合流とそして……
「ライ、こっちの方角でいいんだよな……?」
走りながら辰真が相棒に訊けば、彼は深く頷き短く答えた。
「ああ、こっちで間違いない」
二人は今、とある場所を目指して走っている。
(ライは重要な場所だって言っていたけれど……どこなんだ?)
歪で冷たい洞窟のような空間を走り回って何時間経ったかわからない。いや、実は数分しか経っていないのかもしれない。そんな感覚の中で、たどり着いたのは白と黒が入り混じった大きな空間だった。
「な、んだ……ここは?」
空間の中央に、巨大な砂時計があり更に横には歯車式の巨大時計がある。異様な光景に辰真が困惑しているとライが静かに告げた。
「ここで、終わらせるんだ……。幾度も繰り返した戦いをな……」
「幾度?」
「そうだタツマ。お前は時間を繰り返している……と言われたらどうだ?」
「どうって……信じられない」
「そうだろう? だが、実際に起こっている出来事なんだ」
未だ理解出来ていない辰真に対し、ライが説明を始めた。その声色はどこか覚悟を含んでいるようだった。
「いいかタツマ。ワタシ達は幾度となく『革命の奏者』と戦い、負け、そしてその事実を巻き戻す事でこの世界を守って来たんだ。蒼主院公謐と当世の妖魔王の力を駆使してな?」
「ちょっと待ってくれ……! 何度もだって!?」
「そうだ、何度もトクタイは敗北している。いや、していた。だが、今回で運命が大きく変わったんだ」
「どういう、事だよ?」
「お前とワタシの出会いだ。タツマ」
****
その頃。
等依が張る結界の近くに矢成と諒詠の二人が現れた。
「貴様らね……この邪魔者共が!」
「ほらぁぁぁぁ!! 来たよぉぉぉぉ!?」
志修那が叫べば、等依がウィンクしより結界を強めるため、召喚していた火雀応鬼と氷鶫轟鬼へ祓力を上乗せする。
「小癪な真似を! 諒詠! 行くわよ!!」
「仰せのままに」
二人は戦闘体勢に入ると、容赦なく結界を破るべく攻撃を次々と放っていく。その威力は凄まじく、周囲の空間に振動が走る。
まだ結界は壊れていないが、それも時間の問題だろうと予測くらいはつく。
その時だった。
空間から再度亀裂が現れ、そこから次々とトクタイの隊員達が現れた。
「着いたな……って等依!? なにしてやがんだお前!!」
口の悪い桃色の髪の女性が等依に向かって声をあげれば、彼は微笑みながら声をかけた。
「おっひさー、鬼神ちゃんと……五奇ちゃん?」
茶髪の青年、五奇が苦笑いしながら声を発した。その声色は穏やかで、それでいて頼もしさがあった。
「後は俺達にお任せを」




