表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/52

次なる任務へ

 振り返りのミーティングが終わった四人は、家に戻りそれぞれの自室に入って行った。片付けきれていない部屋で、辰真(たつま)はベッドへと転がり込む。

 妖魔憑きとなった青年、魅使榛登(みのつかはると)はトクタイで検査と治療を受ける事になった。なんでも、憑りついていた『爆炎の妖魔』の思念が想定よりも強かったらしく、後遺症が残る可能性もあるからだと和沙(かずさ)から聞いた。


(……妖魔(ようま)との、関係……か)


 自分達がかなり特殊なのだと、頭では理解していても……。そんな想いを抱きながら、辰真(たつま)は息を静かに()いた。


 ****


 トクタイ本部近くの某屋上にて。

 赤い長髪を揺らしながら、青年は呟いた。


「……今度こそ、全ての妖魔(ようま)を終わらせる……必ずな……」


 彼はバタフライソードの片方を天へと掲げる。……誰かに誓うように。


 ****


 翌々日。束の間の休日を過ごしたEチームの四人は、待機室に集合していた。次の任務の指示を受けるためだ。


「はぁぁ……。もう少し、休ませてくれたっていいじゃないかぁ~」


「まぁまぁしずなん。ゆっくりできる時間があっただけよかったじゃない? それにほら、ウチらこの間の任務じゃほとんど活躍できてなかったわけだしね~。次こそ、がんばろ?」


「ぐはっ! それを言うのかい!? 追い打ち!!」


 愚痴る志修那(しずな)に対し、無自覚に心を(えぐ)る発言をする楓加(ふうか)。そんな二人のやりとりを見つめていた操姫刃(ときは)が、辰真(たつま)に向かって静かに声をかけてきた。


辰真(たつま)、調子はどうだ?」


「えっ?」


 突然()かれて驚く辰真(たつま)に対し、彼女は何気ないと言った様子で告げる。


「お前、顔色悪いぞ? 不眠か?」


 図星を突かれた辰真(たつま)は何も言い返せなかった。確かに、最近眠れていない。だが、それは……。

 どう答えようか迷っていると、司令室から和沙(かずさ)が現れた。全員が自然と静かになる。


「皆、集まったようね? では、新たな任務について話す。資料を回すから、各自で目を通して?」


 渡された資料を回していく。最後に受け取った辰真(たつま)は、資料を見て思わず目を丸くし呟いた。


「……神の、()()……?」


 そこに記されていたのは、川の主であった水神が工事により暴走し、水害を起こしているとのことだった。具体的な被害で言うと、川の氾濫に雨が止まない……など。

 一般人からすれば、ただの災害にしか見えない事柄だ。


「ほえ~! 一見したら神の仕業だなんて思わないかも~。これって、工事に怒っているんだよね?」


 楓加(ふうか)の言葉に和沙(かずさ)が静かに頷き、口を開いた。


「そう。なんでもこの工事は、川の埋め立てみたいなの。それも、どうやら()()()()()()()()()()()()()()()()()()での……ね? 今時にそんなことがまかり通るのも、おかしな話なのだけれど……」


 呆れたようにため息を()きながら、和沙(かずさ)が続ける。


「要約するとね? 正しい手順を行わなかったために、水神を怒らせたというのが今回の話。それで、任務内容としては、現地に行っての現状把握と水神の()()。そして……水害を止める事よ。よろしく」


(ん? 水神の……保護? 確かに、トクタイは妖魔(ようま)をただ倒すだけの組織じゃないとは聞いているけれど……神を保護して……どうするんだ?)


 疑問を口に出すかどうか悩んで……辰真(たつま)はやめた。気が(とが)めたのだ。


(俺なんかが、口出しするようなことじゃ、ないしな……)


「誰か疑問はある? ない? なら、早速だけれど行ってきて?」


 四人は「了解」と答えると、待機室から出て駐車場へと向かって行く。それを見送ると、和沙(かずさ)は静かに呟いた。


「無事に遂行できるといいのだけれどね……?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ