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科学コラム  作者: もりを
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豆知識 量子場

「素粒子は粒のような姿かたちを持たない」

「それはエネルギー量だけを与えられた、空疎な数学的存在(量子)」

・・・って話を、前回にしたところなんでした。

ここから先、さらに込み入った「量子場」の話をしていいですか?

いえ、します。


われわれの四次元時空世界は、のたうつエネルギーの層が束ねられた「場」というものでできてるんです。

そのエネルギーの波同士のぶつかり合いで、いろんな基本現象が起きます。

・・・訳わからんすね、でも聞いて。

例えば、クォーク場ってのがあります。

クォークについては何度も説明してますが、物質を原子の先まで刻んでいって、これ以上は刻めなくなった終点にある最小パーツ、すなわち「素粒子」です。

そのクォークひとつひとつが、場においては波の状態になって散開してるのです。

この波の密度(存在確率)が高いところで、点状の粒クォークがぴょんと発生します。

さて、このクォーク場にはグルーオン場ってのが重なってまして、グルーってのは接着剤のことなんですが、ぴょんと現れ出た粒クォークに、グルーオン(の波の高いところ)がぶつかります。

するとクォーク三つが接着されて、晴れて陽子が形づくられます。

その場にはまたヒッグス場ってのが重なってまして、組み上がった陽子にヒッグス粒子(の高波)がぶつかると、質量が実装されます。

その場にはさらに電子場がかぶってまして、波の高いところに電子がポンと生み出されます。

陽子がその電子と反応すると、水素原子という、ついに物質が発現します。

結局、物質とは、場の相互作用による現象そのものなんですね。

例えるなら、何枚かのエネルギーのシートのミルフィーユがありまして、その波打つシートのピーク同士がたまたま重なり合うことでぼくらの世界が構成される、というからくりになってます。

さて、そんなわけで水素原子ができたんでした。

さらにそこには光子場が重なってまして、場で生まれた光が水素原子にぶつかり、電磁気力が実装されます(順序には矛盾がありますが、そこは気にしないで)。

こうして電荷を持った水素は、他元素との引力と斥力とで化学反応を起こして、さまざまな分子(水とかね)をつくりはじめます。

だけど運悪くウイークボソン場の高波に飲まれると、放射性崩壊を起こしたりもします。

こうした場の波の高いところで生成されるキャラ(ボソン、グルーオン、光子などなど)すべてが、現代では素粒子と呼ばれます。

電磁気力や、クォークをまとめたり原子核の崩壊を促したりする核力、それに質量に重力、さらには物質を構成する素材まで・・・それらは形なきエネルギーの波の高いところで一点に収縮した塊、すなわち量子というわけです。

実際はもう少し複雑で、物質は反物質と同時に生成されたり消滅したりして世界を形づくる環境の勘定を合わせるわけですが、そんな話はまだ今度。

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