衝撃の事実
その頃。
ライから告げられた事実に、辰真は混乱していた。
(時間を繰り返している? 何度も敗北? ……意味がわからない)
「意味がわからないだろうが、事実なんだ」
「もっと……詳しく教えてほしい。でないと理解出来ない」
「わかった、順を追って話そう」
ライが静かに語り始めたのは、衝撃の内容だった。
曰く、この世界は何巡もしていると。
そして何度も『革命の奏者』に敗北していて、その度に時間をある所まで巻き戻す事で、しのいできたのだと。
にわかには信じ難い話だった。
だが、ライの口ぶりが嘘ではないのだと物語っていた。
「でも……それと俺達になんの関係が?」
「そこなんだタツマ、話の肝は何巡もした世界の中……ワタシ達が出会ったのは今回が初めてなんだ」
「は……?」
(意味がわからない……)
理解出来ないでいる辰真に対し、ライが続ける。
「何巡もする度に、世界には少しづつ変化が起こる。その中の変化の一つが、ワタシとタツマの出会いなんだ。いいか? 何巡目かにしてようやく出会えた世界線……それが今なんだ」
「なるほど? つまり、今までは出会ってなかったって事……か?」
「そうだ。だからこそ、大きな変化が起ころうとしていると、今度こそ勝利出来ると判断したから、彼らと出会ったんだとワタシは思う」
ライの言う彼らとは、蒼主院公謐と雪原の娘の事だろうと辰真は思った。
どうやら、それは当たりだったようで、ライから二人の名が出た。
「キミヒツとあの娘が、世界を巻き戻すそれぞれカギのようなものなんだ。だが、カギがあるだけでは扉は開かず、先に進めないだろう?」
「そうだな。その扉が……?」
「それが、ワタシなんだ。タツマ」
世界の命運に自分が深く関わる事に、ようやく実感が湧いて来た辰真は、静かに息を吐き覚悟を決める。
「世界を……救おう。そのために、どうしたらいいのか教えてくれ」
「無論だ。そのために、ワタシ達はここにいるのだから」
異空間の更に異空間、不可思議な場所で辰真達は動き出す。
今度こそ、理を壊させない。
そのために――。




