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科学コラム  作者: もりを
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豆知識 最初期生命の誕生

進化論なんて、単純な理屈なの。

そこにある生命を歳月をかけて複雑化させていく、その根本のメカニズムさえわかれば明快に説明できる。

だけど本当に重要で解明困難なのは、いちばん最初の「生命はなんでそこにあるの?」の部分。

鉱物と水しかなかった・・・いや、それ以前には粗元素しかなかったこの世界に、どういういきさつで生命が誕生したのか?

そこをこそ知りたい。

そこで、自説と言うか、これまで得た知識の総合を開陳してみるよ。


むかしむかし、深海底に熱水を噴出させる穴があった。

マグマに温められた鉱物混じりのお湯が、こんこんと湧いてるの。

この中には、メタンやアンモニアなんていう、分子の構造式を見ると胸ときめくような有機物の素までがパッケージになってたわけ。

さらに、熱水に混じった金属が、穴の周囲にエントツを築く。

これが偶然にも、半導体素材になるんだ。

エントツの中からは水素主体の熱水、外側には二酸化炭素の海がひろがってる。

すると、エントツの内と外にペーハーの差ができて、イオン勾配、すなわち電位が生まれる。

要するに、半導体の中を電気が走る構造になるんだ。

そんなエントツの内部に、有機物がたまっていくとどうなるか?


たまった有機物は、固まって凝縮してアミノ酸になり、それがまた寄り集まってタンパク質になり、連なり、さらに高分子になって複雑化していく。

なにしろ、何億年って時間はあらゆる可能性を否定しないからね。

そこに電気が流れる。

タンパク質間で電気を流し合って感覚情報をコードしよう、ってのが神経系の原理なんだから、この深海のエントツ内で「意識の原始的システム」が生まれてたとしても不思議じゃない。


さらに電気って幻想みたいな現象は、エネルギーを物質に手配してもくれる。

実際、細胞内にひそむミトコンドリアなんて、エントツの内部とそっくりのイオン勾配を利用した酵素のシステムから元気玉をつくり、生物を動かす原動力を供給してる。

生命の素材とエネルギーが一体化すれば、いよいよ歳月まかせの適者生存が開始される。

化学的な相互作用による外界の刺激に反応する機械を組み上げ、膜でポータブルなパッケージにすれば、エントツを離れて旅をすることも可能になる。

「膜に覆われて外界から独立してること」「新陳代謝できること」「自分のコピーをつくれること」ってのが生命の最低限の約束事だけど、なんとなくそれが見えてくるではないの。

ただ、こうして自律機械はできたけど、「意識的活動」という目標にはまだまだ遠い。

解明したいよねえ、この謎のリンク部分。

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