#42 ノーマリエ調査パーティ後日談
刹那、辺りは静寂に包まれた。
骨竜は消滅し、共に戦っていたレイア達も限界を迎え倒れている。
かくいう私もボロボロだ。もうこれ以上動く気力は残っちゃいない。
私はその場に仰向けで倒れた。全力を出し切ったのだ。戦いの直後にこうして寝転がっても、誰も文句は言わんさ。
「……何とか、勝てたな………」
今まででもなかなか類を見ないような相手だったと思う。
だがこうして考えてみれば、ファレイルリーハは本当に全く本気を出していなかったのだなと改めて感じてしまう。奴の影響で突然変異してしまったのだろう先ほどの骨竜でさえあれなのだ。その影響を与えたアの水の竜が、あの程度の実力の訳がない。
本当に、レイア達には感謝しなければならない。この勝利は、私一人の物では決してない。とどめを刺した私ではなく、そこに至るまでを拓いてくれた彼女らこそ称賛されるべきだろう……………
そういえばシルカさん、冒険者になったら誰かと組むのかい?
「………共闘する仲間……か………」
ふと、ダンジョンに来る前のそんなダロンの言葉が頭によぎる。
現状、私の考えは変わらない。冒険者になってからも、基本的には一人で行動するつもりだ。
けれども、それは強がりではない。私自身、自分勝手な性格であることを分かっているからこその考えである。仲間に迷惑をかけてまで自分の夢のために冒険するのは嫌だし、それならいっそ一人で世界を回った方がいい。
「……だがまぁ………たまには悪くないかもしれんな………」
この戦いを経て、そんなことを考えてしまう。そんなこと、ただの甘い考えだというのは分かっているのだが……………
そこからしばらくして、レイア達も続々と目を覚ました。骨竜撃破の報告をすれば、皆はそれはもう大歓喜していた。
本当であればもう少し休んでいたいところだが、あまりにも帰りが遅いと村の人たち(特に母さん)が心配してしまうだろう。最小限動けるようになるまで休息を取り、そこから私たちはダンジョンの来た道を歩いて戻っていく。
幸い、ダンジョンボスを倒すとダンジョン内の魔物は全て消滅してしまうみたいだった。倒れている間に襲われでもしたら、たまったものではなかったがな。
まぁ今考えれば、おそらくこのダンジョンの魔物はもれなくあの骨竜にやられていたのだと思う。あの白骨化した体が何よりの証拠だろう。
ダンジョンを抜ける頃には日はすっかり沈んでいて、疲労困憊の体、酷使した目には明かりのない森の夜道は中々につらかった。私の余力が残っていたため何とか炎魔法で明かりを灯して迷わず変えることが出来たのは不幸中の幸いというべきなのだろうか。
村に着くと、父さん母さんにおじさん。ほかにも村中の人たちが集まっていた。真っ先に母さんに抱き着かれた後に事情を聴いてみれば、これから戦えるものでダンジョンに捜索に行くところだったらしい。
よく見れば、見知らぬ冒険者の姿もあった。いつもなら三日そこらで調査から帰ってくるレイア達を心配してギルドから派遣されてきた者たちだそうだ。
滞在が長引いたのは私のせいなのだが、何はともあれ、行き違いになることが無くて一安心だ。申し訳ないがここから私たちの方が父さんたちの捜索に行くのは正直ごめんだったからな。
ひとまずその夜は食事と睡眠をとり、ダンジョンで何があったかの説明は次の日となった。もちろんレイアたちだけでなく私も呼ばれてしまった。
私が同行した件については何とか先に考えていた言い訳で乗り切った。だがその後のレイアらの話で応援に来た冒険者たちは目を丸くして驚愕していた。ファレイルリーハの想像以上の影響や、骨竜の強さに関してでもあるが、なぜか此奴ら、私の戦いを得意げに説明するものだから私も流石に焦った。
あの交換条件は何だったんだと小声で問えば、「あれはファレイルリーハの件だろう?こっちとは無関係だ」となぜか少しにやりとしながら答えてきた。
確かにそれよりかは幾分かましだろうが、私がまだ冒険者でもないのに第四階級が適性のダンジョンで活躍したと伝わってもまずいだろうが!!
どうやらレイアは、私が冒険者になったら即戦力として欲しいらしい。無論始めは断ったが、レイアには借りがいくつもある。それに関しては、妥協案として助けが必要な場合にのみ助っ人として協力するということになった。
冒険者の方は何とか六人全員で説得し、私に関してはギルドには報告しないという方針になり、私はひとまず安堵した。
そこから数日後、街の方から一報の知らせを受ける。無論、レイアたちの事だ。
それによれば―――――
此度のノーマリエ調査パーティの活躍を評価し、
パーティリーダー:第三階級冒険者レイア・オルフロスト、第二階級にへとランクアップ
メンバー:第四階級冒険者テリー・ワイズマン、ダロン・カルア両名、第三階級へとランクアップ
メンバー:特別第五階級冒険者エルト・スロイア、ロヴィエ・スロイア両名、特別第三階級へとランクアップ
とあった。
「おぉ、全員ランクアップか!私も負けてられないな!」
私は報せの紙を机に置き、愛剣を持っていつもの修練上に向かう―――――
シルカが置いた報せの紙、レイアたちのランクアップの記事には小さく続きがあった。
そこに記されていたのは、なぜか関係ない村の少女への感謝を伝えた五人分のメッセージだった。
特別第〇階級というのは、
普段はその一つ下の階級であるが、緊急の事態の場合、ある条件を満たしていればその者たちの階級を一時的に引き上げ、ランクの高いクエストにも参加できるというものです。
エルト、ロヴィエの場合通常は第四階級冒険者扱いですが、いざというときは適正ランク第三階級のクエストにも参加できる、といった感じです。
そして二人に課せられている条件というのは特別第五階級の時と同じで、
エルト「ロヴィエ・スロイアと共に行動すること」
ロヴィエ「エルト・スロイアと共に行動すること」です。要は双子一緒に行動してねということです。
二人は両方個人でもそこそこやれますが、二人一組の際のコンビネーションがギルドに高く評価されているのです。




