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戦王剣は新米冒険者〜生涯無敗で世間知らずな元騎士長は、我流剣術と共に自由気ままな二度目の人生を〜  作者: 瀧原リュウ
冒険者試験編

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#95  同化

「ッ⁉︎いつの間に……⁉︎」


 レイアが火だるまにしていた黒刃の鉄仮面(ブレイダー・マスク)が、私たちの前にいつの間にか立っている。


 だが確かに、私がここに辿り着き、他のガーディアンを斬っていた先ほどまではいなかったはずだ。それがなんの音もなく、今ここにいる。転移魔術というわけではなさそうだが………


「む………?」


「今度はなんだ?」


 ガーディアンが腕を差し出す。そしてその先にいたのは………たった今私が斬った他の黒刃の鉄仮面(ブレイダー・マスク)


 体の断面を見せながらも、その腕に這い寄るガーディアン。人のために魔物と戦うべく作り出されたそれらだが、その光景はあまりにも気味の悪いものだった。


 必死に地面を這う人工筋肉の塊は、ギシギシと音を立てながら進む。斬られ方が違うため、その動きは様々。どちらにせよ、生理的に受け付けるものではない。


「………そういえば、こいつらにはコアは無いのか……?」


「あぁ。こいつらも樹拳の指南者(ウッド・グラッパー)同様の魔動兵器……すなわち、魔力をエネルギーとしていることは知っているな?」


「頭にはある程度入っている」


 が、本来試験にガーディアン関連の問題など入っていなかったのだがな……なぜこいつは私が知っていると勝手に決めつけているのだ?まぁ知っていたから良かったが。


「こいつらには魔力で作られた架空の魔力貯蔵庫が搭載されていてな……あらかじめ魔力を注いでおくことで、最大一ヶ月動き続ける」


 一ヶ月は中々だな………さすがは魔物と戦うために作られたものだ。長期間連続稼働をしっかりと可能としている。かつてはどれだけ持っても三日程度であったはずだが………技術の進歩は凄まじいな。


 その上架空の魔力貯蔵庫なるものなど初めて聞いた。そもそもそんなものどうやって作っているんだ?おそらくそれを構成するための構築式は私の想像を遥かに超える複雑さなのだろうな。


 ちなみに、先ほど述べた三日というのは、物理的に製作した魔力貯蔵庫での話だ。ガーディアンにそれを組み込むことで、体を動かす役割をするもの………当時その部分こそがコアと呼ばれていたのだが………


「その技術が確立されてからは、魔物に破壊される可能性のあるコアは取り払われ、今のようなガーディアンの構造となったわけだ………どうやらお前が読んだ資料は、少し古いものらしいな」


 古いというか、記憶の中に残っていた知識だがな。


「というか、このような授業をしている場合では無いのではないか?」


「まぁ……そうだな。というか、あの腕に向かったところで何になるというんだ?」


「特に何もない……はずだが、そもそもこのように自我を持って動いている時点でおかしいからな。何かしらあっても不思議ではないが………ッ⁉︎」


 そんな瞬間だった。一体のガーディアンがその差し出された腕にへと辿り着き、それに触れる。すると瞬時に腕に向かった側のガーディアンの体がバラバラとなってしまう。が、そこで終わらない。


 人口筋肉の繊維が束状になったところで、なんと待ち構えていたガーディアンの腕に纏わり付いたのだ。そして数秒ののちにそれらは完全に同化。ガーディアンの右腕は太さが倍、長さも五割増し程度には伸びていた。


「すごいな………最近のガーディアンは合体もできるのか………」


「そんなわけないだろう……‼︎あれは明らかに異常だ‼︎まずありえん‼︎」


 ネストが未だかつてないほどの焦りを見せている。ありえないはずのことが目の前で平然と起きてしまえば、どのように普段微動だにしない人間であろうと動揺してしまうものなのだろうか。


 だが、それだけでは終わらない。


 一体、また一体と、分断されたガーディアンが四体分余ることなく一体のガーディアンに取り込まれていく。


 右腕の次は左腕。次に右足、左足と、四肢全てに纏わり付いた魔力合金の筋繊維。それはたった一体のそれの力を以上と言える段階にまで引き上げているようだった。


 そうして完成されたのは、巨人の間の樹拳の指南者(ウッド・グラッパー)………までとは流石にいかないが、それでも人間のサイズは遥かに超えている。


 手足だけが太い歪な人型。胴体と首から上の大きさは変わっておらず、全くバランスが取れていない。


 その鋼すら優に超えた肉体は奇妙な存在感を放っており、さらには先の樹拳の指南者(ウッド・グラッパー)のようにガシャガシャと体内で何かが動いている音もしない。つまりは断面通り、あの体は完全なる魔力合金の塊ということだ。

 

 それなら、先ほどのように斬ってしまえば良いのではないかと思うかもしれない。が、あれには相当な集中力を要し、短いスパンで連続使用することはまだできない。


 まったく………こういう状況になって、嫌というほどに己の未熟さを思い知らされるばかりだ……私も自惚れてはいけない。まだまだ強くならねばな。


「おいネスト、こいつどうしようか?」


「………何をニヤニヤしている。やることは先ほどまでと変わらん………行くぞ」


「了解だ‼︎」


 まずは手始めに、目の前のこいつに私の成長の糧となってもらおうか………‼︎

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