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戦王剣は新米冒険者〜生涯無敗で世間知らずな元騎士長は、我流剣術と共に自由気ままな二度目の人生を〜  作者: 瀧原リュウ
冒険者試験編

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#75 筆記試験特別編

 部屋を抜けると、私よりも先に入っていった者たちがそこに集結していた。

 その中にはヒユウも姿もあった。おそらく、適性鑑定は合格だろう。


「よかった~!シルカもこっちに来たんだね!」


「あぁ………いないな。何人か」


 私の前に、おそらく七十人以上の受験者がいただろうに、ここにいるのはせいぜい六十人と少し。きっと逆の右奥の扉へと案内されたのだろうが、それから先は一体どうなるのだろうか?




 そこから先も、次々と冒険者が扉を抜けてこの場所にへとやってくる。


 圧倒的にここにいる人数の方がが多いことを悟り、一安心したように胸を撫でおろす者も少なくなかった。

 まぁ、あれだけの人数がいて、この数の者が冒険者の資格なしとという方が不思議だろう。


 しばらく経って全員の適性鑑定が終了したようで、最後に扉を抜けてきたのは案内役のリン。


「お待たせいたしました。ただいまを持ちまして受験者全員の適性鑑定が終了し、あなた方は適正ありとみなされましたので、これから筆記試験の会場へと向かいたいと思います。それでは、私についてきてください」


 ここまでで残った受験者の数は数えた結果九十九人。たしか先ほどまで百十六人いたそうなので、先ほどの適性鑑定で十七人が適正無しとみなされてしまったようだ。


 それにしても、受験もしていないというのに適性無しと言われて終わりというのは、受験者に対してあまりにも酷なものだと私は感じてしまう。もし私が適性無しの立場だったとしたら、それはもうギルド長室にまで乗り込んでいくが。




 そして、やっと本格的に試験が始まる………と思ったのだが……………


「それでは、これより筆記試験を始めさせていただきます………それと、ヒユウ・シュドラーテさん。シルカ・リザリアさんは、別室での試験実施となります。お二人はこちらへ―――」


「やはりか……」


「ということは思ってた通り、他の受験者の人たちとは違う問題が出てくるんだね………!」


 そういうことだろう。そうでもなければ私たちだけ別室に案内する意味が分からんからな。




「どういうことだ……?あいつらだけ別室?」


「なんで?っていうか、そもそも冒険者試験でそんなことあるの?」


「分からないが……もしかしたらあいつら相当強くて、筆記試験の内容が簡単になってるとか……あるいは、パスしている可能性もあるな………」


「そりゃずりぃな……ギルドに賄賂でも払ってんじゃねーの?」




 周りの受験者は私たちを見ながらざわめき始める。この状況ではそりゃああまり良くは思われんわな。何かしらのずるでもしていると思う方が妥当だ。


「あまり気にするなよヒユウ。今は受かることだけ考えていればいい」


「う…うん……」


 ヒユウは結構人の目を気にしてしまうタイプだ。それが悪いこととは言わんが、試験に影響が出てしまうのはあまりよろしくない。


 それにしてもあの男……本気で私たちを落とすつもりか……あるいは試しているのか………


 試験を執り行う者として、特定の人間だけその難易度を上げるのは正直言ってどうかと思うが、私には前科があるので何も言うまい。文句は受かってから存分に言ってやるとしよう。




 そうして、私たちはリンに隣の部屋に案内される。もちろんしっかり防音であり、仮に隣で何か言っていたとしても絶対に聞こえることは無い。


 机と机、ペンとインク、それとかなりの数の問題用紙に解答用紙があり、それ以外は何もない。机が私とヒユウの二人分用意されているが、それぞれかなりの間隔がある。当然、カンニングなどできない。


「………ふぅぅぅ……………」


「随分お疲れのようですね」


「っと!ごめんね!何度も案内役はやってるけど、この緊張は中々消えないわね………」


 もはや知った仲ということで完全に素の口調でリンが喋る。その方がこちらも緊張がほぐれるので助かるが。


「やっぱり、凄い量ですね……!これってちなみに……制限時間は……?」


「制限時間は一時間ね。もちろんだけど、試験中の相談、その他諸々の会話は禁止。その場で不合格になるから気を付けてね」


「「はいっ……!!」」


 流石に本までとはいかないが、それでも相当な問題用紙が積み重なっている。これを全て一時間で解かねばならないとなると、一問一問に割ける時間はかなり短い。


(一問あたり一分では間に合わんな)


 それほどの量。正直、しっかり試験対策をしておかなければこれを見た時点で絶望してしまうだろう。


 が、私たちはその辺抜かりない。私はもちろん、ヒユウにも私がみっちり頭に叩き込んでやった。


「大丈夫、必ず乗り越えられるはずだ」


「とっ……当然………っだよ!」


「緊張で勉強内容頭から吹っ飛んでないだろうな………?」


 さっきまで大丈夫そうだったのに、直前になってこれだ。もはや私がヒユウの分も代わりに解いてやりたいくらいだが、流石にそれは出来ないので健闘を祈るしかない。


「それじゃあ、二人とも準備は良い?………筆記試験、始めっ!」


「「………ッ!!」」


 私とヒユウは同時にペンを取り、問題用紙を表に向ける。そして、ある程度問題を把握したのち、解答用紙に答えを記入していく……………

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