まだまだ若いので大いにこれからの宇宙生活を楽しもうと思いました
「キャーーーー!」
私は外を歩いていたら何故かいきなり25番暗黒流の流れに巻き込まれた。
流されようとした私の手を傍にいたアードルフが必死に桟橋から手を伸ばして掴んでくれた。
そして、引き上げようとしてくれたが、中々流れが強くて私は岸に上がれない。
「アードルフ。あなたまで巻き込まれるわ。手を離して!」
私が叫ぶと
「離す訳は無いでしょう!」
そう言って私の顔を覗き込んだのは何故かヨーナスに替わっていた。
「姫様、もう少しです」
ヨーナスは私の手を強く握りしめると思いっきり桟橋に引き上げてくれた。
変だな、腕力は絶対に騎士のアードルフの方が強いはずなのに……何故でヨーナスが引き上げてくれたんだろう?
その思った瞬間、目がぱちりと覚めた。
「姫様、姫様!」
そして、目の前にいきなり端正なヨーナスの顔のアップがあったのだ。
「えっ」
私は一瞬夢の続きかと思ってしまった。
「姫様気がつかれました?」
ほっとしたヨーナスの顔があった。ちょっと近い!
「私暗黒流に飲み込まれて溺れてたの?」
「本当にあと少しでしたよ。駆けつけるのが遅くなって申し訳ありませんでした」
目の前でヨーナスが謝罪してくれるんだけど、そう言えばビーナスが動かなくって……
私は25番暗黒流に巨大な最終兵器諸共飲み込まれて流されたことを思い出していた。
「アードルフは大丈夫だった?」
私は慌てて飛び起きて、目の前にあったヨーナスの石頭に頭をぶつけていた。
「「痛い!」」
頭を二人して抑える。
「姫様、元気になった途端にいきなり他の男のことを気にするんですか?」
何かヨーナスが不機嫌に訳の判らない事を呟いている……
「部下の心配をするのは当然でしょ?」
「あいつなら一緒に助けましたよ。元気でピンピンしていますよ」
ヨーナスはぶすっとして教えてくれた。
「本当に姫様を助けるのは大変だったんですからね」
ヨーナスが経緯を説明してくれた。
何でも、ジュピターで二連続ワープをして私を助けてくれたそうだ。暗黒流渦巻く中、マルコが私の傍に強引にジュピターをワープアウトさせて収納してくれたらしい。丁度アードルフも同じ所を飛ばされていて収納されたらしい。
私はそれを聞いてほっとした。
「他の皆も大丈夫よね?」
「はい。姫様の機転で全員無事に貨物船セラフィーナ丸に乗れてワープして離脱しました」
ヨーナスが教えてくれた。
「良かったわ」
そう言ってふと自分の手を見ると何故かヨーナスが握っていたんだけど……
「ちょっとヨーナス。これはどういう事なの?」
「イヤ、これは俺が姫様を看病していた時に姫様がうなされて私に手を伸ばされて捕まれたんです」
「本当なの?」
私がジトリと見返すと、
「本当ですって!」
必死にヨーナスは言い訳してくれたんだけど……
「姫様!」
「ちょっとアードルフ、入っちゃ駄目」
アンネの制止を振り切ってアードルフが部屋に飛び込んできた。
「ああああ! ヨーナス、貴様何姫様の手を握っている?」
アードルフの大声が王宮に響いた。
「な、ヨーナスが姫様に手を出そうとしたって! ヨーナスも物好きな」
「それで頬を張られた?」
「本当に見事な楓マークで」
アーロン達が口々に言ってくれた。
「違うわよ。アードルフが大声上げるから驚いて『離してって』言って手を振ったら当たったのよ」
私が必死に言い訳した。
「姫様がぶった!」
横でヨーナスがブツブツ言っている。
「ふんっ、貴様が姫様の手なんか繋いでいるからだ」
「ええええ! 姫様とヨーナスって出来ていたんですか?」
マルコがショックを受けた声を出してくれたんだけど……
「マルコ、どういう意味よ?」
「そうだ。俺は姫様がうなされていたから近寄ったら手を持たれただけだ」
「ひええええ!」
マルコは私とヨーナスに睨み付けられて思わず縮こまっていた。
「そもそもヨーナスが私が少し部屋を離れた隙に姫様の部屋に忍び込むのが悪いんです」
アンネは怒っているし……
あの後大騒ぎになっていたたまれなくなった私はすぐに王宮を脱出してジュピターに乗り込むと定番の25番駐艦場からジュピターを飛び出させて一路サーリアに向かった。
帝国の皇帝はあの後第25暗黒流と名付けられた暗黒流を強引に逆走し、帝国に帰還したらしい。
在位25年にして初めての敗戦だった。
連邦の新聞は大喜びでそれを書き連ねて私は一躍時の人になった。
その皇帝は再戦をほのめかしているらしい。
「まあ、姫様、何度帝国が来ようが儂がいる限り大丈夫ですから」
ボニファーツは喜々としているが、元々皇帝が負けたら不問にするという約束だったと思うんだけど……
「まあ、あの皇帝はしつこいですからの。こうなるのは判っておりました」
「判っていたら言いなさいよ!」
私は思いっきりボニファーツを睨み付けたけれど、ボニファーツは笑って終わりだった。
「まあ、姫様と同じでいつまでも根に持つタイプですからの」
「誰がいつまでも根に持つのよ?」
私がボニファーツを睨み返すと、
「この前もらい物のチョコレートケーキを皆で食べたのを怒ってではありませんか?」
「当たり前でしょ。トピアスがシネッタ本国で超有名なケーキ屋さんから取り寄せて私にプレゼントしてくれたレア物だったのに! 食い物の恨みは忘れないわ」
私は睨み返していた。
「どっちもどっちだよな」
アーロンが呟いていたけれど……
そんなこんなで私は元気だ。
まだ私は今は18歳だ。25の呪いが発動して死ぬとかいわれている25歳まではまだまだある。もっとも死ぬかどうかは判らないし、これからも25の呪いにかかって悲惨な目に合うかもしれないけれど、そんなことは気にせずに、青春を大いに楽しむのだ。
お気楽な私達を乗せたジュピターは一路サーリアに向けてワープに入っていた。
おしまい
ここまで読んで頂いて有り難うございました。
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今後閑話等上げていきます。
続編等はいつか書いていこうとは思います。
ここまでお付き合い頂いて有り難うございました








