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戦王剣は新米冒険者〜生涯無敗で世間知らずな元騎士長は、我流剣術と共に自由気ままな二度目の人生を〜  作者: 瀧原リュウ
冒険者試験編

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#98  刃に込めるは炎、注ぎ込むは意志

「もっと……もっとだ………‼︎」


 奴を焼き斬るための火力は、まだまだこんなものでは足りない……!


 私は剣へと魔力を送る傍ら、先ほどの集中力を取り戻そうとしている。むしろ、そちらの方に九割五分の意識を割いている。そして、そのためにレイアにも手伝ってもらっているのだ。


 案の定、刃はあっという間に熱によって真っ赤になる。それでも、おそらく足りない。


 魔力合金という素材は、決して侮ってはいけない。それは自然界のトップクラスと張り合えるとまではいかないが、それでも人間が作り出す合金の中で最も硬度が高い。


 それに加え、受けた魔法、魔術を学習してしまうといった対応力すら有している素材だ。まぁその分値段もえげつないことにはなるが、あくまでも国が作ったもの。予算はどうとでもなるのだろう。


「シルカ……!これ以上は剣が持たない………」


「だが、耐えてもらわねば困る……‼︎こいつも、伊達に私に使われてきたわけではないはずだ………‼︎」


 武器はただの道具ではない。己の命を預ける大切な相棒だ。そしてそれらには、持ち主の意思が少なからず宿っているはずだから。






岩鋼糸縛(ロック)……‼︎」


 筋肉量がいくら増えようと、その硬さは変わらない。故に、ネストの岩の鋼糸も通りはするが、それでもスロットルを上げた黒刃の鉄仮面(ブレイダー・マスク)はそれを難なく破壊する。


「一回の拘束で約三秒………といったところか………」


 私が要求したのは三分、つまり百八十秒。単純計算で同じことをあと六十回繰り返せばいいこととなるが………それで納得のいくネストではない。


「同じことばかりしていても芸がないだろう………趣向を少し変えよう………!」


 ネストはそのまま地面を魔力によって操る。こいつの魔術は、地面全てを味方へと……武器にへと変換する。


 その直後、地面が波打ち、それによりガーディアンが体勢を崩す。その揺れはガーディアンを中心とした半径約四メートルほどに留まっており、私とレイアに影響が出ることはなかった。


 揺れはどんどん強くなり、大地は音を響かせる。やがて完全に体制を崩しその場にて転倒するガーディアン。そして、ネストはそれだけでは終わらせない。


「沈め………‼︎」


 倒れたガーディアンの体がどんどん地面の中に落ちていく。まるで底のない沼に落ちているようで、その体はやがて地面の中に全て沈んでいってしまう。


 そしてそこから、ネストは発動している魔術の構築式を脳内で即座に書き換える。液状化のそれとは、全く逆へと。


 波打っていた地面は一瞬にして固まり、再び地面らしさを取り戻した。そこからさらにそれを圧縮。ガーディアンが埋まっているであろうその場所の一部が文字通り縮む。適度に硬さがある土はまるで岩石のような硬度にへと変貌し、地面の牢獄にガーディアンを閉じ込めてしまった。




 しかしそれも、ほんの一瞬だった。


 バキッ……パキパキ………!!!


「っ……⁉︎」

 

 圧縮され球体のような形状となった塊には徐々にひびが走り、あっという間に黒刃の鉄仮面(ブレイダー・マスク)はその姿を再びネストの前にへと現す。そのまま高く飛び上がり、頭上からネストに向かい拳を振るわんとする。


「ふん……岩鋼糸縛(ロック)……乱重格子(スパイダー)……!」


 突如、黒刃の鉄仮面(ブレイダー・マスク)の体が空中にて静止した。ネストにより瞬時に張り巡らされた相当数の岩の鋼糸が、ガーディアンを固定している。


「流石に空中……地上のようには動けまい」


 ガーディアンはギチギチと音を立てながらなんとかそれを突破しようと試みる。


 多少の糸は切れているが、それでも未だガーディアンの体は宙に存在している。抜け出すのには少し時間がかかるだろう。


黒刃の鉄仮面(ブレイダー・マスク)………冒険者ギルドがメインで開発を進めたガーディアン……国からの援助も受け、現在存在しているガーディアンの中でも高位となる性能のそれを作り出すことができた……今後は冒険者の育成や対魔物兵器としても活躍を期待していたのだが………残念だな………)


 ネストは心の内で少し残念がる。それほどまでに、このガーディアンは様々な可能性を秘めていた。


 そしてそれを五体分、自分たちの手で破壊しなければならない。これらを作るための費用のことを考えると頭が痛くなるが、人々の安全には変えられない。危険から身を守るための道具で、危険に晒すことなどあってはならないのだ。




「……………さぁ、」



 三分経過だ。



「ご苦労……‼︎」


 ネストから時間経過の合図を受け取る。私の集中力も元に戻り、火力もバッチリだ。もう負ける要素はない………‼︎


 あとはこれを、完璧に命中させるだけ………


「いくぞ……ガーディアン………‼︎」


 もうすでに、黒刃の鉄仮面(ブレイダー・マスク)はネストの岩鋼糸縛(ロック)から抜け出しており、隆起させた筋肉を最大限活かしてこちらに攻め込んでくる。それは今までのどんな突進よりも速く、一瞬にも満たない速度で二十メートルはあったであろう間を潰してくる。


「フゥゥゥッ……………極真炎溶斬!!!!!」


 そうして私の手から放たれる、たった一太刀。最大を超えた集中、そして限界を超えた炎は、黒刃の鉄仮面(ブレイダー・マスク)にへと到達した―――――

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