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科学コラム  作者: もりを
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死んだらどうなるか?問題・11

宇宙の果てはどうなってるの?と一度は考えたことがありますよね。

前章で書いた通りに、地球からのぞき見る宇宙の果ては「点」です。

これもまた不思議な話です。

宇宙の遠くを見れば見るほど、時間は巻き戻され、空間は収縮し、最後には138億光年先にあるビッグバンの一点にたどり着きます。

では、どの方角にその点が見えるのかと言いますと、夜空のどこをテキトーに観測してもよろしい。

ビッグバンは必ず、そのはるか先に現れます。

針の先ほどの特異点から全方位に放射拡散して展開し、広大な時空間になった現在の宇宙なので、あなたは頭の上に開いた全天に視野を大放散させていっても、その奥の奥で、視野は一点に収斂しゅうれんされるのです。

次元が裏返った、とでも言いたくなる構造です。

では、光の速さで宇宙の外に向かえば、138億年後にはビッグバンにたどり着けるのか?というと、そうでもありません。

そこには、ビッグバンから現在までに経た138億年にさらに138億年を足した276億年後の宇宙があるのみで(相対性理論を無視した、純粋な距離計算です)、その頃になると、宇宙の果てはさらに276億光年先に遠ざかっているために、いつまで飛んでもゴールにはたどり着けない、という「果てしない」ジレンマがつづきます。

そもそもぼくらは、光の速度に近づくほど時空間の伸び縮みが著しくなるという相対性理論に邪魔をされて、宇宙の膨張には決して追いつけないことになっているのです。

スピードと時空間の伸び縮み関係は、実際に起こっている現象で、例えばGPSなども、宇宙空間を飛び交う衛星と地上とのゆがみの誤差を補正しないことには、正しく機能してくれません。

説明した方がいいですよね?そろそろこのあたりの難しいやつを。

つまり、相対性理論を。

アインシュタインさんは、「光の速度は絶対に変わらないってことにするね!」と言いきったひとです。

つまり、光は遅くなったり速くなったりするものなのかもしれないけれど、今後はそれを認めないで、上のルールでやっていくよ!と基準にしちゃったのです。

そうすると、この世界で起きている不思議な現象がシンプルに説明できると気づいたのです。

例えば、天井からレーザー光を床に向けて発射する装置を思い浮かべます。

光が天井から床に達するまでの距離を「1」とします。

この装置を、透明な車両の電車内と、駅のホーム上に取りつけ、光の発射タイミングを同調させます。

さて、電車はすごいスピードで走って(等速直線運動)います。

車両内のひとは、レーザー光が天井から発射されてから床につくまでの間、「1」の時間を過ごしています(慣性の法則により、天井の光はまっすぐ垂直に床に届きます)。

駅のホームにいるひとも、その場に設置されたレーザー光の「1」の時間を過ごしています。

今、両方の装置が同時に働き、二箇所の天井から光が発射されました。

そのとき、駅のホームを、透明な車両の電車が通り過ぎていきます。

ホーム上のひとは、すぐ横に設置された装置で「1」を計測する間に、前をすごいスピードで通りすぎる透明の電車内の光を見ていました。

すると、なんということでしょう。

電車内の光の軌道は、ホーム上から見ると、斜めに引かれていたのです。

つまり、光が車両の天井から発射された時点から、床に届く時点の間に、「電車の床が前方に移動したために」、ホームから電車内の光を見ると、ホームの光よりも長くなっていたわけです。

この光の長さを「2」とします。

ということは、ホームのひとが「1」という時間を過ごす間に、車両内のひとは「2」という時間を過ごしたことになります。

なんたって、「光の速度は絶対に変わらない!」ですから。

観測者に対して高速度運動をするひとは、時間がのびのびに遅くなった空間内で過ごしているのです。

これが相対性です。

ところが、またへんな話になります。

すごいスピードで走っている電車内のひとがホームを見ると、逆に、電車内では「1」を計測している時間が、ホーム上で「2」を計測しているではありませんか(通り過ぎていくホーム上の光が斜めに引かれたわけです)。

これは、電車の車両内という静止系に対して、地上がものすごいスピードで通り過ぎた、と解釈ができます。

これも相対性です。

かくて、静止している観測者の系と、高速度で動いている系とでは、別の時間が流れている、という結論になります。

そしてこれは、事実なのです!

次回、もっと難しくなるので、この思考実験の仕方を覚えてください。


つづく

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