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科学コラム  作者: もりを
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死んだらどうなるか?問題・5

この一連の記事は、世界の根本構造を知りたがっているひとりの物理学マニアが、得た知見(というよりは、勝手解釈)をひとつの概論にまとめようとはじめたものですが、定まったプロットはなく、その場の思いつきを書き留めるだけの取り止めのない走り書き形式なので、もしも本気で読んでくださっている方がいらっしゃるのなら、「これは推敲前のラフデッサンなのだ」と覚悟して、その上でお楽しみいただけたら助かります。


さて、夢というのは不思議な現象です。

非物質で構築された世界に、非物質である自分が、まるで物質世界にいるかのように振る舞います。

現実にはあり得ないことが起きますし、不思議がるヒマも与えられないままに不条理な展開を受け入れるしかなく、その場その場で、経験したことのない反応を求められます。

これは、眠っている「現実世界の自分」の脳内を走る電気や化学物質が、酔っぱらったようにアンコントロールになった状態と言えましょう。

それでも、眠った肉体の脳波(意識)が「夢の中の自分」に飛んでいて、操縦桿を持たせてもらえるところが愉快です。

物質的な肉体を持たないキャラクターが、自由な可塑性を持った世界を舞台に、人類を超越した力で活躍したり・・・あるいはひどい目に遭ったりするわけですね。

このキャラクターは、非物質であるにも関わらず、考えたり行動したりするのが可能です。

この遠隔操作感は、論じたところのタマシイの概念にちょっと似ている、とは直感的に感じられるでしょう。

夢の中のキャラクターは、五感の神経系が利かないので、新しい情報をキャッチすることはできそうにありません。

夢の中で上手に走れないのは、布団の中で寝ている現実世界の自分の足元に、地面が感覚できないからでしょうか。

眠っている自分は、脳内に元々保存されていた経験を引っ張り出し、それを再構築して、夢の中でつくり上げたキャラクターに見せ、触れさせ、まぼろしをこねまわさせます。

ぼくは夢の中で、手の平に石ころを握ったことがありますし、食べものの味さえも感じたことがあります。

ただこれは、眠っている自分の脳がつくり出す幻想です(ツマのいたずらでなければ)。

かつて経験した主観的な感覚質は、脳の中にコレクションされ、いつでも取り出せるようになっていて、この概念を「クオリア」というようです。

スイカにかぶりつく歯応え、なめし革の素材感、水の滑らかさ、バラの花の赤や、ネコの生温かさ・・・匂いや味、音の質感・・・これらのクオリアは、外界から受容した感覚をヒントに脳の中で「つくり上げられ」、しかも経験をくり返すことで、より強固な実体感を得ます。

思い出そうと思えば、今すぐに「トマトソース」の味を舌の上に再現できそうでしょ(できそうでできませんが)。

それは、自分の舌がかつて受容したトマトソースの味覚が、自分の脳の創作だからです。

突き詰めて言えば、ぼくの見ているこの世界は、ぼくによって創作されたものなのです。

脳が発達した人類は、自分の見ている通りの世界が、実際にそのまま自分の外界にひろがっていると考えますが、実はそうではありません。

本当の世界の姿は、決して知ることはできません。

ぼくが「見た」時点で、入ってきた世界の情報は、ぼくの感覚器による独自の解釈であるためです。

ぼくが見ているこの世界は、実際の外界とは別ものの、ぼくの内世界として再構築された「ぼく的解釈世界」なのです。

逆説すれば、世界の姿は、ぼくの脳の中にのみあるのです。

ぼくの目が受像し、手が感触し、聞き、嗅ぎ、味わい、その情報の解釈の集合こそがぼくにとっての世界なのであって、「ぼくの外の世界」が実際にそんなふうにできているとは限らない、ということです。

そして、ぼくの世界の姿は、あなたのそれとは違っています。

外界に存在する(かもしれない)あなたすら、ぼくの創作かもしれないのです。

デカルトさんが言っているように、「我思う、故に我あり」です。

夢もまた現実ですし、現実もまた夢なのかもしれません。

ふ・・・ふはは、ふはははは・・・

おっと・・・気持ち悪いですか?ぼく。

なぜこんなふうに狂っちゃったようなようなことを言い出したのかというと、要するに、エントロピーと脳神経科学の話題(疲れたでしょ)から、強引に量子力学の話しに持っていきたいからです。

あなたは知っていますか?

石ころを刻んで、細かく細かくして、目に見えないほどのつぶにして、それをなおも細かく細かく刻んでいって、その行き着く先の最小単位・・・「もうこれ以上は分割できない」という行き止まり的なものが、実は「粒子」なんかじゃないということを。

ええ、この世界を構成する最小のつぶは、素粒子という、粒子とは名ばかりの、形を持たないまぼろしのような「量子」なのです。

人類による最新の解釈によれば、ですが。


つづく

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