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科学コラム  作者: もりを
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りーマン予想・3

そんなわけで、素数の配列を探るために、ゼータ関数の風景の一直線上にすべてのゼロ点が(無限に!)並んでることを証明したいんだけど、これが十九世紀以来、数学界最大の未解決問題となってるんだった。

巨大な素数の因数分解は、スーパーコンピューターでも解を得ることが困難(事実上不可能)なんで、素数はネット上の暗号としても重宝されてて、逆に言えば、素数の配列が確定されてしまうと社会が大混乱に落ち入る可能性があるため、この問題は「国際間の安全保障上において」と言ってもいいほどにとてつもなく重要なのだ。

どうしても解決したい一方で、解決されては困る、とも言えようか。

ところが、ここで劇的な展開が待ってたのだ。

ゼータ関数をいじくりまわしてゼロ点の散らかり具合いを研究してたある数学者が、ふとその配列を量子物理学者・・・つまり原子の構造を研究してる博士・・・に見せたのだ。

すると、見せられた物理博士はギョッとする。

「これって、素粒子のエネルギー準位の配列と瓜ふたつじゃね?」

この驚くべきペアリングの意味が理解できる?

学術史で最大の幸運と言われるこの出会いによって、「素粒子」と「素数」というまったくの別世界の、偶然では説明できない必然の関連性が明らかとなったのだあ。

「音の素」であるドレミからはじまった冒険の旅は、「数の素」である素数と「物質の素」である素粒子の配置がシンクロしてるという、信じがたい物語に至ろうとしてる。

というわけで、この未解決問題は、今や物質世界の構造にまで迫るものとなった。

しかし、ゼロ点の洗い出しとその方程式の構築は困難を極め、数学者の手に負えない。

が、なんとなんと、物理学者は知ってたのだ!

ゼロ点の探し方を。

ゼータ関数の風景を数学的なドラムの振動数と置き換えれば、その中でゼロ点をほじくり出すのは、ある種の流体の振る舞いを説明する問題の解き方と同じなんであって、つまりその古典的な作法は、すでに物理学者の間で知られてたものなんだと。

そしてそして、その流体力学において、ゼロ点を一直線上に並べて見せた人物こそが、十九世紀の数学者、ベルンハルト・リーマン、そのひとであったんだと。

うあー、一回転して戻ってきたーっ!

研究者はあわてて、リーマンが残した遺稿を調べようと、データを当たったんだそうな。

手に入れたい資料は二種類で、すなわち「ゼータ関数のゼロ点」に関するものと「流体力学」に関するもの。

ところが、出てきた遺稿は一山のみで、すなわち、ふたつは同じ原稿だった。

要するにリーマンは、素数探しにゼータ関数とその風景の中のゼロ点を利用したわけじゃなく、物理学上の問題を解くためにゼロ点の風景をさまよい歩く中で、不意に素数に出会ったらしいのだ。

逆経路だったのね。

というわけで、がぜん盛り上がってまいりました、リーマン予想。

いかなるエンディングが待ち構えてるのかは、乞うご期待。

早く解決してくれ、各方面の学者たちー。


おしまい

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