表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/83

大破した帝国の戦艦から一目散に逃げ出しました

 ジュピターは衝突のショックで凄まじい衝撃を受けていた。

「ギャーーーー!」

 横着にもシートベルトをしていなかったアーロンは天井に向けて吹っ飛んでいた。

 いつも私の悪口ばかり言っているからだ。

 少し溜飲が下がった。

 まあ、それどころではなかったけれど……


 もともとワープするときはワープアウト近辺に何もいないことを確認してワープするのだ。

 今回はワープする前にはいなかったのに、ワープアウトする直前にド悪ちゃんたちの船がワープアウトしてきたらしい。

 私達を追ってきたんだろうか?

 後でボニファーツに確認したらあり得ないとのことだった。

 まあ、ボニファーツがそう言うんならそうだろう。

 でも、たまたまド悪の艦隊が私達のワープアウトする地点にワープしてくるなんてあり得るのだろうか?

 広大な宇宙空間でたまたまニアミスする可能性なんて天文学的数字の確立なんだけど。ゼロコンマの下にゼロが見えないくらいついた後の一%だ。

 ド悪達が船の最大ワープ距離をワープしたのと戻って来た私達がぴったり重なる事になっていたなんて知らなかった。それでも天文学的数字の確立なんだけど……

「25の呪いだな」

 ヘイモが訳の判らない事を言ってくれたが、

「25なんてどこにもないでしょ」

「いや機動歩兵を25機積んでいたとか」

「なわけあるか!」

 私は思わず叫んでいた。

 後でド悪の旗艦のキエフがビスマルク型の25番艦だという事が判明したんだけど……

 そう教えてくれたボッチはこれは秘密にしておいた方が良いですよねと聞いてきたから私は大きく頷いた。25の呪い25の呪いって皆煩いのよ!


 ド悪達の艦隊も丁度ワープアウトしたところみたいでそれも何故か4隻が密集していた。

 後でボニファーツに聞いたら、巡洋艦単艦ではワープ距離が足りないので、まとまって戦艦のワープで強引に残りの巡洋艦を引きずってワープ距離を伸ばす為に密集していたらしい。そんなことが出来るなんて私では到底思いつかなかった。ド悪ちゃんは見た目ほど馬鹿ではないようだ。


 でも、それがド悪ちゃんの運の尽きだった。



 ワープアウトしたジュピターが最初に艦首で巡洋艦を引っかけたのだ。当然ジュピターの艦首にもバリアを張っていたので巡洋艦はそのバリアに引っかかって弾き飛ばされたのだ。ジュピターにはほとんど被害はなかった。

 弾き飛ばされた巡洋艦は回転していって隣の巡洋艦に激突したのだ。

 当たり所が悪かったのだろう。二隻は大爆発を起してくれた。

 それが残りの戦艦と巡洋艦も巻き込む。


 更にその前に戦艦にジュピターが激突していた。


「マルコ、回避だ」

 その前に艦長が指示を飛ばしてくれたけど……。

 マルコが必死に舵を切ってくれたのでまともにぶつかることはなかったが、戦艦から出ていた出っ張りにぶつかったのだ。


 凄まじい衝撃が艦内を襲う。


「ギャーーーー」

 地面に落ちていったアーロンの悲鳴が聞こえた。


 後でボニファーツに確認したら出っ張りに艦橋があったらしい。

 しつこいド悪ちゃんには悪いことをしたなと思う。さすがに無事では済まないだろう。

 でも、ジュピターはボニファーツが金に糸目をつけずに造っただけのことはある。ほとんど被害は無かった。

 でも、その後に衝突した巡洋艦の爆発の火炎が襲ってきた。


 流石のジュピターもその爆発に巻き込まれて吹っ飛ばされていたのだ。

「ギャーーーー」

 アーロンがまた今度は天井へ向けて飛んでいた。

 さすがのジュピターも木の葉が舞うように振り回されて飛んで行ったのだ。


「マルコ、なんとか水平に戻せ」

「やっています」

 マルコが必死に舵で制御して回転を止めようとしてくれた。


「衝突箇所の破損チェックを急げ」

「了解です」

「全計器チェック」

「爆発による被害無いか全てチェックしろよ」

 艦長が次々に指示を飛ばす。


 なんとか回転が止まる。


「多少の計器に異常は見られますが、運行には支障ない者と思われます」

「武器関係もほとんど異常なし」

「帝国の艦隊の状況は?」

「レーダー反応あるのは戦艦キエフのみです」


 画面に映る艦船は真っ黒にすす転けたボロボロになった戦艦キエフだけだった。

 後の巡洋艦3隻は見当たらなかった。残りの一隻も爆発したんだろうか。

 キエフは所々穴が開いていて、エンジンも満足に動いていないようだった。

 残った戦艦キエフは見る限りこちらを攻撃してくるようには見えなかった。


「姫様。今のうちにできる限り離れたいのですが」

 艦長が進言してくれた。

「でも、救援に向かわなくて良いのかな?」

 私は少し良心に呵責を感じた。


「姫様、何をおっしゃっていらっしゃるんですか? ここは敵のど真ん中ですよ。敵はすぐに救援が現れますから」

 アンネに諭されてしまった。

 確かにそうだ。今のうちに離れた方が良いだろう。ここは他人の心配をしているよりもこちらの安全だ。


「それより、下ろしてくださいよ」

 アーロンの声が天井からした。

「えっ」

 慌てて天井を見ると防御ネットに絡まって天井から吊り下げられているアーロンが見えた。

「何しているのよ。そんなところで遊んでいないでさっさと降りてきなさいよ」

「降りられたら降りていますよ。網が絡まって降りられないんですよ」

 アーロンが助けを求めてきた。


「ええええ! アーロンはいつも煩いから天罰が落ちたんじゃない? そのままそこにいれば」

「姫様酷い。そんなこと言わないで助けてくださいよ」

 私が冷たく言うとアーロンが泣き言を天井から返してきた。

 そのまま置いておこうかと思ったけれど、天井にいても煩そうだ。

「ヘイモ、ヨキアム、下ろしてやって」

「ええええ!」

「面倒な!」

 ブツブツ文句を言いつつ、ヘイモとヨキアムが動き出してくれた。


 ジュピターは大破した戦艦キエフをその場に残して全力で離れた。

 そこからユバスまで900光年の隠密逃避行は、また本当に大変だったのだ。


ここまで読んで頂いて有り難うございます。

次は皇帝の怒りです

お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

新作

『母に叩かれ家出して魔術学園に入学したら何故か王子様と親しくなりました 平民少女のシンデレラストーリー』https://book1.adouzi.eu.org/n8270ll/

短編

『AIに乗っ取られた男』https://book1.adouzi.eu.org/n7779ku/

前作

『モブですらない小さい聖女に転生したので、小説の世界を堪能しようとしたら、何故かヒロインになっていました』https://book1.adouzi.eu.org/n4848kz/

私の今一番熱い人気の作品はこちら

表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

■【小説家になろう記載ページ】『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://book1.adouzi.eu.org/n9991iq/


表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://book1.adouzi.eu.org/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://book1.adouzi.eu.org/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://book1.adouzi.eu.org/n8911gf/



5番人気の話

『悪役令嬢に転生したみたいだけど、王子様には興味ありません。お兄様一筋の私なのに、ヒロインが邪魔してくるんですけど……』https://book1.adouzi.eu.org/n3871kh/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ