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戦王剣は新米冒険者〜生涯無敗で世間知らずな元騎士長は、我流剣術と共に自由気ままな二度目の人生を〜  作者: 瀧原リュウ
転生村娘編

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#26 交換条件

(……というか、あの竜、ファレイルリーハというのか)


 少し気になっていたあの竜の名前が以外にもあっさり判明してしまったが………


「それなら、ダンジョンじゃなくて湖底の蒼洞窟を調査する方がいいのでは?」


「………あのなシルカ、そもそもファレイルリーハは、その洞窟の最奥にいるんだ。だがそこには人は立ち入ったことがない。いや、立ち入ることが出来ないというべきだろうか。」


「立ち入れない?」


「あぁ。以前あそこに第ニ階級の冒険者が調査に本気で臨んだそうなんだが………おそらく到達率は約四割を下回っているとのことだ。途中に生息している魔物ですら相当な強さを誇り、しかもその全てがわずかだが竜の力を宿している。原理は分からないが、中にはどれだけ斬っても再生する奴もいるそうだ………そういったわけで、洞窟の方には調査に行きたくても行けないんだ………」


「斬っても再生する奴………あの分裂蜥蜴か」


「そう、蜥蜴型の……………おいちょっと待て……シルカ、なんで君がそれを!?」


「いや実はですね………シルカは数日前に洞窟に落ちてしまって………」


「なっ!?本当なんですか……!?」


「私たちもこの間心底驚いたよ………」


 まぁ隠す必要もない。今後レイアさんが行くこともあるだろうし、情報は伝えておいた方がいいだろう。




 というわけで、先日の洞窟での出来事を父たちに話した時よりも更に細かく説明したのだが………


「「「最奥でファレイルリーハと戦ったぁぁあああ!?!?!?」」」


 まぁ、そうなるか……もし私が逆の立場なら、おそらく全く同じ反応をしていたに違いない。

 レイアと共に訪れてきた冒険者たちももはや絶句。なんか泡吹いて倒れている者もいるし、軽く引いてる奴もいる。いや失礼な。


「シルカって言ったか!?お前……なんで生きてるんだ!!!!!」


「いや本当に失礼だな」


 ちなみにそう発したのはその私の話を聞いて引いていた男である。そんなのでは女子(おなご)には好かれんぞ。私も人のことは全く言えんが……………


「だが本当に末恐ろしいな………適正ランク以下……そもそも冒険者ですらない少女が竜相手に生還したなど、知れ渡ればいろんな意味で大問題だぞ………」


「冒険者になれば、もしかすれば初っ端から第一階級入りするかも……いや、したとしてもなんも驚かねぇよ……!今まで未攻略だったダンジョン攻略にも声がかかるだろうな………!」


「大問題……!?ダンジョン攻略………!?」


 それは困る……!そもそも自由に世界を回るために冒険者を志しているのだ。最悪第十階級止まりだったとしても私は何の文句もないんだが………いざという時は力を貸すが、そんな面倒ごとに巻き込まれたくはない………!


「れ、レイアさん……どうかこのことはギルドの方には内密に………!」


「………分かった。上には私が上手く報告しておこう」


「あ、ありがとうございま………」


「ただし」


 礼を言おうとしたその時、レイア自身の声でそれが遮られる。

 

 ただし。こう言ってくる人間が提示してくるのは、ほぼ間違いなく交換条件だ。まぁ事が事なのだろう。そんなうまい話は無いということか。


「ただし………なんでしょうか………?」


 私の問いに、レイアは少しにやりと笑いながら答えた。


「数日後、私たちのダンジョン調査に同行してくれ。それが条件だ」


「え!?シルカをダンジョンに!?」


「レイア、シルカはまだ冒険者ではない。一般人をパーティメンバーとして同行させることは、ギルドが禁止しているだろう?」


 レイアの提案に、父たちが異議を唱える。確かにそのルールは、冒険者ギルド設立の際に私が加えた物の内の一つだ。


「えぇ、その通りですエアードさん。ですが、今回ばかりは私も胸騒ぎがするんです。己の実力を自負していたとしても、いつも問題ないはずの調査が………だから、元々君にお手伝いを頼もうと思っていたんだよ、シルカ。」


「…………………」


 笑みは消えていない。だがそれでもあのレイアが冷や汗をかいている。こういった戦闘者の予感、それが強者であるならば尚更馬鹿には出来ない。

 つまり、本当に何かがあるのだろう。何の確証もない話だが、その気持ちはかつて私が何度も経験した物。信じるにはそれで十分だ。


「分かりました。同行します」


「シルカ…!!お前はまだ万全じゃ……!」


「今すぐ、というわけじゃない。約束の一週間はしっかり体を休めるよ。レイアさん、そういうわけなので、今日を入れてあと五日間待っていただけますか?それなら同行出来ます」


「構わない。調査報告の期限まではかなり余裕があるからな」


「でも………」


「大丈夫。同行禁止とはいえ、穴もある。」


「穴……?というかそういう問題ではないのだが………」


 私に問いかけるナルク父に、不敵な笑みを浮かべながら私は答える。


「私は「修練のためにダンジョンにへと赴いた」。そしてレイアさんたちは、「調査のためにダンジョンへと赴いた」。そして()()同じタイミングでダンジョンを訪れ、別に片方が引く理由もなく、共闘した方が生存率もぐんと跳ね上がるので共にダンジョンで行動を共にした………こういうことにすれば、ギルドにもし何か言われたとしてもなんとでも言い返せるというわけだ………」


「ハハハ……どうやら、思っていたよりも悪知恵が働くのだな、シルカも」


「あぁ………母さんになんと報告すれば………」


「とりあえず、ファレイルリーハの件は絶対に言わない方が良さそうだな………」


 こうして、私のダンジョン調査同行が決定したのだった。

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