻いた人生
第2章:現実世界侵攻 編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/85

第57話 魔窟の朝礼と、呪われた重役たち

翌朝、午前8時。 裏国家本部ビルの大会議室には、胃が痛くなるような張り詰めた空気が漂っていた。


「――時間だ。点呼をとる」


演台に立ったのは、黒い執事服の男。 昨日、他の幹部を一喝して場を収めていた官房長官サキョウだ。


その背後には、昨日会ったスカーレット、ネット、ミナ&マナに加え、見たことのない3人の怪人たちが並んでいる。


藍色の着物に巨大な算盤を背負ったイチヨウ。 ニッカポッカにねじり鉢巻のドワーフ(ガンテツ)。 白衣に不気味な色の注射器を持った美女カルテ


彼らこそ、総理不在のこの地下帝国を実質的に支配する**《七閣僚セブン・ミニスターズ》**だ。


「本日より、貴様ら《食卓の騎士団》および《元・魔王軍四天王》は、我が国の『正規雇用社員』として扱われる。……総理のコネ採用だからといって、甘えは許さん」


サキョウの冷徹な声が響く。 私たちは真新しい(そしてサイズの合わない)作業着に身を包み、直立不動で聞いていた。 完全に、ブラック企業の「全社朝礼」の空気だ。


「質問があります」


私は空気を読まずに手を挙げた。


「昨日の視察でお会いした、ゼクスさん、エルモさん、ルミさんは? 彼らも最高戦力だと伺いましたが、ここにはいらっしゃらないのですか?」


その名前が出た瞬間、壇上の大臣たちの顔色がサッと変わった。 スカーレットが不愉快そうに煙管をふかし、ネットが怯えたように股間を庇う。


「……彼らは現在、**『休職中』**だ」


サキョウが静かに答えた。


「ゼクス、エルモ、ルミの三名は、かつて我ら七閣僚を統率していた**『筆頭執行役員』だった。……だが、先の大戦において、敵(神)の放った『システム汚染(呪い)』**をその身に受けた」


「呪い……ですか?」


「ああ。その呪いは彼らの肉体と精神を蝕み、安定した業務遂行を不可能にしている。ゆえに、現在は役職を離れ、治療を受けながら『遊撃隊』として不定期に活動しているのだ」


私は思い出した。 エルモが言っていた「呪いのせいで本気が出せない」という言葉。 そして、ルミの記憶が欠落している様子。 彼らは、その身を犠牲にしてこの国を守った英雄であり、同時に**「いつ暴走バグして壊れるか分からない時限爆弾」**でもあるのだ。


(なるほど……。主力メンバーがダウンしているから、私たちに白羽の矢が立ったわけね)


人手不足の理由が深刻すぎる。


「彼らが復帰するその日まで、この国を支えるのが我々『七閣僚』の務め。……そして、その手足となって働くのが、貴様ら新人だ」


サキョウはバインダーを開き、無慈悲な辞令を読み上げ始めた。


「では、配属を発表する!」


【元・魔王軍四天王(イグニス、アクア、ウィンド、アース)】 配属:国土交通省・第1土木課 直属上司:ガンテツ大臣


「おう! お前らか! 俺の現場はキツイぞ、覚悟しとけ!」 ガンテツ親方が、イグニスの背中をバシバシと叩く。ドワーフの怪力に、四天王たちがよろめく。 「い、痛ぇ! なんで俺様たちが土方仕事を……」 「文句を言うな! 穴掘りは得意だろうが!」


【食卓の騎士団(アーサー、ランスロット、ガラハッド、他)】 配属:厚生労働省・衛生管理課 兼 防衛省・特殊部隊 直属上司:カルテ大臣 & ミナ・マナ大臣


「うふふ……。あなたたちの『頑丈さ』、前から気になってたの。たっぷり解剖メンテナンスさせてね♡」 カルテが注射器を舐め、ミナ&マナが「キャハハ! 新しい肉壁ゲットー!」と空中で回転する。 アーサーたちの顔から血の気が引いていく。 「係長……。これは『労働』ですか? それとも『実験』ですか?」 「……両方よ。生き残んなさい」


【コーデリア】 配属:財務省・経理課 兼 内閣府・特別補佐 直属上司:イチヨウ大臣 & サキョウ長官


「あきまへんなぁ。こんなひ弱そうな小娘に、ウチの大事な金庫番が務まるとは思えへんけど」 イチヨウが算盤をチャキリと鳴らし、値踏みするような冷ややかな視線を送ってくる。 「1円でも計算が合わへんかったら、あんたの給料から引かせてもらいますえ?」


私は、引きつりそうな頬を抑えて、最高の営業スマイルで返した。


「ご心配なく。……数字合わせ(帳尻合わせ)は得意ですので」


金と権力の中枢。そこに入り込めれば、総理の計画を探るチャンスもある。 それに、経理を握れば、このブラック企業の「弱点」も見えてくるはずだ。


「以上だ! 各員、ただちに現場へ急行せよ! 今日から貴様らは、地下帝国の歯車だ! 死ぬ気で回せ!」


「「「イエス・ボス!!」」」


こうして、私たちの「無期限有給」という名の、地獄のダブルワーク(通常業務+世界の謎解き)が始まった。 最初のミッションは……それぞれの部署で、強烈な上司(大臣)たちに認められ、生き延びることである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ