彼が目指すもの
あれから一ヶ月後。
新たな理が出来た世界で、辰真は実父の墓参りを終えた後、病院へ向かっていた。
実母が、新たな命を授かり、もうすぐ生まれて来るからだ。
この報せを聞いた時、辰真は戸惑った。
だが……運命を切り開き、何かを成しえ、そして失ったからこそ、歓迎したいと思ったのだ。
(俺は……トクタイに所属したままでいるけれど。でも、今度からは失う事を考えるんじゃなく、今を見つめよう)
空を見上げれば、昼頃だからか、雲一つない晴れの陽射しが眩しい。
――『革命の奏者』が敗北した事で、事態は大きく変動した。
ある意味、妖魔達の抑止力になっていた妖魔王も、狩人の『革命の奏者』も壊滅した事で、逆に動きが活発になっている。
トクタイは……より一層の妖魔対策を行い、対妖魔との戦闘を強化する方針を立てた。
こうして、新たな秩序と混沌の中で、辰真はトクタイ隊員としてこれからも生きていく。
「ライ……お前から託されたもの、ちゃんと守るよ」
仲間である、志修那、操姫刃、楓加達もそれぞれの事情にケリをつけたと話をしていた。
故に、彼らと共に前へ進むと決めた。
それに、行方をくらませた者達の件もある。
やる事は山積みだ。
――彼らの物語は続く。
いつか、彼が相棒と見た和平のある世界を目指すために……。
これにて、完結となります。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。




