表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/83

側近から今回の作戦の肝になると言われた最新鋭艦を紹介してもらって、あまりのぼろさ加減に切れそうになりました

「姫様、帝国第一艦隊が本星キエフを出撃したとの報告が入ってきました」

 ヨーナズか私の所に来て報告してくれた。

 私は珍しく自分の執務室にいて、立体テレビを見ていた。

「それは今もテレビでやっているわよ」

 銀河帝国ネットワークがその映像を全銀河に流していたのだ。

 私はイヤホンを外した。

 テレビから音が流れてきた。


「帝国の皆さん、こんにちわ。こちらは銀河帝国ネットワークです。今帝国第一艦隊がゆっくりと宇宙港を出撃しました」

 帝国の旗艦マーズが真っ赤な船体を恒星の光にきらめかせながらゆっくりと飛び上がる。

「皇帝陛下万歳!」

「「「皇帝陛下万歳!」」」

「万歳!」

「「「万歳!」」」

「万歳!」

「「「万歳!」」」

 さすが、帝国、群臣を集めて派手にやってくれていた。動員された群衆も大変だろうなと他人事宜しく見ていた。


「今回の遠征は銀河帝国の精鋭、百戦百勝中の帝国第一艦隊です。今映っている皇帝陛下が座乗されている旗艦戦艦ネプチューンを中心に戦艦9空母1巡洋艦21駆逐艦84隻、輸送艦10隻もの大艦隊です」

 私はそれを聞いて頭が痛くなった。

「搭載機動歩兵は公表されてはいませんが、推定325機だと推定されます」

 更にそれを聞いて私は頭を抱えしまった。


 我が軍は基本は私のジュピター1隻と国王座乗船の巡洋艦1隻。駆逐艦2隻だ。

 機動歩兵に至っては旧式も全て集めても100機に満たなかった。

 なんとか増産してマーキュリーが25機になったが、後は私のビーナスを除くと大半は銀河大戦の時の旧式だ。到底勝てそうになかった。何故25なのか聞いたら、姫様の奇跡を祈願して25にしたのだとか……

25は呪いではなかったのか?

「皇帝に対する呪いですな」

ボニファーツは訳のわからないことを言ってくれたけど……

まあ、元々勝ち目の薄い戦いだ。縁起を担いで勝てれば良いだろう!

でも25が縁起なのか?

とても疑問が残るところだったけれど。

まあ、第六戦隊の25機には勝てたので、縁起ものと言えないことはなかった。


「さて久しぶりの皇帝陛下の親征ですが、今回の敵は遙か1000光年離れた辺境の小国ユバス王国だそうです」

「また遠いですね」

「そうなんですよ。解説のカネヤマさん。何でもそこの世間知らずの王女が皇帝陛下の御不興を買ったそうです。陛下は激怒されてその王女に礼儀作法を一から教えてやると親征を決断なされたとか」

「なるほど、人騒がせな王女ですな。それに鉄槌を下される皇帝陛下も大変ですな」

「本当に」

「でも、そのような辺境の小国に無敵の第一艦隊に対抗できる戦力があるのですか?」

解説のカネヤマが聞いていた。

「何でもちっぽけな巡洋艦が1隻あるだけだそうですよ」

「ちっぽけな巡洋艦って言うな!」

私はアナウンサーに怒ったが、当然向こうには伝わらない。

「そんな戦力で無敵の第一艦隊に対抗できるんですか?」

「どうでしょう。中々難しいのではないでしょうか?」

「そうでしょうね。まあ、世間知らずの王女も我が帝国が無敵の第一艦隊を出撃されるとは予想だにしていなかったんではないですか?」

「そうみたいですよ。何でも部屋に籠もって震えているとの情報が入ってきましたから」

「覆水盆に戻らず、後悔先に立たずですな」

 解説の親父とアナウンサーが好きに言って笑ってくれたんだけど……

「誰が部屋で一人で震えているのよ!」

ガチャ

 私はむかついたので、立体テレビを切っていた。


「ヨーナス、私が震えているなんてデマ流したのもあなたでしょう! どういうつもりよ!」

 私がむっとしてヨーナスを睨み付けた。私は敵戦力の多さに嫌になっていたが、別に震えてなんかいないんだけど……


「まあまあ、姫様、敵を侮らすのは兵法の基本です。ここは勝つために我慢してください」

 何でもないことのようにヨーナスは言ってくれたが、私は何か納得いかなかった。


「我慢するにも限界があるわよ、ヨーナス! でどうやって帝国に勝つというの? そろそろ作戦を教えてくれても良いんじゃない?」

 私がいい加減に堪忍袋が切れてきた。

「判りました。では姫様をこれから今回の作戦の肝の最新鋭艦『セラフィーナ丸』にご案内いたしますね」

 ヨーナスがそう言うや、キザっぽく私に手を差し出してくれた。

「ちょっと待ってよ。何よその『セラフィーナ丸』って。勝手に私の名前を使わないでよね」

 私が文句を言うと、

「それは現物を見てから言って下さい。姫様が驚かれるのは確実ですから」

 自信満々にヨーナスが言ってくれるんだけど……我が国には新規で船を作る余裕もないはずだし、ましな中古艦でも格安でどこから手に入れたんだろうか?


 私はヨーナスの顔と手を見比べて、仕方なしに取りあえずその手を取った。


 ヨーナスは私をエスコートして車に乗せるとポルヴィ工業の第25番ドッグに連れて行ってしてくれた。まあ、このドッグが25というのもあれだけど、それは昔からだから仕方がない。これもボニファーツによると縁起物だそうだ。

 ポルヴィ工業の第25番ドッグは宇宙船の建造ドッグで我が国では一番大きいドックだ。ここでジュピターが造られたので、私も懐かしい所だった。昔はワクワクしてここに通ったことを思い出していた。

 このドッグにあると言うことは最新鋭艦なんだろうか? でも、新鋭艦を造るなんて話は聞いたこともなかった。それに、そんな金なんてなかったと思っていたのだが……


 私は訝しげにヨーナスを見た。

「さっ、姫様どうぞ」

 私は言われるままに25番ドッグに入った。


「えっ」

 でも、私は中に入って唖然とした。

 そこにはどこにもきれいな新鋭艦なんてなかった。


 中には真っ黒の所々傷ついた古ぼけた宇宙船が横たわっていた。

 300メートルクラスの貨物船だ。

 長い間現役にあったのかボロボロで所々すす汚れていた。


「ヨーナス。最新鋭艦なんてどこにあるのよ!」

「姫様の目の前にある船が最新鋭艦『セラフィーナ丸』です」

私のとげのある文句にヨーナスが真面目な顔で紹介してくれたのだ。

このボロボロの宇宙船が最新鋭艦な訳はなかった。

ふざけるな! と私は叫びそうになった。


ここまで読んで頂いて有り難うございます。

次はついに明かされる作戦の全貌です。

お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

新作

『母に叩かれ家出して魔術学園に入学したら何故か王子様と親しくなりました 平民少女のシンデレラストーリー』https://book1.adouzi.eu.org/n8270ll/

短編

『AIに乗っ取られた男』https://book1.adouzi.eu.org/n7779ku/

前作

『モブですらない小さい聖女に転生したので、小説の世界を堪能しようとしたら、何故かヒロインになっていました』https://book1.adouzi.eu.org/n4848kz/

私の今一番熱い人気の作品はこちら

表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

■【小説家になろう記載ページ】『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://book1.adouzi.eu.org/n9991iq/


表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://book1.adouzi.eu.org/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://book1.adouzi.eu.org/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://book1.adouzi.eu.org/n8911gf/



5番人気の話

『悪役令嬢に転生したみたいだけど、王子様には興味ありません。お兄様一筋の私なのに、ヒロインが邪魔してくるんですけど……』https://book1.adouzi.eu.org/n3871kh/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ