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皇帝の無敵艦隊をぼろ船が原因で大きく迂回させてやりました

「ちょっと、この船、全然進まないんだけど、エッポ、ちゃんと操縦しているの?」

 大気圏をやっと脱出できた、最新鋭貨物船『セラフィーナ丸』は遅遅として進まなかった。

 完全に私は頭にきていた。


「いや、だから姫様、本当にちゃんと操縦していますって」

「本当に?」

 私は言い訳するエッポを疑い深そうな目で見た。

「本当ですって。そもそもちゃんと動かないのは操縦士の問題ではなくて、エンジンやバーニア関係でしょ。聞くなら機関士のアウノに聞いて下さいよ」

 必死にエッポが言い訳して、横のアウノに振ろうとした。


「いや、俺は絶対に海賊船を破壊されたエッポが逆恨みでしていると思うな」

「俺もそう思う」

「オラモ逆恨みに一票」

 アーロン達が言いだした。


「おいおい、いい加減にしてくれよ」

 エッポが悲鳴を上げた。

「やっぱりそうよね」

 私が三人の言葉を聞いて私はエッポをどう料理しようかと考え出した。

「おい、アウノ、黙ってみていないで助けてくれよ」

 エッポが横のアウノに泣き込んでいた。


「姫様、エッポの言うことは正しいですから、その辺で勘弁してやって下さい」

「えっ、そうなの、アウノ? 本当に? あなたエッポに脅されたんじゃなくて?」

 私はまだ諦めきれずに聞いていた。

「何で俺がアウノを脅す必要があるんですか? いい加減にして下さいよ」

 エッポが少し怒り気味に私を見返した。


「うーん、じゃあ、これはボニファーツとヨーナスの嫌がらせなのね」

 あの二人、今度会ったときにガツンと一言言ってやろうと私は心に決めた。


「仕方が無いんです、姫様。これも帝国軍を騙すためですから」

「こんな離れたところからやる必要あるの?」

 私が疑問を呈すると

「どこで帝国の暗部が見ているか判りませんから。飛び立つところからちゃんとやっているんです」

「でも、これで本当に想定宙域につけるの?」

 ここまで20時間くらいかかってしまったのだ。

 そろそろ帝国軍がワープアウトしてくる時間なんだけど。

「大丈夫ですよ。そろそろ故障しないでまともに動き出す頃ですから」

「それで良いの?」

「また、帝国軍に会う頃に故障しますから」

「なんかめちゃくちゃ都合の良い設定ね」

「でも、ここで散々苦労しているのは皆見ていますから。つけ刃ではないですからね」

 アウノは自信満々に言ってくれたけれど、絶対に怪しいと思うのは私だけだろうか?


「それよりもそろそろカツラをつけて変装をして下さいよ」

 アウノが言いだしてくれた。

「ええええ! 何で私が変装なんてしないといけないのよ」

 そうだ。私は老婆なんてやるのは嫌だった。

 ボニファーツとヨーナス、それにボッチのシミュレーションで私が老婆役に変装することになったんだけど、絶対にそんなことする必要はないはずだ。

 あの三人はシミュレーション上、一番確率が上がると言ってくれたけれど……絶対に後で私を笑うために言いだしたんだと思う。


「姫様。確率を100%に近付けろと言われたのは姫様ですよね」

「そうですよ。姫様。姫様が老婆の役ははまり役です。後で知った皇帝がどれだけ悔しがるか」

 アーロンがもっともらしく言ってくれたが、こいつは確実に後で笑うために言っているのだ。その手は食わない。


「何をアーロン達は他人事のように言っているんだ。お前らも変装の指示があるぞ」

でも、後ろからアードルフが教えてくれた。


「えっ、俺達も?」

「嘘だろう?」

3人は驚いていた。


「何々、口うるさい年老いたオペレーターだと」

「俺もそうだ」

 ヘイモとヨキアムが眉をしかめた。

「ははん。俺はその点、そのままで良いそうだぞ。何々、いつもの通り愚痴ばかり多い能なしのオペレーターをやれって、どういう意味だよ」

指示書をアーロンは地面に叩きつけていた。

「はんっ、さすがアーロン、そのままだぜ」

「さすがヨーナスはよく見ているな」

「お前らと変わらないだろう」

3人はわいわい言っていだか、結局全員、変装するものは変装させられたのだ。


その間に帝国軍の大艦隊が現れて、こちらに向けて一直線に進んできた。

私達が話し方を練習しているときだ。


「おい、そこの貨物船。我らは帝国の第一艦隊第25戦隊長セリューニナである。踏み潰されたくなかったら速やかに航路を変更して、我らに道を空けろ」

いきなり大上段に帝国の戦隊長が現れて言いだしてくれた。


「な、何と言う事を言われる。我が船は戦乱になると聞いて這々の体でユバス星から脱出してきた難民船ですじゃ。その可哀相な我らを帝国軍は踏み潰していくと言われるのか」

私は台詞通り読んでみた。

完全な嫌みだ。

「イヤ、そうは言っていないから直ちに航路を空けろと申しておるのだ」

「そうは言われても、この船も相当がたが来ておりましたな。急な方向転換が中々出来ないのです」

「船長。方向制御ノイズが故障しました」

「急な方向転換しようとしたらメインエンジンの出力が低下」

「ほらみなされ。戦隊長様。あなた様が無茶なことをおっしゃるから、船が壊れてしまいましたぞ」

「帝国が保障して頂けるのか」

「それはそうだろう。何しろあの船には至高の皇帝陛下が乗っていらつしゃるのだから」

私達は必死に演じていた。


でも、このセリューニナは何か短気そうだ。

さすがに戦艦のブラスター攻撃を受けたらこんな貨物船一発で沈んでしまうんだけど、大丈夫なんだろうか? 私達の貨物船が真ん中にいたら皇帝親征の艦列を迂回させることになるんだけど、普通はやらないだろう。

私はとても不安になったときだ。


セリューニナがどこか他の者と通信していた。皇帝にでも確認しているのかもしれない。

皇帝はなんて言うんだろう?

私が皇帝ならばこんな船撃沈してしまえと言いかねないんだけど……


「喜べ、その方共。皇帝陛下はその方達を哀れんで、隊列を迂回させて頂けるとのお言葉を頂いた」

いかにも慈悲深いことをしてやったとセリューニナは言ってくれたが、

「いや、戦隊長様。あなたがいきなり進路を変更しろと言われたからエンジンが停止してしまったんだが、その保障はどうして頂けるのじゃ」

「普通は皇帝陛下ともあろう者が見捨てることはせんじゃろうて」

「セリューニナ殿の配下が来て直して頂けるのかの」

私達が好きに言っていると

「貴様等。何を申しておる。ここで皇帝陛下に無礼打ちに避けないだけ感謝しろ。これ以上つべこべ言うと機動歩兵に命じて撃沈するぞ」

セリューニナがヒステリーを起こしてくれた。


そして、いつの間にか私達の船は2機の機動歩兵にブラスターを突きつけられていたのだ。


「仕方がありゃせんの。後ろの輸送船が過ぎるまで送って下さるのか」

私が聞くと

「閣下、こんな壊れかけの船についていくのですか?」

機動歩兵の騎士達が文句を言うのが聞こえた。

「そこまでせんで良い。この艦隊を抜けたらほっておけ。後はドワルスキーが対処してくれるわ」

「えっ」

私はその声に驚いた。

「どうかしたか、老婆」

「いえ、ドワルスキー様と言えば第二戦隊で泣く子も黙る歴戦の勇者殿であるとか」

「ふんっ、それは過去のことだ。先日ユバスの小娘に負けて船を沈められて、今は補給船団の護衛隊長に左遷されておるわ」

そう、セリューニナが笑って教えてくれた。


「さようでございましたか」

私は舌打ちしたくなった。

こいつが補給部隊の護衛隊長なら楽勝だったのに、あのしつこいドワルスキーがいるなんて計算外だ。

私は前途に暗雲が立ち塞がるのを感じたのだった。


ここまで読んで頂いて有り難うございました。

すみません。戦闘まで行き着きませんでした。

次回こそは戦闘開始です

お楽しみに

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
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