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戦王剣は新米冒険者〜生涯無敗で世間知らずな元騎士長は、我流剣術と共に自由気ままな二度目の人生を〜  作者: 瀧原リュウ
冒険者試験編

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#99 極めし一振り

 極真斬、という剣技がある。


 真を極めると書くそれは、かつて剣士であれば誰もが挑戦した一太刀の斬撃。


 求められるのは、驚異的な集中力。己の全てを放つ一撃に込めて放つそれは他を圧倒する奥義へと変貌するが、その域に達するのは困難を極める。


 生半可な修練、年月では決して到達することは叶わず、さらにただ鍛え続ければいいというわけでもない。心を静寂で満たし、その状態から一気に全てを解き放つ。そうして生まれる斬撃は空気すら断ち、たとえ相手がどれほど頑強な存在であろうとその正確な太刀筋と剣速で両断する。それが、かつての剣士が生み出し言い伝えた、極真斬剣術の唯一にして最大の奥義なのだ。






「………ぁぁあああっ!!!」


 辺りが無風の湖、その水面のように揺らめきを一切見せないような心の状態から一変、私は心のうちに溜めていた感情を一気に解き放つ。


 刃はかつて類を見ないほどに赤く、それでいて熱により変形することの無いよう魔力を上手く調整する。だが、決して溶けないギリギリの温度を留めているわけではない。これに宿っている熱はそんなものを遥かに超えるものであり、正直柄を握っているだけで火傷してしまいそうなほど………いや、すでに多少してしまっているな………


 が、それだけの火力。流石の魔力合金でも、このレベルの熱を受ければひとたまりも無いことは分かっている。


 速く、硬く、強い。これまでのガーディアンの常識を覆してしまいそうなこの黒刃の鉄仮面(ブレイダー・マスク)。数日前の樹拳の指南者(ウッド・グラッパー)を超えるほどの存在であったことは確かだろう。想像以上に手間取ってしまった。


「だが……これで最後だ……‼︎」


 私はガーディアンにへと急接近する。動いていなかった分足は溜まっている。瞬間速度であれば、人工筋肉の塊である奴にも決して負けない。


 そうして一瞬にして距離を詰めた私は、瞬く間に懐にへと入り込む。その時にはすでに剣は下から振り上げており、それは奴の左腰辺りに食い込む。そしてそれを感じるよりも先に、私は剣を振り切る。

 

「ぁぁぁぁぁあああああ!!!!!」


 結果、私は黒刃の鉄仮面(ブレイダー・マスク)の体を両断することに成功した。焼き斬られたガーディアンの上半身は宙で舞い、その後重たい金属音を響かせながら地面に転がった。


 自分で言うのもなんだが、もはや狂気の沙汰とも呼べるような集中力から生まれた一太刀。そこから更に炎を上乗せした神速とも呼べる斬撃は、ガーディアンの魔力合金すらもいとも簡単に溶断してみせたのだ。


「………動かなくなった……?」


「おそらく、充填されていた魔力が底を尽きたのだろう……膨大なそれを削り切るほどの一撃だったと言うことだ……もしかすれば、黒刃の鉄仮面(ブレイダー・マスク)に刻まれた構築式すら焼き斬ったのかもしれん………」


 半分に斬られ、切断面も熱により塞がってしまっていたガーディアンはそこからは一切動くことなく、歪な体を保ち存在感を放ちながらも完全に事切れていた。


「まぁ、ひとまずなんとかなったようで一安心だ」


「そうだな……ここまで動かないのであれば、問題ないだろう。ひとまず後で回収させて、城の研究室に送るとしよう……それよりも、今は他の受験者と怪我人が心配だ。リザリアとオルフロストは先に医務室へと向かっていろ、私は受験者の安否を確認した後に合流する」


「了解です。行こうシルカ」


「あぁ………」


 私はレイアに連れられ、医務室へと向かう。が、野外フィールドから建物内へと向かう道中、誰かに見られている気がしてならなかった。






 建物に入ってみれば、職員も冒険者たちも大騒ぎ。それに加え建物に戻ってきたギルドマスターの片目が抉れているものだから、中にはそれを見て卒倒している者もいた。


 幸い、受験者たちはそこまでバラバラになっておらずロビーにて待機していたようで、ネストはすぐさま彼らを集めて状況説明を始めた。あの調子なら、私たちにすぐ合流するだろう。


 一応、ギルド内の地図は前世の記憶の中に入っている。が、当時とは変わっている可能性もあるので、素直にレイアに案内してもらうことにした。


 建物の左側の壁と隣接するようにそれはあった。緊急で外から運ばれてくる人間ようにここにも出入り口が設置されており、日当たりはかなり良い。


「ドクター、失礼します」


 レイアが医務室の入り口でノックをすると、「そんなんせんでも開いておるわい」と中から老人と思われる男の声がこちらにまで届く。


 中に入ってみると、医務室にしてはなかなかの広さだ。棚には様々な薬や資料、奥には治療用のベッドも備え付けられてある。


 そしてそこに座っていたのは、小さな老人。身長は私よりも低く、手足は子供のように細い。異様に丸いメガネをかけており、実に特徴の多い者だった。


「シルカ、この人がここのギルドドクター、ヒューストン・ハクゼン先生だ」


「うん、よろしく」


「ど、どうも……」


 なんというか、淡々としている。が、見たところさっきまでかなり疲れていたように思える。


「それで、二人の容体は………」


「あぁ、じゃあ奥の患者室に……おーい青髪の、そっちは集中治療室や」


 やはりこう言う場合は、人に任せたほうがいい……………


 そしてそのままドクターに案内され、患者室の方に歩いて向かう。

一応ですが、極真斬を生み出したのはグフストルではありません。習得こそしているものの、グフストルですら会ったことのないほど昔の剣士です。

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