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銀河帝国皇帝視点 皇帝親征に重症の部下を連れて行くことにしました

「銀河帝国第二艦隊第25戦隊長セリューニナ、お呼びにより参上いたしました」

 居並ぶ廷臣の前の絨毯の上を歩いてきた偉丈夫が私の座る玉座の前で跪いてくれた。


「ご苦労。セリューニナは此度の逃げたユバスの小娘の捜索でとても活躍したと聞く」

 私が声をかけると、

「陛下にそうお話しいただきとてもありがたいのですが、最終的に取り逃がしてしまい誠に申し訳ありませんでした」

 セリューニナはさらに頭を下げてくれた。

「まあ、よい。私自身、ユバスの小娘に逃げられてしまったのだ。貴様の罪を問うことはせん」

 私は首を振った。

「はっ、ありがとうございます」

「それよりも我が第一艦隊の第二戦隊がユバスの小娘の暗躍で抜けてしまったのだ。その穴をその方には埋めてもらおうと思う」

「私の隊を陛下の栄光の第一艦隊にお加え頂けると言うお話ですか?」

 顔を上げたセリューニナの目は輝いていた。

「そうだ」

「ありがたき幸せに存じます」

 セリューニナは再び頭を下げてくれた。


 これから親征と言うときにドワルスキーの第二戦隊が抜けたのはとても痛かった。しかし、戦艦と巡洋艦が大破ないし撃沈されれば交代させるしかなかった。そこで、第二艦隊で今回の捜索でも尽力したというセリューニナを引き抜いたのだ。第二艦隊の司令官から散々文句を言われたが、ドワルスキーの代わりは生半可な者では務まるまい。強引に戦力を整えた。

 ドワルスキーが抜けたのは痛かったが、一応、これで戦力のある程度の補充は出来たはずだった。


「陛下、お待ちください!」

 その時に唐突に謁見の間の扉が開いて、なんとそのドワルスキーが体中を包帯に巻かれた状態で現れたのだ。

「閣下、お待ちください」

「ええい、退け!」

 慌てて止めようとした近衛騎士をドワルスキーは弾き飛ばして私に向かって歩いてきたのだ。


「陛下、いかがしますか」

 後ろから近衞騎士団長が声をかけてきたが私は頭を振った。


 私は頭が痛くなってきた。

 第二戦隊の旗艦キエフは沈没していないのが奇跡なくらい満身創痍の状態で見つかったそうだ。

 エンジンは半壊、バーニアも大半は壊れ主砲も全壊、艦橋はグチャグチャに潰された状態で見つかったそうだ。ドワルスキーもよもやと思われたのだが、この男は何故か生きていた。肋骨を数本骨折していた重傷だったが……数ヶ月間休養させれば良かろうと思ったのだが、何故かその重傷の体を引きずってここに現れてくれた。


「陛下、何卒お情けを! 我が身を従軍の端にお加えください」

 ドワルスキーはセリューニナの横で地面に這いつくばるようにして頭を下げてきた。


「お情けをと言われてもその方は重症ではないか」

 私はドワルスキーの痛々しい姿を見て首を振った。

「ふん、このようかすり傷大したことはございません。陛下の為に尽力して25年。私は陛下とともに戦って参りました。今回の陛下の久々の親征に是非ともお連れください」

 必死の形相でドワルスキーは頼んできた。

「一緒に来ると申してもその方の戦隊がないではないか」

「確かに第二戦隊は旗艦キエフは大破、巡洋艦三隻はユバスの小娘のせいで撃沈されましたが、まだ駆逐艦が六隻残ってございます。その六隻で何としても陛下の陣に加えて頂ければと存じます」

「駆逐艦六隻で何をするというのだ」

「そうだぞ。ドワルスキー殿、こたびは私が陛下にその方の代わりを務めるように命じられたのだ。今は傷ついた体を休めるのが先決だろう」

「ええい、煩い。貴様につべこべ言われる筋合いはないわ。俺は今陛下にお願いしておるのだ」

「な、何だと」

 2人がいがみ合いそうになった。

 私は頭痛がしてきた。


「2人ともお静かに。陛下の御前ですぞ!」

 ゲラシームが横から2人を抑えてくれた。

「申し訳ありません」

 セリューニナは慌てて頭を下げてくれた。

「陛下、何卒よろしくお願いたします」

 しかし、ドワルスキーは決死の形相で私を見上げてきた。


「いかがいたしますか? ドワルスキーは引かなそうですか」

 横からアンドレイが心配そうにドワルスキーと私を見比べてくれた。

 ドワルスキーは言いだしたら聞かない。今までも散々苦労してきた。


「陛下、補給部隊の護衛艦を増やしても良いのではありませんか」

 グリゴリーが横から小声で提案してくれた。

 そう言えば補給部隊の護衛艦をもう少し増やしてほしいと補給部隊のユーリイから言われていたのを思いだした。


「ドワルスキー、どうしてもついてくると言うのか?」

「はい、従軍できればどこでも良いのでよろしくお願いいたします」

「判った。その方には補給部隊の護衛隊長を命じる」

 その言葉に廷臣達はざわめいた。

 切り込み隊長のドワルスキーが護衛など務まるのだろうかと皆不安に思ったのかもしれない。

 しかし、それ以外にドワルスキーを連れて行く場所はなかった。


「補給部隊の護衛隊長でございますか?」

 ドワルスキーは眉をしかめた。

「嫌なら置いていく」

「いえ、補給部隊の護衛隊長で結構でございます」

 慌ててドワルスキーは不満を顔から消していた。置いて行かれてはたまらないと思ったのだろう。


「良いか、ドワルスキー。今回は遠征だ。補給が途絶えたらその時点でその後の艦隊の行動が制限される。とても大切な役をその方に与えるのだ。どんなことがあっても補給部隊を守るのだぞ」

「ははあ。ドワルスキー、命に代えましても補給部隊を守り切って見せます」

「よし、頼んだぞ」

 私はやる気になったドワルスキーを見て安心したのだった。


「皆の者、明後日、第一艦隊はユバスに向けて出撃す。直ちに準備に取りかかるように」

「「「はっ」」」

 各戦隊長が私の言葉にその場に跪いてくれた。

 久々の親征だ。高々1隻の為に親征するのもあれだが、ユバスは元々帝国が支配しようとして暗黒流の流れの急変で邪魔されてきた歴史がある。その星を私の時代で支配下に置くのも良かろう。

 そう思いを馳せる私はこの時までは十二分に余裕があったのだ。



ついに決戦の開始です。

帝国の100隻以上の艦艇に対してユバスの主力艦は1隻。果たしてセラフィーナの運命や如何に?

続きが気になる方はブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
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