表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
科学コラム  作者: もりを
84/102

豆知識 天動説から地動説

この世界は、どこまでもひろがる平原。

この不動の地を覆う丸天井が回転することで、頭上の星はめぐる。

太陽と月には特別なレールが用意されてて、一日に一度、その軌道を運ばれていく。

あったりまえの事実だ。

主観的には。

ところが、七つか八つばかりの大きめの星だけは、天球の流れに従わず、昨夜あっちに出たかと思えば、今夜はこっち、明日はどっち・・・という具合いにうろうろとさまよってることに、あなたは気づく。

そこで探究がはじまる。


ようく観察してみると、その中の二つの星、すなわち水星と金星は、太陽の周りをぐるぐると回ってることがわかる。

なにしろこのふたつは、昔から暁の明星あかつきのみょうじょうよいの明星といって、明け方と夕刻にしか姿を表さない。

すなわち、太陽「周辺」にしか。

あの二つの星が太陽の周囲をめぐってるとなると、太陽とは地平を隔てたところまで放浪するあの三つの星、すなわち火星、木星、土星はどうなってるのか?

これまたようく観察してみると、おいおいどうやらあれらの星も、地球をまたぐ軌道でぐーるうう~・・・っと太陽を周回してるようだ。


その昔、動かない地球とその天球上を運ばれる太陽と月、そしてその太陽をめぐる星々を図説するのに、プトレマイオスは地球を中心にして、まるで歯車式の時計のように複雑なメカニズムを描いた(天動説)。

神さまとはこれほど難解な天体構造をお考えになるのだなあ、さすがさすが、と。

ところがあなたは、プトレマイオスが見落としてた天体の仕組み、しかも最も重大な事実に気づく。

すなわち「この地球も太陽の周りを回ってんじゃね?」って点に。


太陽の近くをめぐる水星、金星と、太陽から逆サイドまでを大きくめぐる火星、木星、土星の間に、地球もまた軌道を取れば、この全天の運動にうまく説明がつく。

主観と客観が素晴らしくうまく噛み合う。

しかも、あの見苦しい周転円(小歯車)をふんだんに配置したプトレマイオス式のカラクリよりも、シンプルに図説できる。

天体のすべての運動は同心円上、という形で。

こうまで美しくあってこそ、神さまの仕事じゃね?


知識のないひとは、地上からの狭い視点だけで夜空を見上げて満足する。

そこ止まりでもロマンティックで悪くないが、新しい知識を持つだけで、あなたは宇宙からの広大な視点を手に入れられる。

神さまが創造したメカニズムそのものの理解によって、神さまがごらんになった光景が拝めるんだ。(ここからさらに進めば「神さまの不存在」の説明まで可能だ)

知識を持つのは、必要だからって喫緊の理由だけじゃなく、人生を豊かにするため。

勉強していろいろ知ってかしこくなろうってのは、社会をうまく渡ってくためじゃない。

知って面白がれる人間は、きっとしあわせだと思うんだよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ