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戦王剣は新米冒険者〜生涯無敗で世間知らずな元騎士長は、我流剣術と共に自由気ままな二度目の人生を〜  作者: 瀧原リュウ
冒険者試験編

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#47 つれられのんびりまちさんぽ その2

「しかし、色々とあるものなのだな。街というものは」


「そりゃあそうだろう。規模、建物、人の流れ。全体的に村よりも発展している。その分忙しいがな」


 平穏を求めるか、利便性を求めるか、というところだろうか。どちらも捨てがたいが、共存は難しいだろうな。


 今はレイアに街を案内してもらっているところだ。何かされっぱなしで申し訳ない気もするが、生憎今の私に返せるものは何もない。ただされるがままである。


 人の流れか………確かに至る所で人がそれぞれの動きをしているのが見える。訓練で同じ内容を繰り返す騎士とは大違いだ。


「皆が皆望む仕事を楽しんでやれているわけではないが……それでも一生懸命励んでいる。もちろん、私たち冒険者もな」


「そうか……そういう生き方もあるのだな」


 同じ場所に留まってはいるが、その中で独自の研鑽を積む。努力は誇りへと変わり、誇りはその者自身の強さにへと変わる。

 強さは戦いだけのものではない。彼らを見ていると、不思議とそんな気持ちになってしまう。


「………いい街だ。ここは……」


 私がそう呟くと、レイアもなぜか微笑む。彼女もまた、この街が好きなのだろう。


「さて、そろそろギルドの方へ行ってみるか」


「あぁ、お願いするよ。七番目の大通りとやらが全く分からなかったのでな………」


「七番目?数字呼びの大通りが存在していたのは相当昔のはずなのだが………なんで知ってるんだ?」


「いや、ある奴にそう教えられてな………」


 レイアはそれを聞いて首を傾げる。ニコラスの奴………あいつも転生していたのなら一発良いのを叩き込んでやる………




「着いたぞ。ここだ」


「やはりというかなんというか………相当大きいな!」


 城から見ても大きかったのだ。間近から見ればそれは大きいに決まっている。


 立派な石造りの堂々とした佇まい。多くの武装した者たちが行きかっている。おそらくその全員が冒険者なのだろう。

 これの基を作ったのが自分だと思えば何やら感慨深いものがあるが、あまり自惚れすぎるとろくなことが起こらない。


「所属する冒険者も多いからな。自然と増築を積み重ねて大きくなる」


「自然と……?」


「言葉の綾だよ。さ、中に入ってみるか?」


「当然」


 この建物が初めて出来てから何年経つのかは分からない。少なくとも、私が前世を生きている頃にはもうあったのだ。こうして綺麗に整備されているが、それも幾度にも及ぶ改装工事によるものだろう。


 いざ入るとなると、なぜか緊張してしまう。これまでずっと夢見てきた建物。それが自分の作ったものなのだから複雑だ。前世でも、足を悪くしていなければ来れたのだろうがな。わざわざ人の手助けを借りてまで行くのは申し訳ない気持ちもあったしな。


 入ってみると、外とは比べ物にならないほどの活気に満ちていた。受付には列ができ、クエストボードには数多の冒険者がかじりつくような視線が向けられている。

 一階から三階まで吹き抜けになっており、談笑する冒険者やせっせと働くギルド職員の姿が目に入る。


「……ここまで大きくなったか………」


 いかん、少し涙が出そうになってくる………これほどの者たちが日々人々のために尽力してくれているのか……………


「お!レイアさーん!………って、シルカじゃねぇか!なんでここにいるんだ!?」


「む?テリーか。久しぶりだな!」



「やぁテリー。今日もクエストか?」


「えぇまぁ。レイアさんは……そっか、もうすぐでしたっけ………」


「………あぁ」


 テリーは少し悲しそうに呟き、レイアは寂しそうに笑う。近々何かあるのだろうか?


「そういや、なんでシルカがギルドに?」


「十六になったんでな。来週にある冒険者試験を受けに来たんだ。で、レイアに案内してもらっていたんだ」


「確かに来週だったな。ま、お前なら余裕で一発合格だろ?」


「テリーは一回筆記で落ちたもんな」


「うぐっ……あと一問合ってさえいれば………!!」


 どうやら筆記試験では、ひっかけ問題なども多く出るらしいが、レイア曰くしっかり勉強しておけば大丈夫だろうとのことだった。


 やはりこの冒険者試験。腕っぷし自慢たちも多く集まるそうだが、そういった者たちは悉く筆記で落ちるらしい。いやはや、私の計画通りというかなんというか………


 戦闘においては、頭も非常に重要になってくる。戦う者は、どのような状況下でも冷静な判断をしなければならない。それを誤ってしまえば、命の危機に直結するからだ。相手の攻撃が目で終えたとしても、それに対応するためには脳を回転させなければならない。


 力さえあれば他に何もいらないという者はいつの時代にもいるが、そう言った奴は戦場であまりにもあっけなく死んでいく。この筆記試験はそう言った者たちを出さないための、いわば救済なのだ。


「そんなことも分からぬ輩に、冒険者は務まらんだろうよ………」


「………おいシルカ、さっきから何ぶつぶつ言ってんだ?」


 まぁこうやって油断していては、私も足をすくわれかねないな。ギルドの中の図書室に問題集もあるみたいだし、多少は勉強しておくことにしよう。

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