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科学コラム  作者: もりを
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死んだらどうなるか?問題・12

前章を読んだあなたは、すでに特殊相対性理論を理解しているので、この章では、それを一般化したアインシュタインさんの最高傑作である「一般相対性理論」にまで進みます。

一般相対論では「加速度」を扱うので、そこのところを頭に叩き込んでおいてください。

加速とは、どんどん速くなっていく、ということです。

前章のお話で出てきた電車は「等速直線運動」という、あるスピードに達したまま維持している状態で、これは静止しているのと同じなのです。

とてつもない(が、一定の)速さで自転している地球上のひとを「静止している」と表現するのと同じです。

前章で出てきた電車が加速をすると、乗っているひとはGを感じてよろめき、天井から床に向かう光は曲線になります。

光が曲がるのは、天井から放たれた光が下に向かうごとに、床は1、2、4、8・・・というような移動をするためです(等速だと、床は1、2、3、4・・・で移動しますが、光も同調して1、2、3、4・・・と空間上をずれていくため、垂直に落ちる理屈になります)。

さて、以上を踏まえてまた思考実験をするわけですが、たった今「光が曲線になる」と書いたのに、アインシュタインさんはまたも無茶な宣言、「光は絶対にまっすぐに進むってことにするね!」「光はこんりんざい曲がらないの!」と言い放ってしまいます。

曲がっているのに、まっすぐに進むとは、どういうことなのでしょうか?

ところが、このへんな約束ごとを決めるだけで、地球上の重力の存在が説明できてしまうのです(この連載のどこかで、筆者もすでにおおむねを説明してしまっていますが)。

さて、今度は電車ではなく、宇宙空間にいるロケット内の小部屋を思い浮かべます。

ロケットは、まだエンジンを吹かしていないので、小部屋の中は無重力状態です。

片側の壁から、的が描かれた反対側の壁に向けてボールを投げると、落ちることなく、まっすぐに的の真ん中に当たります。

では、エンジンを吹かして、上昇加速を開始します。

部屋内で立っているひとに、自身の体重の手応え(足応えか)が発生しました。

上に向けてどんどんと加速してくる床が、足の裏を押してくるので、その感覚がまるで重力のように感じられるのです。

ロケットの小部屋内で、地球上と見分けがつかないほどの状況をつくり出すことができました。

さて、ロケット内のこの小部屋にも、一方の壁から対面に向けて横向きに発射されるレーザー光の装置がついています。

加速上昇中に、光を発射してみます。

アインシュタインさんは「光はまっすぐに進むの!」と言い張っていましたが、光は対面の壁に向かうにつれて大きく下に曲がり、落ちていきます。

発射装置から光の先が1進んで、上向きに1ずれると、ロケットは上に向けて2移動するからです。

光が2進むとロケットは4、光が3進むとロケットは8・・・そうして光の先は、まっすぐな軌道からどんどんとそれていき、対面に至ったとき、的の下に大きく外れてしまうのです。

これは、光はまっすぐに進もうとしているにもかかわらず、ロケットがそのまっすぐなライン上からどんどんと離れつづけるために起きる現象です。

ところがアインシュタインさんのルールは、「光はまっすぐ!」なものですから、彼の意地っ張りにつき合いますと、「加速している系では、空間が曲がる!」「光は絶対に曲がらないので、ゆがんだのは空間の方!」ということになるのです。

つまり、アインシュタインさんの言う直線の定義とは「二定点間の最短距離」であるため、ゆがんだ空間の二つの地点を最短距離で結ぶラインは、曲線に見える直線である、ということになります。

加速度運動をつづけるロケット内の空間は、ゆがんでいるわけです。

さらに、この透明な小部屋の出来事を外から見ているひとは、やはりロケット内の光が伸びている事実を観測します。

つまり、静止している系から相対的に見た加速度系もまた「時間が遅くなり」まして、逆にそっちの幾何を補正しますと、「空間が進行方向に向かって縮む」ことになるのです。

この世界は時空間という四次元で構成されているので、光を間に置いて遅い時間を補正すると、空間サイドがゆがんでぺしゃんこに縮み、空間サイドを通常にすると、時間がゆったりと流れまして、この両者は同じことを表現している、ということになります。

この無茶な約束ごとを理解できた(しかしまあ、このへんはぼんやりと流してくれてもいいです)ひとだけ、次の章にお進みくださいな。

いよいよ重力の説明で、相対性理論の本当の威力が発揮されます。


つづく

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