表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/83

銀河帝国皇帝視点 王女にしてやられましたが、それを逆手に逆襲することにしました

 遠くに青く輝く星ユバスを目指して、第25戦隊を先頭にしてその後ろを第三戦隊第四戦隊と続いていく長大な艦列を私は見ていた。


 いつ見ても私の艦隊は美しい。


 更にこれから戦場に見えるとなると、私の血も騒いだ。

 帝国の血は戦がお好みらしい。血まみれた歴史がそれを物語っている。たまたま皇帝位が巡って来た私はもそれは例外では無いらしい。

 久々の戦場だ。

 いつその位置に立っても心躍る瞬間だった。


 私の命でまた何人もの騎士や戦士が死に行くのだろう。

 施政者としてはそれを悲しむのが普通なのかもしれないが、私は帝国のため強いては私のために死ぬのは仕方が無いだろうと割り切っていた。

 そう言う私を見て周りは冷血皇帝とか悪逆非道の皇帝とか言ってくれた。

 まあ、帝国の血にまみれた帝位を継いでいるのだ。仕方がない面もあろう


 それに今回は私から仕掛けた戦いではないと自分に言い訳してみる。

 私は単に我が帝国に反抗して私に果たし状を送ってくるという暴挙に出た小娘に鉄槌を下すためにここに来たのだ。

 そう今回は大義名分があるのだ。

 私は長大な艦列で第一艦隊が進むのを見てほくそ笑んでいた。


「さて、この艦隊を相手に生意気な小娘とボニファーツはいかがするつもりかのう」

 私は二人の悪あがきを楽しみにしていた。

 どれほど抵抗しても無駄な事だと私は思っていた。そもそも銀河帝国皇帝に逆らうなどこんな小国ユバスが本来出来ることではないのだ。

 周りに対しての帝国の威信もあるから今回は中途半端なことで終わらせるつもりはなかった。

「基本的に敵は4艦に対して我が方は戦闘艦が100隻、単純に25倍の戦力格差があります。普通に考えたら楽勝でしょう」

「しかし、陛下、ボニファーツの最終兵器はくせ物ですぞ。いかがなさるので」

 グレゴリーの楽勝論にアンドレイが心配して聞いてきた。

 確かにフッセン男爵に使ったあの最終兵器の威力は絶大だった。

 でも、いくら最終兵器とはいえ、しょせん兵器だ。いくらでもやりようはあった。


「ふんっ、兵器はしょせん兵器だ。運用の仕方によってはいくらでも戦い様はあろう」

 私はこの時までは余裕だった。

 伊達に百戦百勝しているわけではない。

 馬鹿と兵器は使いようなのだ。

 今まではボニファーツの兵器を私が運用してきて勝ってきたのだ。

 ユバスの小娘が私並の戦術眼があるとは到底思えなかった。

 ボニファーツに戦術眼はない。奴は技術屋だ。

 フッセン男爵の艦隊はボニファーツの最終兵器のことなど何も知らずに正攻法で攻め込んで一撃を食らっただけだ。敵が最終兵器を持っていると判っていればやりようはいくらでもあるのだ。


 それに今回は最新の機動歩兵E25を25機、先頭の第25戦隊に配属していた。

 駆逐艦並みのブラスターを搭載しておりユバス王国軍の機動歩兵と互角の戦いが出来るはずだった。


 私は今回は負ける要素を思いつかなかった。


「陛下、大変でございます。ドワルスキーの補給部隊がユバスの奇襲部隊に攻撃されたそうです」

 切羽詰まったオペレーターの報告で私は我に返った。


「奇襲部隊だと、どこから出てきたというのだ?」

 今まで我が艦隊の前を通ったのは私が初めて進路を譲ったあの壊れかけのおんぼろ貨物船だけだった。

 それ以外に近づく船など一隻もなかった。みんな我が艦隊を恐れて普通は近寄ってこないのだ。

 あのおんぼろ貨物船がドワルスキーを攻撃したとは到底考えられなかった。


「その貨物船が実はユバスの奇襲部隊だったようです。二つの艦隊の通信を傍受しました」

「えっ」

私はオペレーターが何を言ったか理解出来なかった。あの船の制御でさえ満足に出来ない貨物船が奇襲部隊だとは到底思えなかった。


 私の固まった思考の前に立体画像が浮かび上がる。

『な、貴様等、何奴だ。貨物船がなんでこんなに沢山の機動歩兵を搭載しているんだ?』

 驚愕したドワルスキーに、

『ふん、民間船を攻撃した悪魔の指揮官、ド悪ちゃん。王女セラフィーナの名において成敗してあげるわ』

 信じられないことにあの船にはユバスの小娘が乗っていたらしい。

 貨物倉庫を開けて一斉に飛び立つ敵の機動歩兵が画面に映っていた。

 私はまんまと填められたのを知った。


「かのおんぼろ船は約25機の機動歩兵を搭載していたようです」

「しかし、ドワルスキーには巡洋艦一隻と駆逐艦15隻を護衛につけていたはずだが」

「その護衛は補給船団と共に大半が殲滅、されたようです」

「何だと、補給部隊が全滅したというのか」

 私は唖然とした。


「陛下、いかがいたしますか? 補給部隊が全滅したとなると長時間の作戦行動に支障を来しますが」

 アードルフの言葉を私は聞いていなかった。

 あの小娘、あのぼろ船に乗って、無敵の我が艦隊の進路を変更させて、なおかつ、そのまま後方部隊を殲滅してくれたのだ。許せなかった


「おのれ、小娘。良くも私をここまで虚仮にしたくれたな」

 百戦百勝の私のプライドはズタズタだった。


「でも、待てよ」

 私ははたと気付いたのだ。小娘は虎穴に入って虎児を得たが、まだ、虎穴の中にいるのだ。

 今小娘の周りにいるのはあのぼろ船と機動歩兵が25機だけだ。

 奴の頼みの最終兵器を積んでいる旗艦は遙か後方ユバスの衛星軌道にいる。

 今この全戦力でユバスの小娘に襲いかかればいくら小娘の機動歩兵が優秀でも絶対に勝てるはずだ。


「よし、全艦そのまま反転してユバスの小娘の船に襲いかかる」

 私は指示をした。

「しかし、陛下、ジュピターはよろしいので?」

 アンドレイが慌てて聞いて来た。


「敵の主将はどう見てもあの小娘だろう。あの小娘の首さえ取れば我が軍の勝ちは決まる」

「しかし」

「敵は大将さえ倒せば、後は降伏するしかなかろう」

「確かに左様でございますな」

 私の言葉にアンドレイは少し考えていたが、グレゴリーが同意してくれた。

「仕方ないですな。このまま負けっぱなしは良くないですし、やりますか」

 最後に迷っていたアンドレイも頷いてくれた。


「ジュピターの抑えに第25戦隊を残し、全軍そのまま反転、一気に小娘の首を取るぞ!」

 私が命じると、

「了解しました。直ちにその場から反転。第十戦隊を先頭に全軍ユバスの別働隊に攻撃に向かいます」

 全艦がその位置から戦隊ごとに反転してくれた。

「よし、全軍急げ。今護衛艦もほとんどいない小娘を倒す絶好の機会だ」

「「「了解です」」」

私の言葉に艦橋にいた全員が頷いてくれた。



「自らの柵に溺れるとはこのことだな小娘。今すぐ貴様の生意気な首を取ってやるわ」

 私はこれでこの戦いに勝てたとはっきり思った。






全艦逃げ出すどころかセラフィーナに襲いかかります

この事態はヨーナスの想定の範囲内なのか?

絶体絶命の危機なのか?

続きをお楽しみに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

新作

『母に叩かれ家出して魔術学園に入学したら何故か王子様と親しくなりました 平民少女のシンデレラストーリー』https://book1.adouzi.eu.org/n8270ll/

短編

『AIに乗っ取られた男』https://book1.adouzi.eu.org/n7779ku/

前作

『モブですらない小さい聖女に転生したので、小説の世界を堪能しようとしたら、何故かヒロインになっていました』https://book1.adouzi.eu.org/n4848kz/

私の今一番熱い人気の作品はこちら

表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

■【小説家になろう記載ページ】『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://book1.adouzi.eu.org/n9991iq/


表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://book1.adouzi.eu.org/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://book1.adouzi.eu.org/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://book1.adouzi.eu.org/n8911gf/



5番人気の話

『悪役令嬢に転生したみたいだけど、王子様には興味ありません。お兄様一筋の私なのに、ヒロインが邪魔してくるんですけど……』https://book1.adouzi.eu.org/n3871kh/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ