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戦王剣は新米冒険者〜生涯無敗で世間知らずな元騎士長は、我流剣術と共に自由気ままな二度目の人生を〜  作者: 瀧原リュウ
冒険者試験編

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#64 助っ人は少し脆く

「シルカ……すっごい………!」


 ヒユウは無邪気な子供のような瞳でシルカの戦いぶりを眺めていた。


 もうこの世にいない伝説の剣士に憧れを抱き、はるばる遠くの国からここヴェラリオを訪れたヒユウだったが、今この瞬間、来てよかったと彼女は思った。なぜならヒユウの目の前には、例え女だろうと、相手が強大でも、笑いながら立ち向かえるような存在がいたのだから。


 そこで彼女は確信した。今は、自分はあの青髪の少女に実力で劣っていると。だからこそ、ヒユウの現状での目標が決まった。


 まず、シルカに勝ちたい。彼女に勝てるくらい、自分も強くなろうと。そして冒険者になって、名前を売って、いつの日かこの国の騎士として戦うのだと。


 その後も、銀眼の少女は不敵な笑みで、そして無言でただ見つめた。相棒の木刀を握りしめながら。






 左足の飛び蹴り、左手の掌底で私が避ける方向を絞り、そこに右拳。おぉ、まさかのピンポイントだ。これは………


「弾き返すしかないッ!!ハァァ―――」


 バキッ、


「なっ⁉︎」


 樹拳の指南者(ウッド・グラッパー)の拳と私の木刀がぶつかった直後だった。私の得物の方がへし折れたのは。


 まずい。あと一瞬にも満たない時間の間に、私の体に奴の拳が接触してしまう。いくら訓練用とはいえ、異常が生じ力の箍が外れてしまっているこのガーディアンの一撃を食らえば、例え私でも……いや、少女の体の私だからこそただでは済まない。


「見様見真似だがっ……!こうか!?」


 私が選んだ行動は、ヒユウの受け流しの模倣。自分の技術ではないが、使えるものはすべて使う。それが戦いだ。例えついさっき覚えた技だろうと、習得したのであればそれはもう我が物だ………!


「なんで見たばっかりの技が出来るんだ……!?」


「この二人、間違いなく俺よりも強ェェな………」


 なんとか上手くいった……!だが、安心する暇はない。


 宙に舞う私の体に、容赦なくガーディアンによる次の攻撃が飛んでくる。側方から左の掌が、私を捉え放たれる。


「せああっ!!」


 再び私はそれを受け流す。今度は真横に体を右回転させ、そのままほぼ必中であろう攻撃から脱出することに成功した。


 が、まだ終わらない。今度は剣を斬り下ろし、そこから斬り上げるかのように振り切った左腕を用いて再び私に左の裏拳が迫りくる。


「いい加減しつこいな……!!」


「シルカッ……!受け取れ!!」


 レイアから、私なら大丈夫とでも思ったのだろうか、折れた木剣の代わりとなるそれを思いっきり投げつけられる。


「レイア、最高のタイミングだ……!」


 だが、私からすればそのレイアの判断は本当にありがたい。文句なしの大正解だ。

 すかさず剣をキャッチ。そのまま裏拳を受け止め、パリィを成功させる。


「オォウッ……!残り五分だぜ……!」


 ジェニスのそんな言葉が耳に入ってくる。それと同時に、ガーディアンの青白い光がその光量を増す。これは気のせいではない。


「ゴォォォォォォォ……………!!!!!」


「そっちがその気ならば………こちらも全開だ!!」


 ここから、私は本格的に戦王剣へとシフトチェンジを開始する。


 ここまで散々奴の攻撃を受けてやったのだ。今からはとことん攻める。


「さぁ、なるべく壊さんように努力してみるとするかな……!!」


 久方ぶりに、私からスタートを切る。そして感情を持たぬガーディアンは、それに臆することなど微塵もなく私に向かってくる。奴の中にあるのは、対象を攻撃しろという命令を実行するということのみ。


「はあああああ!!!」


「グオオオオオオオ!!!!!」


 奴の拳と私の剣が再びぶつかる。先ほどまでとは違い、私も全力全開。全てを乗せた一刀は、巨人の一撃とも互角に渡り合う。


「ォォォオオオオオ!!!」


 そこから繰り出される樹拳の指南者(ウッド・グラッパー)による怒涛のラッシュ。絶え間なく繰り出される拳の乱打。私はそれを全て避けずに対処してみせる。


(……だが、受け止めるにはこの剣は脆い………)


「レイア!木剣の代えを頼む!二振りだ!!」


「二本………!?分かった!十秒くれ!」


「了解!!」


 私は剣の負荷を最小限に抑えながら攻撃を捌く。受け方の性質上、この十秒は思いっきり弾くのはやめておいた方が良さそうだ。こういった場合は、私が好むような片手直剣よりも、ヒユウの木刀のような反りのある武器の方が適しているのかもしれない。


「シルカ、これでいいか!?」


 レイアが再び投げてきたのは、今私が使っているのと同じ木剣、それが二本。


 一本の剣への負担を減らすのなら、簡単なことだ。剣を増やせばいい。単純計算で剣へのダメージは半分になる。


「だが無茶だ……!付け焼刃の二刀流など、いくらシルカでも………!」


「付け焼刃……?否……!!二刀流は私の剣の真髄でもある………!!」


 二刀流。守りを一切考えないそのスタイル。それは我が戦王剣にも通ずるものがあり、二刀流剣術もかつて実戦にて使っていたこともある………!


「とくと見るがいい!!このシルカ・リザリアの、攻めの真骨頂を!!」

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