表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/52

新生

 その頃。

 蒼主院公謐(そうじゅいんきみひつ)の目前に辿り着いた辰真(たつま)は、封印され眠る彼を見つめる。


「これで……本当に?」


 辰真(たつま)が渡された()をかざせば、公謐(きみひつ)を封じていた結晶が崩れて行く。同時に、彼の身体もゆっくりと灰になり始めた。


「え!? な、なんで!!」


 驚く辰真(たつま)に、公謐(きみひつ)が微笑みながら告げた。その声は、何かを成し遂げたと言わんばかりに満足感に満ち溢れていた。


 ――ようやく役目を果たしたからね? 後は、頼んだよ。


 その言葉だけを残して、彼は消滅し……空間の歪みが激しくなり、立っていたはずの地面が崩れて行く。


「うわぁっ!?」


 意識が遠のいていくのを感じながら、辰真(たつま)は気を失った。


 ****


 空間が()()され、崩れた。

 その事実は、すぐに『革命の奏者』である矢成(やなり)達にも気づかれ、猛攻が一旦おさまる。

 それと同時に、その場にいる全員の意識が……途切れた。


 ****


 視界が白い。

 身体が宙に浮いている感覚に、辰真(たつま)は困惑する。


(なんだ、この感覚? 一体なにが?)


 意識が朦朧とする中、聞きなれたその声は聞こえて来た。


『タツマ。そして、シズナにトキハにフウカ。感謝している。これにて、神の役目に戻る事になるが、本当に日々が楽しかった。特にタツマ。封印を解き、ライという名をくれて本当に嬉しかった。ワタシは、これから月詠(つくよみ)(みこと)として()()()()()が、それでも……この想いは大切にする』


(ライ……そうだよな。お前は、そういうヤツだよ)


 ライこと、月詠(つくよみ)(みこと)はおそらく……今まで妖魔王と蒼主院公謐(そうじゅいんきみひつ)が担っていた役目を肩代わりして、世界の均等を、(ことわり)を守るのだ。

 古き役目を解き放ち、新たな役目を神の一柱が担う。

 それは、新たな(ことわり)が生まれると言っても過言ではないだろう。

 別れを理解していた辰真(たつま)は、静かに呼吸をし、一言だけ伝えた。


 ――出会ってくれて、ありがとう。


 そうして、再び意識を失った辰真(たつま)は、相棒であった彼の気配が遠のくのを感じていた……


 ****


 歪であった空間は正しく修正され、何度も破壊された古き(ことわり)は、新たな(ことわり)が形成された事でその役目を終えた。

 古き(ことわり)の守護者達は、輪廻転生の輪に入り、新たな守護者の出現により、世界の均等は保たれる。

 そう。

 世界は――新生するのだ。

 破壊を望む者達から、大切なモノを守りたいと願う彼らによって。

 そして、新たな世界において、破壊を望みし彼らの想いは砕かれるのだ。

 何故なら、新生した世界では、彼ら破壊の者達は、排除すべき存在と成り果てたからだ――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ