豆知識 虹のメカニズム
わが工房は、絶好の虹展望ポイント!(都内で他にこんな場所ある?)
いつも雨上がりに、大きな大きな虹が隅から隅まで、東の空一面にわたります。
ではいったいなぜ、こんな奇跡みたいな自然現象が起きるのか?
雨上がりってのは、大気に水蒸気が満ち満ちてるのですね。
これを、見上げた空全面に、ガラス玉のような透明な球体がびっしりと並んでるものと考えてみましょ。
ここに太陽光を当てます。
太陽という天体は光を全方位に向けて放射状に放ってますが、こちらとはあまりに隔たってるため、地球大気に到達する日光は、すべてのガラス玉にほぼ平行に入射します。
そして球面に跳ね返されます。
その跳ね返った光のうち、あなたの瞳に向かってくるのは、大気上に広く開いた輪っかの部分です。
その輪っかの下半分は地平線に隠れて見えないので、あなたに観察可能なのは、輪っかの上部の弧の部分(すなわち、上空に渡る橋の部分)だけです。
さてしかし、ガラス玉(正確には水滴)はまっすぐに光を跳ね返すわけじゃないのです。
太陽からはるばるやってきた光は、透明な球体に入射する際に屈折(わずかに軌道がそれる)します。
球体内に入り込んだ光は、向こう側の内表面で反射し、さらに球面のこちら側から飛び出す際に、再度屈折します。
日光が屈折すると、ニュートンさんがプリズム実験で発見した通り、七色のスペクトルに分光します。
この屈折の角度が、赤から青まで少々の開きがありまして、これが虹の帯の太さということになります。
具体的には、虹の弧から射出された赤色(42度に屈折)は上の方に見え、青色(40度)は下の方に見えます。
要するに、日光の差し込みを水滴が跳ね返す角度40度〜42度付近の光線をあなたの瞳という一点で総合したものが虹のリングであり、そのうちの赤の帯は少々大きく見え、青の帯は少々小さい、というわけです。※1
ちなみに、二重に虹が見えるときがありますよね。
その大きく儚い方(鮮やかな虹の少し上空に見えるやつ)は、光線が水滴の中で二度反射して射出されたものです。
こちらは水滴の中で光の軌道がクロスするために、赤が内側、青が外側という逆配色になります。
太陽光は、地球大気に満ちたすべての水滴に入射し、反射しておびただしい七色光線をばら撒きます。
実際には、そのすべての水滴が七色以外にもあらゆる光をあなたに向けて射出してますが、あなたは人類の視覚能力の限界により、赤の波長以下の赤外線、青(紫)の波長以上の紫外線は感知できないので、結果的に可視光の細い波長帯のみ(すなわち虹の部分)を見ることになるわけです。
あなたの見る虹は、大気中に築かれた太陽光反射現象の大構造のたった一面なのです。
次に虹を見る機会があったら、そんなメカニズムにも思いを馳せてみましょ。
きっと、さらに自然の壮大さを感じられますよ。
※1 あなたAと虹の中の一点Bとを結ぶ直線をAB、太陽Cと虹の一点Bとを結ぶ直線をBCとすると、角ABCは、虹のどの点を取っても40度付近になる、ということです。




