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離宮から秘密通路を使って逃げ出しました

「では姫様、早速、この離宮から脱出してジュピターに合流しましょう」

 ヨーナスが言い出してくれた。

「扉の外には見張りが2人立っていますが、気絶させますか?」

 外を伺っていたアードルフが聞いてきた。

 この離宮には全部で25名の近衛が警戒のためにいるそうだ。

「本当に25名なの? 24名とか26名じゃなくて?」

私はそう報告してくれたボニファーツを白い目で見た。

「何をおっしゃっているのです。姫様。そのようなことで嘘をついてどうなるのです。そういえば25は姫様にとって鬼門でしたな? それほど25を気にされますか?」

面白そうにボニファーツが私を見てくれた。

「そんなの関係ないでしょう!」

「そうよ、私は気にしていないわよ!」

ムッとしてアードルフが反論してくれて、私もそれに頷いた。

「ならば良いではないですか?」

「それはそうだけど……」

ボニファーツの言葉に私は口を濁した。無視したいがこれだけ色々と続くと少しは気になるのよ。


「合ってるよな、ボッチ」

「はい、先程一人が離宮から離れて25名になりました」

「ちょっと、そうなる前に教えなさいよね」

私がムッとしてボニファーツを睨むと、

「やっぱり気にされているではないですか」

ボニファーツが笑ってくれた。

「それよりもそれだけいて脱出出来るの?」

私が話題を強引に変えた。


「まあ、それは秘密の通路を使えばなんとかまけましょう」

 ボニファーツが笑って提案してくれた。


「兵士達に知られずに逃げ出す秘密の通路があるの?」

「この離宮のセキュリティを作ったのも儂ですからの。当然秘密の通路も全て把握しておりますぞ」

 ボニファーツはそう言うとボッチに合図した。


「姫様、ここです」

 暖炉の傍のスイッチをボッチが操作すると壁がスライドして本当に隠し通路が現れた。

 スパイ映画みたいだ。


「ヒューー、さすが帝国の皇宮ともなれば色々とあるんですね」

 ヨーナスが目を見開いた。


「ボッチ、中のセキュリティーを誤魔化してくれ」

「了解です」

 ボッチが端末に繋いでセキュリティを次々に誤魔化していく。

「では参りましょう」

 ボッチが先頭で、そのうすぐ後ろにアードルフと2人が、その後ろにヨーナス、私、ボニファーツ、そして騎士の残りの2人だ。


 私達はほこりっぽくて狭い通路を早足で歩いて行った。

 横幅は狭かったが、高さは結構高く180センチ以上身長のあるアードルフも余裕で歩けるのが良かった。

 すぐに階段があり、地下に降りる。

 階層がいくつもあり途中で分かれ道もいくつもあったが、躊躇なくボッチは最下層に降りていった。

 どれくらい深いんだろうか?

 階段を何段下ったか、覚えられないくらい下に降りた。

 そして、そこから長い通路を歩いた。

 どれくらい歩いただろうか?


「痛い!」

 私はいきなり止まったヨーナスの背中に顔をぶつけていた。

「しっ」

 ボッチが私を注意してくれた。

 止まるなら後ろに合図してよと私は文句を言いそうになったが、ボッチは無視して前を確認しているようだ。

「誰かいるようです」

 代わりにヨーナスが教えてくれた。

「姫様も儂のように少しスペースを空けてついて行きなされ」

 小声でボニファーツに注意された。

 戦闘の事で技術者のボニファーツに注意されるのもどうかと私は少し反省した。



「今です。2人ずつ来て下さい」

 ボッチの指示で、2人ずつ、小走りに走る。

 私はヨーナスと一緒に移動することになった。


 そこは少し広場になっていて、10メートルくらい隠れる物が無かった。

 広場を見ると歩哨が2人反対側を向いて警戒している。

 その後ろを気付かれずに通る必要があった。

 その距離は近いところで5メートルも離れていない。

 私の前の2人が静かに通り過ぎた。


 次はヨーナスと私だ。

 少しドキドキする。

 あんまり隠密行動は苦手だ。

 基本時にこういう所ではレイガンをぶっ放していつも交戦していた。

 しかし、今日は先は長いのだ。こんな所で見つかる訳には行かなかった。

 私はいざという時はレイガンを発射できるように構える。


 ボッチが向こうから合図してくれた。


 ヨーナスが飛び出した。続いて私も飛び出す。

 歩哨の2人は反対側を見て何か話していた。


 私は2人を見ていて地面を確認するのがおろそかになった。

 そして、少しだけ段差になっているところがあって、私はそこに足を引っかけてしまった。


 ガタンッ

 転けそうになってそのまま物陰に飛び込んでいた。

 慌ててヨーナスが抱き留めて引っ張って隠してくれた。


「おい、何か音がしたぞ」

 慌てて歩哨がこちらに来ようとする。


「ニャーオ」

 そこへボッチが猫のホログラフを出して誤魔化してくれた。

「何だ、猫かよ」

「不審人物なんてこんなところを通る訳は無いだろう。それよりも少し寒くなってきたぜ。監視室に戻ろうぜ」

「そうだな」

 歩哨は立ち去っていった。


「姫様。お気をつけ下さい」

 私はヨーナスに注意された。

「ゴメン。ちょっとつまずいてしまったのよね」

 私はほっとしつつ謝った。


「ヨーナス!」

 と同時に前からアードルフの鋭く注意する小声がした。

 顔をあげるとアードルフがヨーナスを睨んでいた。

 何で? と思いつつ、私はヨーナスに抱きしめられていることに気付いた。


「ああ、すみません」

 私の視線に慌ててヨーナスが体を離す。

 私は少し赤くなっていた。


「ほんに姫様、肝が冷えましたぞ」

 後ろからやってきたボニファーツに小言を言われた。

「本当にごめん。ボッチも誤魔化してくれて有り難う」

「姫様のフォローをするのが私の役目ですから」

 ボッチは振り向いて得意そうに言ってくれた。


「あと少しですから姫様も注意力散漫にならないようにお気をつけ下さい」

 ボッチはそう言ってくれたが、ここからジュピターまではまだ1時間以上かかったのだ。


 ジュピターのすぐ傍まで、秘密の地下通路は続いていた。

 しかし、ジュピターの周りも警備の名士達が目を光らせていた。

「どこから入るのよ?」

私が聞くと

「エネルギー供給パイプが繋がっているのでそれに隠れて近付いて、非常用点検口からジュピターの中に入ります」

ボッチが教えてくれた。

私達はパイプに隠れてジュピターに近付いて、点検口から入ったのだ。

 でも、最後の点検口は狭くて通り抜けるのが大変だった。


「アードルフもう少しだ」

「おいちょっと、早く通り抜けろよ」

 一番体の大きいアードルフを艦内に入れるのがまた大変で、10分以上かかったのだ。

「本当に図体ばかりデカイでくの坊はどうしようもないの」

 ボニファーツが後ろから文句を言っていた。


 でも、そのボニファーツは今度は横幅がデカかったのだ。

「変じゃな。昔は余裕で通れたはずなのじゃが」

「ちょっと、じいさん。太り過ぎだぞ」

 ここぞとばかりにアードルフに馬鹿にされていた。

「つべこべ言わずにさっさと引っ張り上げろ」

「へいへい」

そうおなざりに頷くとアードルフは思いっきりボニファーツを力任せに引き上げたのだ。

「おい痛い、痛いぞ」

「文句を言うなら痩せろよ」

「おのれ、アードルフの奴覚えておれよ」

「つべこべ言わずにやるんだろう」

日頃の恨みとばかりにアードルフは力任せにボニファーツを引っ張り上げていた。


私達は皆、埃やすすで真っ黒になりつつなんとかジュピターにたどり着いたのだった。




ここまで読んで頂いて有り難うございます

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


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