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科学コラム  作者: もりを
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豆知識 ルネサンス

みなさん、ルネサンスを、ただの美術様式の変革だと思ってませんか?

ちゃうんすよ。


昔々、ギリシャ時代~ローマ時代初期、人類の叡智はすっかりと成熟を遂げておりました。

アリストテレスは円周率の近似値を果てしない精度まで求める方法を知ってましたし、ユークリッドは素数が無限にあることを数式で証明してましたし、ピタゴラスはドレミの音律を代数計算でクリアに割り出してました。

ところが例のおっちょこちょいな教団のせいで、ローマ帝政は千年もの間、戦争テクニック以外のなにも発展させなかったんです。

なにしろこの教団ときたら、「考えるな、信じよ」「新知見を口にした者はぶっ殺す!」という大変な教義を掲げてるもんですから、人類はすっかりバカになってたんです。

そんなわけで、中世では円周率は3,17の先が混乱してましたし(しかも間違ってるし)、世紀初頭に書かれたガレノスの医学書が数百年もの間、医療従事者の教科書として使われてるありさまでした。

その間に数学や天文学はイスラム圏と仏教圏で高度に発展しており、ヨーロッパ人が「下等文明」と蔑む植民地から学習するしかないという始末。


こんな事態に反感を持つ・・・ということ自体が、人類の知性と言っていいでしょう。

中世後期になって(随分とかかったもんだな)、コペルニクスは思案し、ガリレオは観察し、ケプラーは論理を用い、ニュートン・ライプニッツは計算をして、宇宙論において神さまの存在必要を否定したんです。

知性・教養に基づいて自分で判断をしよう!信仰のがんじがらめから離れてリアルな人間性を自由に表現しよう!って運動は文学方面にも波及しまして、ダンテやシェイクスピアという描写のこなれた作家が出てきました。

印刷技術の発達で、市井の人々が文字を読んで学識を持てるようにもなりました。

それまではずっと、かしこいひとのひらめきは秘匿されるか握りつぶされるか、だったんです。

新知識に接して、世間はまさに蒙を啓かれる思いだったことでしょう。

そして、ルターが出現します。

支配地域の拡張に躍起になり、金稼ぎに狂って腐れ外道と成り下がった教団を「ぶっこわーす」なんて宣言して、聖書を言葉通りに感じましょう、って宗教改革がはじまったんです(この人物が正解とも言えないけど)。

それにしてもこの教団の姿勢ときたら、言うことを聞かない勢力は叩き潰す、帝国と組んで世界を征服する、って考え方自体は現代でもあまり変わってないようですね、今のアメリカの状況を見てますと。


そんなわけで、この大きな流れがルネサンスなんです。

「再生」を意味するこの言葉は、要するに、基本に立ち返りましょう、という表現活動です。

こうして美術は、神聖なものと結びつけて光り輝かせてた肖像画に、解剖学のリアリズムを持ち込んだわけです。

科学の探究は自由、芸術表現も自由、発言も自由、人間は自由!

人々の中に閉じ込められてたその思いを、ついに解き放ったのがルネサンス、というわけでした。

そういう目でルネサンスの絵画を鑑賞すると、また違った見え方になるかもしれませんよ。

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