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戦王剣は新米冒険者〜生涯無敗で世間知らずな元騎士長は、我流剣術と共に自由気ままな二度目の人生を〜  作者: 瀧原リュウ
転生村娘編

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#25  来訪者

 洞窟から生還して数日後、一眠りして事の顛末もあらかた話し終え、翌日から早速更に強くなるために修練を………と思ったのだが……………


「何言ってるんだ。お前はしばらく休みなさい」


「………え⁉︎ なんで……⁉︎」


 父から告げられたその言葉に、私は思わず座っていた椅子から立ち上がる。あの竜と対等に戦えるようになりたいというのに、なぜそんな酷いことを言うのだ父よ……‼︎


 ちなみに、私が洞窟の最奥であの竜と戦ったことは皆には言っていない。いや、言いそびれたと言った方が正しいだろうか。


 いや、言おうとはしたのだが……あの分裂蜥蜴の話の時点で母が卒倒してしまったので話が途中で終わってしまったのだ。だがそれだけでも向こうからすればかなり内容の濃いものであったようで、それ以上は特に聞かれることはなかった。


「いやシルカ……客観的に考えるんだ……まだ冒険者でもない十五の女の子が、ろくな装備も身につけず第二階級の冒険者でやっと通用するかどうかの場所で戦って、なんとそこから生還したんだよ?」


「そうだな。あと私は剣一本あれば十分だから、ろくな装備ではないぞ?」


「いいから聞きなさい……ともかく、生きて帰ってきてくれたことは本当に嬉しい……でもその体の負担は、シルカが思っているよりもはるかに大きいんだ。今はしっかり休養を取ることが一番なんだよ」


「本当よ……運よく竜に遭遇しなかったのは良かったけど………いや、それを言えば洞窟の魔物と戦えたこと自体凄いんだけど……」


 遭遇したんだがな? なんなら戦ったんだがな?だがしかし……今それを言えば、更に大ごとにされその休む期間を倍にされかねんな……


「いや母さん………もっとまともに洞窟の魔物と戦うために修練を………」


「「駄目です。休みなさい」」


「二人して⁉︎」


 私の最後の悪あがきも見事に通用せず、二人に軽く一蹴されてしまった。


 だが、そこまで言われたら何も言い返せない。個人的には全然問題ないし、前世ではこれが普通………いや、当時の方が過酷であったためになんともないのだが、筋肉を休めてやることも必要か……………




 そうして突然の修練禁止。私は昼前だと言うのにも関わらずベッドに横たわり、体の疼きを必死に抑えていた。


 母が言うには、最低でも一週間。その間剣を持つことを許されず、過度な運動も控えて休めとのこと。村の畑仕事も休みなさいと言われ、狩猟など以ての外。と言うわけで、実質的な自宅謹慎状態だ。


 流石に散歩程度なら許してくれるだろうが、少しでも外で体を動かせばどうしても剣を振りたいという衝動が抑えられそうにないので自粛している。


 そうこうしている間にそんな休みも三日目。今まで絶え間なく修練に明け暮れていたせいだろうか、一日目ですでに限界。もう我慢できそうにない………!


「剣……剣振りたい……」


「シルカ大丈夫……? っていうか、なんで剣を振らないだけでそこまで禁断症状が出るものなの………?」


 母に心配されるが、正直自分でもここまでになるとは思わなかった。


 以前は戦場に出るたびもう剣など振りたくないと思うほどであったというのに、人の命がかかっていないというだけでここまで剣が振りたくなるとはな……まぁ、あれは相手が人間であったからという理由も大きいが。


「…………ん?なんだか急に外が騒がしくなったな」


「あぁ、レイアさんたちが今日村に来るってお父さんたちが言ってたわよ」


 なるほど。だが随分とちょうどいいタイミングで来てくれたものだ。


 レイアとそのほか数名の冒険者は、街の冒険者ギルドからの依頼でダンジョンの調査のためにここを訪れる。だが、一定の周期で調査にきているわけではない。


 あくまでも、依頼を受けたら、だ。その時によって受けられないこともあるだろうし、他の冒険者が駆り出されたり、そもそも調査に間ができる事もある。そのためレイアに話を聞けるのはいつになるだろうかと思っていたのだが、


「母さん、ちょっと行ってくる」


「はーい。あんまり動きすぎちゃ駄目よ」


「過保護なんだから……行ってきまーす!」


 私ももう十五だ。普通ならとうの前に戦場に駆り出されてる。あまりにも平和すぎるというのも、些か退屈なものだ。






 村に訪れた冒険者たちを迎える父とおじさん。よく見ると目的の人物と同行している数名の冒険者たちはいつものメンバーとは違うようだ。そしてその全員が、間違いなく強い。


「レイアさーん、こんにちはー!」


「やぁ、シルカ。相変わらず元気そうだな」


 こちらに気付いて柔らかい微笑みを浮かべるこの女性こそが、現在第三階級の冒険者、レイア・オルフロスト。灰色のショートヘア、相棒のレイピアを携え凛とした立ち姿は、戦う冒険者でありながらも確かな華がそこにある。何年も前からその姿を見てきているが、その美しさは全く衰えを感じさせない。さぞ裏では努力しているのだろう。


(どっかの誰かさん(わたし)とは大違いだな)


「ん? どうかしたか?」


「いやなんでもないです。それよりも、前回とはあまり期間が空いていないと思うのですが」


「…………」


 私の問いに、レイアは黙り込んでしまった。何か気に障ることでも言ってしまっただろうか?


「……数日前、このあたりで、水の九天龍、ファレイルリーハが動きを見せたとの情報があってな。ダンジョンにその影響があるのかどうかを調査してきてくれ………とのことだ。何百年も動かなかった最強の神魔が、一体なぜ今頃になって動いたのだろうか………」


「………………」


(……これってもしかして……私のせい?)


 どうやら、事態は私が思っているよりも大きいようだ。

両親ともに騎士であり、なおかつ城の中で生まれたグフストル少年が特殊過ぎるだけで、本来十四歳なんかで戦場には駆り出されません。

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