表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/83

敵が次々に現れて、絶体絶命のピンチに陥りました

「本当に面倒くさいわね。じゃあ、ド悪さん、バイバイ」

 私は手を振るとジュピターはワープした。


 しつこいド悪ちゃんはこれでおさらば出来るだろう。

 私は楽観していた。

「ド悪は相も変わらず暑苦しい男ですな」

 ボニファーツが苦笑いしてくれた。

「暑苦しすぎて、昔第三戦隊にいた戦隊長に振られた男ですからな」

「えっ、ド悪って男好きだったの?」

 私が驚いて聞いた。そう言えば軍関係者は男色に走る者もいると聞いたことがあった。

「男色家ですか? それも笑えますな」

 ボニファーツは笑ってくれた。


「第三戦隊の指揮官のキャロルは女性だったのですよ」

「なんだ、そうなんだ」

 キャロルという名前はどこかで聞いたことがあるなと思いながらも思い出せなかった。

「ドワルスキーはしつこいですからな。振られても振られてもアプローチしてましたからの」

「いじらしいところもあるじゃない」

 私が思わず呟くと、

「それは姫様が当事者でないからそう言えるのです。つきまとわれた方にしてみればたまったものではありませんぞ」

「そうかな」

「良く言うよ。姫様。ヴェルネリ王女殿下につきまとわれているくせに」

「それは嫌かも」

 アーロンに言われて私はやっと理解できた。

「ちょっとアーロン、何余計な事を言っているのよ」

 横からヴェルネリがぎゃあぎやあ叫び出した。

 こんなのにつきまとわれたのならその人も大変だったろう。私は初めてその人に同情した。

「ギャー、ちょっと姫様助けて」

 切れたヴェルネリに襲われているアーロンは無視して、


「その女の人はどうしたの?」

「いや、まあ、それはですな……」

 何故かボニファーツが口を濁した。

 いつもペラペラ話してくれるボニファーツが口ごもるなんて珍しい。


「その相談に乗ってボニファーツ様がその方と結婚されたのですよね」

 アンネが続きを話してくれた。

「えっ、そうだったの?」

 私は初めて知った。

 そう言えばボニファーツのきれいな奥さんの名前がキャロルだった。元々帝国の第一艦隊の戦隊長をしていたなんて知らなかった。

「じゃあ、ボニファーツはド悪ちゃんの恋敵じゃない!」

「ですから、ドワルスキーの前にはあまり出ないようにしていたでしょう。更に機嫌を損ねたらしつこいですからな」

「でも、この船に乗っているのは知っているわよね」

「まあ、それは」

「じゃあ、何としてでも追って来るんじゃない?」

 私は背筋に少し寒いものを感じた。


「しかし、もう20年も前の話ですぞ」

「しつこいって言っていたじゃ無い」


「姫様、ワープアウトする艦隊あります」

 アンネの叫び声が聞こえた。

「ほら」

「しかし、ドワルスキーの艦隊はすぐには再ワープ出来ないはずじゃが」

「戦艦1巡洋艦2駆逐艦7です」

「別艦隊ですぞ」

「識別コード第一艦隊の第四戦隊です」

 アンネが教えてくれた。


「おのれ、ドワルスキーめ、他の戦隊に応援を頼むとは男らしくない」

「それだけボニファーツに対する恨み辛みがはげしいんじゃない」

「姫様もバイバイなんて人をおちょくる言い方するから」

 ヘイモがポロリと呟いてくれたが、否定は出来ない。


「姫様、敵が急速に迫ってきますが」

「マルコ、もう一回ワープ出来たわよね」

「一回だけですよ。その次のワープはすぐには出来ませんからね」

「何光年までいける?」

「最大100光年いけますが、次のワープ考えると10光年くらいにしておいた方が次のワープ時間短くていけますけれど」

 ワープは普通はエンジンやエネルギー効率等考えて24時間に一回100光年くらいだ。何回もワープするとどうしても無理がたたる。このジュピターは他の船に比べたらもっとワープ出来るけれどユバスまでは遠い。途中で故障したら大変だ。あまり無茶はしたくなかった。


「判った、ジャミングかけて10光年のワープよ」

「了解しました」

「敵、機動歩兵20機、発進しました」

よし、たったの20機だ! 25機ではない!

私はほっとした。これで問題は起こらないはずだ。


「ワープ準備」

「ワープ10秒前」

「機動歩兵接近中」

「3、2、1、ワープ」

 その瞬間、周りがホワイトアウトした。


 

 私達は張り詰めていた空気が緩やかになるのを感じた。

「これでなんとかまけたわね」

「最初からジャミングかけないから」

 アーロンにブツブツ言われたが、

「ジャミングはものすごくエネルギー食うのよ」

 私が言い訳した。

「でも、姫様、敵を確実にまけましたかね」

 艦長が心配して聞いてきた。

「大丈夫よ。ジャミングをしたら追跡出来ないわよ。闇雲に探しても、宇宙は広いからね。私達を探し出すのは至難の業だと思うわ」

「しかし、ここは帝国の中心地ですからね。船舶の航行も多いですよ」

「多いと言っても高々しれているわよ。航路は外したんでしょ」

「まあ、基幹ルートは外しましたけれど、マイナーなルートにはいますよ。それにどうしてもワープに使いやすい宙域は限られますからね」

 マルコが不吉なことを言ってくれた。

「姫様、前方に船を発見しました」

そのタイミングでアンネが報告してきた。


「えっ、いきなり、軍艦なの?」

 私はドキリとした。

「いえ、コードから見て貨物船クォーター号です」

 その報告に私はほっとした。

「げっ、クウォーターって25なんじゃないのか?」

「アーロン余計な事を言わないで!」

私がきっとしてアーロンを睨み付けた。


「そのクォーター号から入電です」

「えっ、なんで?」

「さあ、ビーコンは既に交わしたと思うのですけど」

「取りあえず繋いで」


「こちらは貨物船クォーター号です」

 中年の男が画面に出た。

 どこか視線がさ迷っている。

「こちらジュピター。どうしたのですか?」

 アンネが尋ねた。。

「いやあ、良い天気ですな」

「えっ?」

 私達はその声にぽかんとした。

 良い天気って宇宙に天気なんてあるのか? ユバス星域じゃああるまいし。

 絶対におかしい!

「ボニファーツ、貨物船の亜空間通信を遮断して」

「判りましたぞ」

 私が命じると同時にアンネが傍受した通信を流してくれた。

「大変です。指名手配の逃亡船ジュピターを見つけました……ブチッ」

 私達はド悪ちゃんに、指名手配されたらしい。


「急速発進よ。できる限り貨物船から離れて」

「了解」

 私の悲鳴に慌てて皆動き出した。

「やっぱり25の呪いなんだ」

ヘイモがブツブツ言い出したが、

「そこ、煩い!」

私は頭が痛くなってきた。


「姫様。反対側に帝国軍がワープアウトしてきます。戦艦一、巡洋艦二、駆逐艦七」

ワープは出来ない。

私は絶体絶命のピンチに立たされたのを知った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

新作

『母に叩かれ家出して魔術学園に入学したら何故か王子様と親しくなりました 平民少女のシンデレラストーリー』https://book1.adouzi.eu.org/n8270ll/

短編

『AIに乗っ取られた男』https://book1.adouzi.eu.org/n7779ku/

前作

『モブですらない小さい聖女に転生したので、小説の世界を堪能しようとしたら、何故かヒロインになっていました』https://book1.adouzi.eu.org/n4848kz/

私の今一番熱い人気の作品はこちら

表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

■【小説家になろう記載ページ】『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://book1.adouzi.eu.org/n9991iq/


表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://book1.adouzi.eu.org/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://book1.adouzi.eu.org/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://book1.adouzi.eu.org/n8911gf/



5番人気の話

『悪役令嬢に転生したみたいだけど、王子様には興味ありません。お兄様一筋の私なのに、ヒロインが邪魔してくるんですけど……』https://book1.adouzi.eu.org/n3871kh/

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ