豆知識 生命の仕組み
生命の起源って、どこにあったの・・・?
この点は、ほんとに謎に満ちてます。
無機物しかなかった時代に、原初生命は、石ころと空気から生ずるしかなかったんですから。
だけど実際、最初期生命は、それらを用いて有機的自律システムをいちから構築したのです。
それには、素材である元素の性質と、化学の力(電磁気力と核力)を用いるより他には頼りどころがありませんでした。
そこで奇跡のような出来事が起き、ゲノムという活動指示書(とそれに従う生命機械)が誕生するわけですが、考えてみると、ゲノムなんてただのタンパク質合成の設計図にすぎないわけで、これをどう読み込んだところで、生命体は動けません。
その点にやっと気づいた現代の科学者たちは、ゲノムの他に「エレクトロノーム(生体電気のスイッチングシステム)」と「マイクロバイオーム(小ユニット同士の相互作用系)」という新概念を打ち出してきました。
そして、これらのパッケージこそが生命である、としたわけです。
つまり、ゲノムに従って構成された静的なメカニズムを、電気でコードされた別の指示書が駆動させ、そうして活動力を得た小パーツたちが連動して、「生命」というひとつの大きな宇宙を形成するのだ、という。
例えば、脳は主にタンパク質でできてますが、この物質塊に認識や判断をさせるには、エリア同士をつなぐ電気によるネットワークが必要です。
これまた「コネクトーム」という概念になりますが、新皮質という記憶の引き出しを開け閉めし、そのタンパク質間をつないで駆けめぐる電気の道すじこそが思考なのだ、ってことに今のところなってるようです。
この電気の行き来こそが生命活動の根幹なので、どれだけ遺伝子情報を解読しようと、死んで通電しなくなった脳から個人の思い出、意思、アイデンティティなど・・・すなわち生前の「わたくし」を引き出すことはできません。
宇宙人が地球にやってきて、パソコンの構造をどれだけ徹底的に調査しても、それがなにをする道具なのかはわからないのよ通電させてみないことには、ってわけで、DNAの塩基の並びをすべて知ったところで、そこに生命の意味は不存在で、それをオンラインにしてくれる電気の情報と対応させることこそが重要なんでした。
人類が生きるとは、つまるところ摂取物から電子を抜き取る作業に尽きる、という論があります。
そうして外環境からもらった電子を体内の分子間でどう受け渡していくのか、が生の営みなのですと。
原子核の周囲に電子(と空き席)をまとった原子・分子ってのは実にうまくできたツールでして、このパズルの組み合わせによって生じるイオン勾配が実質、宇宙をつくり上げ、ついでにぼくらを形づくり、動かし、考えさせ、つまり生かしてます。
その電子までをぼくの肉体の一部、生命活動の必須パーツとするなら・・・
とするならですよ、ぼくって宇宙ですよね、文字通りの。
だって、ぼくと宇宙とは、呼気で一連の生命としてつながってるのですよ。
宇宙中の電子がぼくの中にパーツとして組み込まれ、循環し、また出ていって、ついでにあなたの体内にも入って活動し・・・そうして宇宙のすべてが連動してるのです。
今西錦司さんって文化人類学者の説ですが、気持ち悪くないから読んでみてね。
さて、本をたくさん読む小生ですが、本棚は30センチ立方のボックス四コマだけです。
本は、宇宙!
だけど宇宙は無限じゃない。
本なんてたくさん集めて持っててもしょうがないから、読んだ後は捨てたり売ったりして、最重要なものだけを残して新陳代謝させます。
本は、中身だけが自分の中に血肉として残ればいいの。
生きるって、電子と一緒に、外環境から知識を吸収することなんだよなあ。
そして電子が脳のタンパク質間に道すじをコードすることで、知識はぼくの中に本棚として固定されるわけです。
・・・うまくオチましたところで(オチたか?)、また。




