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戦王剣は新米冒険者〜生涯無敗で世間知らずな元騎士長は、我流剣術と共に自由気ままな二度目の人生を〜  作者: 瀧原リュウ
冒険者試験編

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#88 触れた逆鱗

「では……行くぞ……!!」


 先手を打ったのはネスト。両腕を横に広げ、掌は外側を向いている。


 そこから見せるのは、地面、石などを魔力によって操る地属性魔法。ネストの周囲の野外フィールドを形成している地面が隆起し、そのまま宙へと浮かび上げられる。浮かんだ岩石はネストの両手の周りで回り続けており、


(装填完了……といったところか………)


 私は構えない。ただ突っ立っている。力も抜いており、見る者からすれば戦う意思のないようにも思えるだろう。


 が、私は得物を何も持っちゃいないのだ。構えるも何もない。


 それに、奴は魔術で一発当てろと要求している。拳を構えて向かって行ってもなんの意味もない。ここはひとまず飛んでくるであろう石の礫に警戒し―――


 ドゴゴゴゴ………ドガガガッ!!


「ッ……!?」


 私が一瞬奴の纏っている石に意識を持って行き過ぎた時。そこを狙われていた。


 その瞬間、私の足が地面に埋まる。今私が踏んでいる地面に穴を開けられたわけではない。奴が地面を操り、私の足にそれを覆いかぶせたのだ。


 更に、しっかりしている……!足を埋め尽くした地面は奴の魔力によって固められており、生半可な力では脱出すら不可能。


 そこから、私の動きを封じたと同時、襲い掛かるものが―――


(あの男……!本気で私を殺すつもりか………!?)


 背後の地面から飛び出してくる、石の槍。槍と言ってもどちらかと言えば円錐状に近い一本の剣山だが。


 その直径およそ一メートル。胴の真ん中に食らったものならば、おそらく貫かれた後上半身と下半身が分離されてしまうと容易に想像できてしまう。


 そう、あのネストが見せびらかしている岩石は、私の意識を後方へと向けないようにするためのフェイント………本命はこっちだったか………!




 確かに、ネストは容赦するつもりはないと自分で言っていた。もちろんそれは良い。むしろそうじゃなければ私が納得できない。


 が、それでも少しやりすぎなのではないか……!?そこら辺の奴なら普通に死ぬぞこんなもの……!!


「ふんッ……!!」


 私の背中にそれが接触する直前、私は今出せる全てを出し切るつもりで石槍の先を掴む。止まっている間もどんどん伸びているようで、気を抜けばこのままやられかねない。


「………あれを受け止めるか……!」


「……魔力による身体強化………今後戦っていくための必須技能だ……!」


 魔力とは、エネルギーそのもの。力を生みだし、その力を行使するためにも必要となる。そして、血液のように体中を巡らせれば、爆発的な身体能力の向上が可能となるのだ………!


 そして、止められているにもかかわらず己を伸ばし続けた石槍は、自らの形を留められなくなり、そのまま自壊した。

  

 突如加えていた力が意味をなさなくなり危うくバランスを崩しそうになるが、何とか持ちこたえる。


「ッ……!!集点岩弾(アグリゲーションレイ)………!!」


 フェイントではあったが、それでもあの岩石は立派な武器となる。先ほどよりも体感四倍ほどに増えた大量の岩石は、私の体一点に向かってその全てが放たれる。それは物凄い密度であり、もはや石の柱が伸びてきているかのように錯覚してしまうほどだった。


「良いのか?ばらけさせなくて……………はぁぁぁあああああ!!!!!」


 こちらからならあれだが、向こうから仕掛けてくるのであれば話は別だ。


 私は拳を、剣を二本持っているときのように構える。


 生憎、私は拳法に関してもからっきしだ。戦場で素手で戦ったことは流石にない。もし仮にそこで剣が折れたとしても、近くの骸から拝借すればよかったからな。


 そして、あたかも剣術のように腕を振るう。


 もちろん、架空の剣など存在しない。私が握っているのは、ただの拳である。剣の実体などない。


 だから、岩は拳で砕く。剣を振るう要領で拳を振るい、目の前に一斉に迫ってくる礫を全て捌いていくのだ。


 こうしていると、一年ほど前にファレイルリーハと相対した時を思い出す。あの時は氷の礫だった。今回のネストのこれよりも弾速は早く、それでいて数もこれとは比べ物にならない。つまり、なにが言いたいかと言えば………


「………ぬるいな……本気で私を倒すなら、全方位からあれの十倍は放たんとなぁ………!!」




「ぜ……全部捌き切った………素手で………」


 レイアが、シルカは今剣を二本持っているかのような錯覚すら感じていた。樹拳の指南者(ウッド・グラッパー)戦で見せたあれを、彼女は今この瞬間にやってのけたのだ。


「しかし……やはり迎撃手段がないのでは………!」


 シルカは今、ただ身を守っているだけ。ネストに対し”あの”シルカが一切攻撃を行っておらず、未だ二人の位置的な硬直状態が続いていた。




「さて、そろそろこちらもいかせてもらうとしようか………」


「……………!!」


 私は足に思いっきり力を込める。すると次第に私の足元を固めている地面にはひびが入り、次第に崩壊。私はこれで自由に動けるということだ。


「………だとしても、魔術は使えないのだろう?………無駄な足掻きだ……さっさと降参してしまえばいいものを………」


「………あ?」


 降参すればいい。そんな一言、言おうと思えばだれでも言える。だがそれでも、私に対するそれは、あまりにも聞き捨てならん。


「……………ふざけるなよ小僧が……!!儂はどのような戦いであれ、不退転の覚悟で臨む……!!勝つまで戦い続ける………故に我は生涯無敗……!!見せてやろう、シルカ・リザリアが戦いの末に得た()()を………!!」

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