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見習い女神ナスクの異世界ゲームセンター繁盛計画  作者: エエナ・セヤロカ・ナンデヤ
第一章 ナスクゲームセンター開店準備計画
17/19

救出開始!

 ―――主人公、杉山浩太の視点―――


 ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!


 援軍1000人のおっさんたちは死に物狂いで最前線へ突撃する。

 俺から少しでも遠ざかりたいと思っているのか、後衛職のおっさんですら前衛職と同じぐらいラインを上げて突撃していた。


 「ウヒョー! あーいいっすねー! あの迫真の突撃!やっぱ男は突いてナンボだよな! 金! 暴力! SEX! 金! 暴力! SEX! てな感じで!」


 「……いたた……あれが心臓を貫かれる痛さか……もう二度と経験したくない」


 「お、生きてたか。お疲れっすー」


 指揮官のおっさんがむくりと立ち上がる。

 心臓は確かに貫いたが傷は全くない。

 どうやら俺たちの賭けは成功したらしい。


 「それにしてもこのアイテム、何て言ったっけ?」


 俺は真顔で答えた。


 「ロリの白ニーソ」


 「……何だかすごく不健全なアイテム名だが、これは間違いなく神話レベルのアイテムだ。こんな物一体どこで?」


 「何と言えば良いか……あー……」


 自称女神がいきなりニーソを脱ぎ始めて俺のポッケに突っ込んできたなんて言えない。

 金出して買い取った変態だと勘違いされてしまう。


 ところであのロリ女神の名前は何だったっけ?

 確か……女神ナマズって言ってた気がする。

 めっちゃヌルヌルしそう。


 指揮官のおっさんは少し慌てるようにして、


 「いや、聞いて悪かった。言い難い事情があるんだよな。例え君がド鬼畜の称号を持ってる人間だとしても私達にとっては恩人だ。…………で、小さい女の子から剥いだのかい?」


 「なんならこの仕事が終わったら一緒にマルチプレイでロリの服を剥ぎに行くか? そろそろロリハンターランクを上限にまでしたいと思ってた所だ」


 「遠慮しておくよ」


 「部下からの誘いを断る上司は嫌われるぞ? ここで断ったら感じ悪い上司認定して、もう二度と誘わないぞ?」


 「むしろ二度と誘わないでくれ」


 さて、仕事中の無駄な雑談もこのくらいにして前線の様子を見る。


 「うーん、このままゴブリンが撤退してくれたら最高なんだけどなぁ」


 「それはないだろう。しかし戦況は大分マシになる。ほら、ゴブリンたちが少しだけ後退して陣形を組み直して援軍に備えている。これならもしかしたら黒奈たちを助けられるかもしれない……」


 「え? 助けられるかもしれないってどういうこと? 俺はてっきり捨て駒を送り込んで一件落着と思ってたんだが、それじゃまだ駄目なの?」


 「黒奈は捨て駒も全力で守る子だ。だからまだまだ危険な状態だ」


 「向上の見込みがない無能を合法的に切り捨てることができるチャンスがある時は、情けなどかけずにバッサリ切り捨てないと。腐ったみかんのせいで他を腐らせる」


 「……ド鬼畜」


 「おかしなこと言ってないしー? 一般論だしー?」


 さて、黒奈チームの方もゴブリンの後退に合わせて陣形を組み直す。

 普通に考えたら援軍が来る人間側が有利になるのだから、ゴブリンが後退したチャンスを利用して一気に追撃してゴブリンの陣形を崩壊させるのが定番だと思う。

 たが追撃をせずに黒奈チームも後退したと言う事は、援軍を当てにしなければいけないくらい力が残っていないのだと確信する。


 100人でやるオンライン(´・ω・`)らんらん♪対人ゲームを極めた俺が言うのだから間違いない。

 しかも俺はその中でみんなから軍団チャットで『軍死様wwwww』と崇められていた程の英雄だ。


 ……なんか涙が出てきた。

 ええやん、片手ヲリオンリーで味方に貢献してたんだから勝つ為の戦略くらいチャットで意見してもええやん……。


 いかんいかん。

 そんな事をより現実を見ねば。


 「おっさん、この拡声アイテムってここからでも味方全員に聞こえるか?」


 「大分離れてるし、興奮状態になっているから全員には聞こえないかもしれない」


 「ま、そのくらいで十分だ」


 「何か良い手があるのか?」


 「ああ。でも後の事は知らんぞ? 絶対に責任はとらん。 バックレた後に今日の賃金を内容証明郵便で請求してやる」


 大きく深呼吸をして拡声アイテムを使う。


 「はいはーい、みんなの勇者、杉山でーす! イエーイ、聞こえてるー? さっき突撃しろとか無理な命令しちゃったけど、やっぱちょっとブラックすぎたよねー! ごめんねー? やっぱさっきのナシで! ノーカン! もう君たち帰ってもいいよ?」


 ドッドッ……ドッ……


 援軍が少しずつバラバラになって混乱し始めている。

 主に俺の声が聞こえてる奴が足を止め、聞こえてない奴も周りの異変に気づいてキョロ充みたいになっていた。


 「そういう事で今からチャージして勇者杉山の超絶強化の剛剣計略で敵味方関係なく範囲攻撃で皆殺しにするんで5分以内に撤退してください! それじゃ、健闘を祈る! はああああああああっ!!」


 ブツン――……


 拡声アイテムの能力を無効する。


 これで援軍は何振り構わず我先に戦線から逃げ出すから問題なし。

 大パニックを引き起こして指揮系統がむちゃくちゃになってもはや使い物にならないだろう。

 たが、もう用済みだからどうでもいい。


 問題は最前線で戦ってる黒奈チームだ。

 これから黒奈チームとゴブリンたちが塹壕まで命をかけた鬼ごっこが始まる。

 陣形を組み直す為にお互い後退して距離をとった分、さっきの乱戦状態からの撤退戦よりかは遥かにマシな状態になったが、果たして上手く撤退できるだろうか?

 てか、ちゃんと撤退してくれるよな? 

 スパルタ軍みたいに、進軍して前に撤退とか脳筋みたいな事しないよな?


 ……不安になってきた。


 「あー……失敗したかも。やっぱ援軍捨て駒にしといた方が良かったかもな。もう遅いけど」


 「だけど、これが上手くいけば犠牲はかなり抑えることができるはず。杉山君のおかげだ」


 「ボーナス、期待しちゃっていい?(ゲス顔)」


 「私達にボーナスは……」


 「糞会社め。それじゃあ、後は頼んだぞ」


 拡声アイテムをおっさんに返す。

 おっさんは深々と頭を下げながら、


 「君が何者かは知らないが、私達にとっては本物の勇者様だ。ありがとう……ありがとう!!」


 「はいはい、お疲れ様です」


 「念のために、足の速さを上がるバフをかけておくからそれで安全な所まで」


 おっさんがブツブツと呟いて指を俺に向けて指す。

 すると青光したオーラに包まれた。


 「これでよし。走る時に効果が出るが、2分くらいしかもたないから油断はしないでくれ」


 「サンキュー。それじゃ、ここからはプライベートの時間と言う事で。さて、手頃なロリを見つけてロリハンターランクを上げますか!」


 ザッ!


 「ちょ!? 杉山君!? そっちは最前線だ!! おーい!」


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