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戦王剣は新米冒険者〜生涯無敗で世間知らずな元騎士長は、我流剣術と共に自由気ままな二度目の人生を〜  作者: 瀧原リュウ
冒険者試験編

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#73 試験当日

 それからというものの、私たちは猛勉強を続けた。


  リンに渡された六冊の問題集を網羅する勢いで読み、そして解いてを繰り返すここ最近の毎日。ヒユウは着実にその知識を定着させていき、私も復習によってこの六冊の問題集なら全て満点を取れる自信がついたほどだ。後は本番でどれ程の問題が出るかだが、そこまでは流石に事前には分からない。そもそもそのための対策だからな。


 もちろん、勉強の合間に休憩と称して剣の修練も欠かさなかった。体を動かすため気分転換にもなるしな。

 流石は冒険者が多く住まう集合住宅。敷地内の広場では剣を振っていても何も言われない。それどころか差し入れを持ってきてくれる冒険者もいて………なんというか、温かい場所だと改めて感じた。


 そして例の食糧問題だ。


 金もなく、稼ぐためのクエストも受けられない。そうして私たちが選んだ手段は………そう。狩りだ。


 幸い、私には狩猟の心得があった。街を少し離れ、森で食べる分の石ボアを二人で狩り、私が捌いてその場で火を起こし食した。

 正直塩が欲しいと思ったが、素のままでも全然いける。食べることができるということ、そして狩猟を教えてくれた我が父に感謝しながら毎日肉を頬張った。


 そうしているうちにも月日はどんどん過ぎていき、気が付けばもう冒険者試験当日。


 結局、今日の今日までレイアが家に帰ってくることは一度もなかった。流石の私も心配になったが、おそらくは冒険者ギルドにいるはずだ。もうじき会えるだろう。


「準備はいいか?ヒユウ」


「もちろん……!今日のために頑張ってきたんだもん!絶対合格しようね………!!」


「あぁ、当然だ!」


 互いに高め合った一週間だった。私たちは決意を新たに頷き合い、私は玄関を開ける。向かうはギルド。試験会場だ―――――






―――――そこからしばらく歩き続け……………


「うわぁ……!結構いるんだね………!」


「そうだな………」


 嬉しいものだ。声には出さないが、私は素直にそう思った。


 私が考え、そして実現させた冒険者という職業。それに魅力を持ってくれたものがここまで存在しているということだ。生み出した者だからこそ味わえるこの感覚は、何度感じても嬉しいものだ。何物にも代えがたいなにかがある。


 軽く見ても三十人ほど。それほどの人数が冒険者ギルドの入り口付近に集まっている。全員が得物を装備し、雰囲気はまるで戦場に向かう戦士たちだ。


 だが、あながち間違っていない。ここにいる全員がこれからの試験に己の命運がかかっているのだから。


「良いなぁ……武者震いは久しぶりだ……!」


 凄んではみたが情けない話、多少の緊張はある。


 そりゃあそうだろう。ここで落とされでもすれば、私の夢は一生叶うことはないのだから。

 

 冒険者にならなくとも旅は出来る。だが、資金面でそれは困難だ。ただやりたいことだけできるような甘い世の中ではない。楽しむためには、少なからず稼がねばならない。


「さて、人はいるが、結構早く来てしまったか」


 まだ朝早い。試験開始までまだあと一時間近くはあるだろう。遅刻するよりは遥かにましだろうが、早すぎてもやることがない。こんな大衆の面前で素振りするわけにもいかんしな。


「最後にもう少し詰め込んでおこうよ!後悔しないために!」


「お前……そんな重いの全部持ってきてたのか………」


「借りたものなんだから、返すのは当然でしょ?」


「あぁそうだった。読み込み過ぎて完全に自分の物だと思ってしまっていた………」

 

 この約一週間でかなり傷んでしまった問題集を見て、少し申し訳なさを感じてしまった。特に破いたり書き込んだりなどはしていないので問題は無いはずだが。


「だが、それはしまっておいた方がいい気がするぞ?」


「え?どうして?」


「今この場にいる者も、それは相当な猛勉強をしてきている。だがそれは、ギルド内の問題集を見て、だ。本来外に持ち出せないはずの問題集をこんな場所で堂々と見てみろ、他の受験者から相当反感を買うぞ?」


「た……確かに………」


 ヒユウも納得してくれたようで、周りを気にしながらもゆっくりそれらを鞄の中に戻した。幸い誰も問題集には気付かなかったようで一安心だ。


「じゃあ、時間になるまで私が問題を言っていってやろう」


「で、出来るの!?」


「あぁ。あの問題集はすでに暗記し終えているしな」


「頭良いな~~、シルカは………」


 まぁ、逆に言えばそれ系以外の事についてはさっぱりなので全く自分の頭が良いとは思わないのだが、役に立てるのならばそれに越したことは無いだろう。




 そうして、小一時間ほどヒユウに問題を出し続けた頃だろうか。ギルドの正面扉がゆっくりと開き、中からは見覚えのあるギルド職員が現れ、皆の前で一礼した。


「おはようございます。本日の冒険者ライセンスカード取得試験の案内担当をさせていただきます、リン・クィルガーと申します。よろしくお願いいたします。さて、時間となりましたので、早速筆記試験………と、行きたいところですが……………」


「ん?何かあるのか?」


 私の知っている冒険者試験は、ただ筆記試験と実技試験を行い、それらが合格基準に達していれば合格。というものだった。ギルドマスターが変わったことで、試験内容にも変更点があったのだろうか?


「まず皆様には、冒険者としての適性鑑定を行わせていただきます。それでは、私についてきてください」


「………ヒユウ、行くぞ」


「うん………!」


 私たちは他の冒険者志望の面々と共に、ギルドの中にへと足を踏み入れていく―――――

二人の狩りの様子はいつかまた機会があれば………

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