第84話『帰路』
登場人物
◎舞原 彰(まいはら あきら:アキラ)
男性 59歳
身長180cm超 バキバキの筋肉質 スキンヘッド まつ毛の長い、キラキラした瞳の女性のような目
定年間近の某県警刑事
剣道七段(練士)柔道五段
逮捕術上級(全国大会準優勝の経験あり)
雑学好きのうんちく親父
涙もろく人情派
素人童貞
殉職後、異世界にエルフの美少女に転生
◎マイカ(アキラ)
年齢16~18歳くらいの見た目
白金色の長い髪
緑色の瞳
先の尖った耳
巨乳
のエルフ美少女
舞原彰の転生後の姿
ハンデルの営むヘルト商会にて稼働
ラウムテ帝国の皇家直臣となり、異世界初の警察組織建設のため奮闘中
◎ケルン
モンスターであるケルベロスの子(♂)
3つの頭、尻尾は1本
中央の頭に他のケルベロスには無い、赤い尖った角が生えている。
火を吹く
甘いものが好き
◎ハンデル
男性 30歳
身長180cm強 細身の引き締まった体型
茶色くせ毛短髪 茶色の瞳
旅の行商人 剣の達人
街道筋の脅威となるモンスターや盗賊などの退治を請け負う「闘商」としても活動する。
割りと二枚目
◎エフェリーネ
女性 22歳
ラウムテ帝国摂政
第9代皇帝の女帝ヨゼフィーネの一人娘
ヨゼフィーネの死後、皇帝に即位した従弟のヤスペルの代理として政務を執り行なっている。
身長165cm 中肉
茶色セミロングストレートの髪
やや淡い茶色の瞳
◎リーセロット
女性 年齢不詳(20歳代前半から半ば辺りの見た目)
エフェリーネの側近くに仕えるダークエルフの女性
身長170cm 美しい体型 爆乳
黒髪の長髪 黒い瞳
雷の魔法を使う
◎ペトラ
55歳(見た目は常人の20歳代半ばくらいの若さ)
女性 姓はリデル
ステルクステ騎士団団長
身長約230cm 筋肉質だが丸みを帯びた体型で、腹部腰部が細く括れている。
赤い肌 赤い瞳 銀色の蓬髪
亜人のオーガ族で大陸最強の戦士と謳われている。
レズでドM
好ましいと思わない相手には、とことんドS
◎アードルフ
41歳 獣人種である狸人族の男性
身長約170cm ずんぐりむっくりな体型
焦げ茶色の短髪 同じ毛色の太い尻尾
頭上に半円形の耳
ステルクステ騎士団団長ペトラの副官
巨大な戦闘斧を使う剛の者
変化の魔法を使う
◎イエルン
21歳 黄色に所々黄土色の斑点がある毛に全身を覆われた獣人、豹人族の男性
身長190cm弱 スリムでしなやかな体型
ステルクステ騎士団団長ペトラの副官アードルフの従士
非常に速い速度で走れる
◎アッケルマン辺境伯
男性 42歳 実年齢より若く見える
身長約180cm 細身 栗色短髪七三分け 榛色の瞳
ラウムテ帝国 伯爵 名はフィリベルト
その所領地は帝国貴族中、ウェイデン侯爵家に次ぐ広大さ。
北方を敵対するフリムラフ教国と接する為、その抑えの任に就く。
モンスターの収集家で、モンスターの狩猟捕獲だけを目的とする部隊を編成している。
◎ライン
男性 37歳
身長約185cm 筋肉質
黒髪短髪 黒い瞳 黒色の髭面
アッケルマン辺境伯に仕える騎士
アッケルマン伯爵が編成するモンスター猟獲隊の隊長
◎シュルス
男性 61歳 実年齢よりかなり老けて見える。
身長約155cm 痩せ型 肩までの長さの白髪
アッケルマン辺境伯に仕える魔法使い
眠りの魔法を使う
アッケルマン辺境伯とラインはペトラ達が去るのを茫然と見送っていたが、やがて
「…おのれペトラめ、覚えておれよ。
それに、あのエルフの小娘と摂政秘書め、かの事を知っておったようだな。」
「はっ、伯爵様、よくぞお話しになられませんでした。
しかし私は…申し訳ございませんでした。
かのエルフに質問されると何故か言わでもの事すら答えてしまったのです。」
「ああ、おそらくかの小娘の特殊能力であろう、人から何もかも聞き出すことが出来るものらしい…
だが、私はこれを…」
と、アッケルマン伯は上着の左腕を捲り、左手首に嵌めていた銅の腕輪をラインに見せた。
「…身に付けていたおかげで何とか耐えることが出来たようだ。」
「伯爵様、その腕輪は?」
「ああ、父上の形見でね、帝国魔導講研處の處長から父上が貰った、対魔法の腕輪だ。」
「対魔法の…腕輪…?」
「ああ、そうだ。あらゆる魔法を無効化できる代物でね…どうやら魔法だけではなく特殊能力にも効果があったようだ。」
「なるほど、それがあれば今後、またあのエルフと話すことがあっても秘密を守れますな。」
「ああ、しかし…魔法の場合と違って効果は限定的のようだ、はっきり言って危なかった。」
「そうでしたか…」
「ああ、それに摂政秘書もこの場に姿を見せたということは、そう長くは秘密を保てぬかもしれん。
かのリーセロットという女、実は闇の遊隊の一員ではないかと噂されている。なので早急に計画を次の段階に移す必要がある。」
「はっ、畏まりました伯爵様。」
その時、足音を響かせて大勢の城兵達がアッケルマン伯の元に集まってきた。
「こ、これは!?如何したのですか?伯爵様。」
城兵の部隊長らしき男がアッケルマン伯に近づき、その場に広がっている惨状について尋ねた。
「ふっ、なあに、私が姿を見せたせいで、皆、朝の練兵に熱が入り過ぎたようだ。
隊長、負傷者の救護を頼む。」
「は!…いや、しかし伯爵様…この有り様は…とても訓練のせいとは…
あっ!ファ、ファース殿まで倒れておられる!」
「隊長!伯爵様のおっしゃる通りだ!
さっさと薬種庫へ行って治傷薬を有るだけ持ってくるんだ!!」
「そう、ラインの言う通り。重傷者もおるゆえ、急いでな。」
「は!畏まりました…ライン殿、伯爵様…」
「…どうやら追手は来ていないようでやすね。」
「ふんっ、アッケルマンとてそこまで愚かではあるまい。これ以上、事を荒げるとアッケルマンの所と我がステルクステ騎士団の全面戦争になりかねんからな。」
アッケルマン辺境伯城からの帰り道、駿馬ウイントの背に跨がりながら、左方に馬を並べて走っているアードルフにペトラはそう話した。
ウイントの背にはペトラと、その前にマイカ、更にその前にはケルンが乗っているが、ウイントの巨大な馬体にはまだまだ余裕がある。
そしてアードルフの馬の背には、彼の従士であるイエルンがアードルフの背後に同乗していた。
「全面戦争にならずに、むしろ残念そうでやんすね?ペトラ団長。」
「おおよ、あのアッケルマンのガキ、10年前にフリムラフ教国の大軍が侵攻してきた際の遅滞っぷりや…あと、5年前の帝国北東部地域の大飢饉の際も救護の手を差し伸べず…」
「ええ、あの飢饉の時は、帝国からの依頼は無かったでやんすが、あっしらステルクステ騎士団も救護物資を送ろうとしやしたね。」
「おおよ、それもアッケルマンのガキがフリムラフの大軍がまた来る!なぞと抜かしやがったせいで、儂らも動けんかった。
だが、フリムラフの再侵攻なんて全く無かった。」
「へい、多分デマでやんしょね。」
「儂もデマだったと思っておる。
あのアッケルマンのガキは腹に一物を抱えておるわい。だから、どこかで儂らステルクステ騎士団の恐ろしさを思いしらせてやる機会がなかろうかと思っておった。」
「え!?ペトラ、じゃあ実はケルンを拐ったのはアッケルマン伯と思ってなかったの?
今回の事を、良い機会だと利用しようとしただけ?」
マイカが振り向いてペトラの顔を見上げて聞いた。顔が少し怒っている。
「いや!ちちち、違うぞマイカ、ケルンを拐ったのはアッケルマンだと思った儂の勘は本物だ!ケルンを連れ戻したいと、心から思っておったわい!!
そのついでにアッケルマンに目にもの見せてやろうとは思ったがの。」
「判ったペトラ。ペトラのおかげでこうしてケルンを無事に連れて帰れるんだもの、感謝してるよ。ありがとうね。」
「ホッ…」
ペトラはマイカが怒っていないことが判って、心の底から安堵したような表情を浮かべた。
「ふふふ、無敵の団長もマイカ嬢にかかっちゃ形無しでやんすね。
ところで団長、事前の打ち合わせでは城門が閉ざされていた場合は、あっしらの到着を待つ手筈でやしたが?」
「お、おう…門を閉ざされた直後だったのでな、そのまま儂らだけで一気呵成に乗り込んだほうが良いと思ったのだ。それで城壁を飛び越えてだな…」
「そう!ペトラってば、私を背負ったまま、あの凄く高い壁を飛び越えたんですよ!!
あ…でも、怒られるかな…?
その際、ペトラから頼まれてだけど、気合いを入れるためにペトラに鞭を使っちゃった…」
マイカは申し訳なさそうに、そうアードルフに報告した。
「…はて?団長ならばあの程度の壁、難なく楽に飛び越えられる筈でやすが…」
「…え?……ペトラ、まさかあなた、私に鞭で打たれたいがために、わざとあんな事を…?」
「んあ!?…あ!い、いや!あ、あれは…その、つまり……
うーっ、ええい!そうだ!!」
「うわ、開き直った…」
「おう!開き直りついでにもう一つ、儂が城兵をいたぶってた時、おのしに取り押さえられたのな、あれもとても良かったぞ!!
本当に充実した一日だったなーっ、ハハハハ!」
「え?マイカ嬢が団長を取り押さえた!?」
「マイカがペトラを?本当なの!?」
ペトラとマイカの乗ったウイントの左右に馬を並べていたアードルフとリーセロットが驚きの声を上げた。
「はい、私もこの目で確と見ました。冗談ではなくマイカ様が団長閣下を本当に取り押さえておいででした。」
驚いているアードルフとリーセロットにイエルンが答えた。
「うん。私の特殊能力みたい。
どんなに強い相手であろうと、どれ程力の差があろうと制圧逮捕できるみたい。
絶対逮捕術と名付けたよ。今後の私の仕事に大いに生かせそうだよ。」
「ん?マイカは可愛いが仕事ではないのか?」
「ちゃうわっ、ペトラ。
えーっとね、犯罪を捜査して犯人を突き止めたり、治安の維持のため犯罪そのものを防ぐ活動をしたり、とにかく市民の安全を守ることのみを行なうための組織作りをしているところさ。警察というんだけどね。」
「ほおー、市民の安全を守ることのみか…衛兵とは違うみたいだな。」
「そう、ペトラその通り。
一番の違いは、警察の主体は市民であること。王や貴族、諸侯、特権階級が主体ではないのさ。」
「ふむふむ、マイカ、その警察とやらの組織作りは何処まで進んでおるのだ?」
「まだまだ全然。根拠となる法の制定をして貰っている段階でね、まだ組織作りの前段階さ。」
「根拠となる法の制定とな?それは誰が行なっている?」
「帝国副宰相のベレイド子爵だよ。摂政殿下がベレイド子爵に頼んでくれたんだ。
そもそも私が警察を作ることを摂政殿下にお願いしたんだ。」
「摂政?諸侯の長たる摂政が王侯貴族のためではなく、市民のための組織作りをしているというのか?」
「そうだよ。摂政殿下は常々、市民こそ帝国の礎とおっしゃっておられるんだよ。」
「…ほう、さすがはヨゼフィーの娘ということか……
面白い、今まで帝国摂政には興味が無かったが、俄然、興味が沸いてきた!
よし、摂政に会いに行こう!帝国へ行くぞ!!」
「へ?団長、また突然そんなことを…」
「アードルフよ、見事、同盟継続となったのだ。表敬訪問というやつだ。
その旨の通達をスネル鳥に付けて帝国へ飛ばせ!」
「大歓迎よペトラ。アードルフ殿、あい済みませぬが、そのスネル鳥に私の手紙も付けて下さい。」
「もう、団長もリーセロット殿もすっかりその、気に…
判りやした!じゃあ、伴の者の選別やら何やらを早急に手配致しやす!!」
と、アードルフはややヤケクソ気味に言った。
第84話(終)
※エルデカ捜査メモ〈84〉
ステルクステ騎士団領の戦略方針としては専守防衛を第一としているが、それは、必ずしも領外へ出て戦わないという意味ではなく、例えば、長きに渡って敵対しているフリムラフ教国が侵攻のための橋頭堡たる要塞などを国境付近に築いたとすれば、これを叩くために積極的に領外に出て戦う。
領内に閉じこもって、籠城策のような消極的なものではなく、積極的な専守防衛というわけである。
マイカのスキル「万能職務質問」が通用しなかっのは、果たしてアッケルマン辺境伯が付けていた「対魔法の腕輪」のせいなのか、はたまた、前回のエピソードにあったように「供述拒否権」によるものなのか…
ステルクステ騎士団団長ペトラに面目を丸潰れにされたアッケルマン辺境伯。
彼のかねてよりの計画とは?
これからもよろしくお願いいたします。




