表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/83

中継星領主の独り言 可哀相な王女を捕まえて帝国の男爵に献上することにしました

 私はオスモ、中継国家サーリアの領主だ。


 我がサーリアは第25番恒星ヤムサの第三惑星ユバスへの中継都市として発展してきた。人口も今では100万人もいる。辺境の砂漠の惑星としては栄えている方だ。


 ユバス王国には貴重な鉱物資源も多々あるし、銀河帝国と銀河連邦に囲まれた要衝でもあった。


 しかし、ヤムサ太陽系は暗黒雲の動きが活発で一年の大半はこの暗黒雲に囲まれており、ヤムサ太陽系には中々、中に入れないのだ。

 昔、探査隊が暗黒雲に阻まれて脱出に失敗、大半が死亡した事件に始まり、今までも年間数隻の宇宙船が暗黒雲に飲み込まれて行方不明になる魔の航路なのだ。彼の地自体は地球型の理想の惑星で人口はこのような辺境にもかかわらず五千万もの人々がいるのだが、船乗りにとっては命がけの航海でもあった。


 そのために作られたのがこの中継惑星サーリアだ。


 航路に慣れない商船や客船はこの地サーリアに碇を置いて、遊覧船や別の航路に慣れた貨物船に荷物を乗せ替えて人や荷物の搬入を行っていた。


 我がサーリアはその中継貿易で成り立っていた。


 50年前の紛争でサーリアの領地自体はユバス王国の管轄になったが、未だに帝国や連邦に繋がっている者も多々いる。


 ユバス王朝自体が、帝国や連邦の傀儡国家であった。しかるにここ数年、ユバスのセラフイーナと言う若い王女が女だてらにいろいろ刃向かうようになってきてユバス王国がきな臭くなってきた。

 まあ、女だてらにと言う言葉は帝国では禁句だが。


 なにしろ帝国のトップはエカチェリーナという女帝で、その治世は25年にも及び、その間に帝国は領土を倍にしていた。

 エカチェリーナは銀河帝国中興の祖なのだ。

 その率いる艦隊は強力で何度も銀河連邦の艦隊を敗走に追い込んでいた。

 帝国の威光は銀河の半数を照らし、俺も帝国の威光で領主になっていた。


 一応ユバス王国内では一代子爵の地位を与えられていたが、ユバスの子爵など帝国では準男爵以下の扱いだ。そして、その地位は俺様一代限りだった。


 俺は三代目の領主なる。

 先代は帝国の威光に逆らったので、抹殺された。

 強盗に射殺された事になっているが、その遺体は拷問された跡がそこかしこにある無残なものだった。

 暗黒街では帝国のフッセン男爵の意向に逆らったからだと噂されていた。


 そう、このような辺境の地には基本的に帝国の艦隊や偉いさんは出ててこない。

 地方領主の領分なのだ。

 フッセン男爵はここから200光年離れた地を治める男爵で領地の人口は1億を超える。

 治める太陽系の数は100を超えた。

 もっとも人の住む惑星は本星以外はほとんど無かったが……


 帝国の国境地帯の一部の管理を任され、艦船は輸送船や哨戒艇全て入れると100隻を超えた。

 この辺りでは一番栄えた領地なのだ。

 その威光は帝国の威光を背にして周辺200光年に及んでいた。


 そして、フッセン男爵が扱うものの中には銀河法で禁止された奴隷売買や海賊船の管理まで含まれていた。


 俺はこの地の領主として、商会や船主からフッセン男爵への裏金を一部手数料を引いて仲介していた。

 商会や船乗りは安全料の名の元に裏金をフッセン男爵に渡して、海賊の襲撃から守ってもらうのだ。この安全料を払わない愚かな客船や商船が海賊達に襲われると言う算段だった。


 その暗黙の了解を破ってセラフイーナが海賊を攻撃し始めたのだ。


 フッセン男爵の息のかかった海賊の辺境の赤髭が捕まってきたのには驚いた。


 セラフィーナは銀河法に基づいて裁判をして重労働させるなり、処刑するなりしろと置いていったが、俺様がフッセン男爵の息のかかった海賊を処分できる訳などないではないか。

 俺様は早速フッセン男爵にお伺いをした。


「ふんっ、そのような辺境の王女に捕まるようなドジな海賊などいらぬ」

 しかし、高速通信に映し出されたフッセン男爵はけんもほろろだった。

「しかし、周りに対しての示しもございましょう」

 俺様がそう聞くと、

「まあ、逃がしたければその方が好きにすれば良い」

 フッセン男爵は赤ひげに対しては投げやりだった。


「セラフィーナの跳ねっ返りはいかがいたしますか」

「我が意向に逆らったのだ。ただで済ませる訳には行くまい。その方が捕らえて、我が方へ送れ」

 俺様はフッセン男爵の言葉に目を見開いた。


「王国の王女をですか?」

「当たり前じゃ。王国の王女とはいえ、この地域を支配するのは儂じゃ。王国の奴らにも儂に逆らうとどうなるか目に物見せてやらんとな。

 奴隷としてこき使ってやっても良し、娼館に売り払っても良し、その王女の体をじっくりと見た上でどうするか儂が判断する」

 俺はフッセン男爵の目が一瞬欲望にギラギラと輝くのを見た。

 このような男爵の前に可憐な王女がどのような目に遭わせられるか考えて、俺様は瞠目した。

 まあ、帝国の男爵様に逆らう王女が悪いのだ。

「ふんっ、ヒイヒイ泣かせて見るのも良いかの?」

「さようでございますな」

 俺様は画面の中でそう呟くエロ親父と一緒に笑ったのだ。

 上手くいけば俺もそのおこぼれに預かれるかもしれないと期待したのだ。

 

 俺は何故王女が厄災女と呼ばれているのかよく知らなかったのだ。



ここまで読んで頂いて有り難うございます。

一代子爵のもくろみは果たして上手くいくのか?

続きをお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

新作

『母に叩かれ家出して魔術学園に入学したら何故か王子様と親しくなりました 平民少女のシンデレラストーリー』https://book1.adouzi.eu.org/n8270ll/

短編

『AIに乗っ取られた男』https://book1.adouzi.eu.org/n7779ku/

前作

『モブですらない小さい聖女に転生したので、小説の世界を堪能しようとしたら、何故かヒロインになっていました』https://book1.adouzi.eu.org/n4848kz/

私の今一番熱い人気の作品はこちら

表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

■【小説家になろう記載ページ】『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://book1.adouzi.eu.org/n9991iq/


表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://book1.adouzi.eu.org/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://book1.adouzi.eu.org/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://book1.adouzi.eu.org/n8911gf/



5番人気の話

『悪役令嬢に転生したみたいだけど、王子様には興味ありません。お兄様一筋の私なのに、ヒロインが邪魔してくるんですけど……』https://book1.adouzi.eu.org/n3871kh/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ